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睡眠障害とは
睡眠障害の意味
睡眠障害とは、医学的に眠りに異常がある状態のことです。睡眠がうまくとれないと、日中の症状、家庭、学校、職場での活動に支障が出ます。
長い間、うまく眠れないと、心と体の病気が発症する危険が高くなります。
いろいろな症状が組み合わさっていること、原因も複数あることもあることから、眠りの悩みがどこから来ているのか、どんな原因が考えられるか医師が診察して、調べます。
不眠、睡眠時無呼吸などの個別の病名がありますが、睡眠障害とは、さまざまな眠りの病気の総称と言えます。
どんな症状と種類があるのか?
睡眠障害の国際分類第3版(ICSD-3-TR)と呼ばれるものが参考になります。大きく6種類に分けられています。
あなたの悩みはどれでしょうか?
1.眠れない
寝つきが良くない、途中で目が覚める、浅い眠りなど、不眠の訴えがあるものです。精神ストレス、体の病気のほか、薬の副作用、カフェイン、アルコール、ニコチンなどの嗜好品でも生じます。原因不明のタイプもあります。
2.眠っているときに呼吸に異常がある
いびきをかく、呼吸が止まっているなど、閉塞型の睡眠時無呼吸症候群の病名はこのタイプに属します。心臓や脳の病気によって無呼吸が周期的に出現する、中枢型睡眠時無呼吸もあります。カタスレニアと呼ばれる睡眠関連うなり声も、睡眠関連呼吸障害に属しています。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
診断、治療法について。初めて病院を受診するときに参考にしてください。
どんな原因が考えられるか、説明しています。
いびき、眠気が問題になる睡眠時無呼吸の軽症型です。
3.眠気がひどい
昼間に強い眠気があるので、起きていられない状態が問題となるタイプです。ナルコレプシー、特発性過眠症のほか、睡眠不足などが、このグループに含まれます。
ナルコレプシー
中枢性過眠症の一つで、思春期に多くみられる眠気を呈する病気です。
学校、職場で寝落ちするときに考えられる病気について。
勤務しているときに上司に見つかり怒られたときの対処法。
4.睡眠リズムが問題となっている
私たちの体内時計のサイクルが、社会の活動サイクルに合わないで、日中の眠気が生じたり、早く目が覚めるなど、支障が出ます。思春期に多い睡眠相後退症候群などがあります。
睡眠リズム障害
中学生、高校生で、夜眠れない、朝起きられない症状でお困りの場合は、体内時計の問題があるかもしれません。
放っておくと、メンタル面にも影響して、留年、不登校の原因になります。
5.眠っているときに異常な行動や現象が起きる
眠っているときに、寝ぼけ、悪夢で悩む症状、高齢者に多いレム睡眠行動障害、子どもに多い夢遊病、夜驚症などの病名が含まれます。特殊な病気である頭内爆発音症候群は、この睡眠障害のカテゴリーに分類されています。総称として、睡眠時随伴症と呼ばれています。
レム睡眠行動障害
睡眠中の異常行動はパラソムニアと呼ばれています。高齢者に多い睡眠障害の一種ですが、認知症との関係があります。
小児期に発症することが殆どですが、眠りながら歩き回る症状が出現します。
ノンレム睡眠のときに起きる覚醒障害です。
6.睡眠に関連した運動障害
眠る前に脚の不快感、動かしたい症状が出る、むずむず脚症候群、眠っているときに足がピクッと動く周期性四肢運動障害などがあります。
どんな原因が影響しているか?
1.多様化した生活スタイルと24時間化
インターネットの発達、通信・情報技術が向上したことから、職場、学校以外でも仕事、勉強することができるようになりました。働く時間帯もさまざまとなり、私たちの社会が眠らない状況になったことが考えられます。その結果、生活リズムに支障が出てきます。
2.ストレスの影響
SNSの普及、コミュニケーションの方法が多様化した一方で、友人、同僚、パートナーとの付き合いがうまくとれない悩みを持つ方が増えました。学業、仕事などの競争社会による疲れも影響しています。そのため、不眠、不安障害、うつ病などが増えています。
3.肥満人口の増加
不規則な生活、グルメブームによって、高脂肪かつ高カロリーの食事会、夜遅くの食事、外食が増えました。仕事、勉強に忙しいことから、運動不足になることも関係しています。特に、いびき、睡眠時無呼吸の悩みが増える原因となっています。
4.高齢化社会
人は歳をとると、眠りが浅くなったり、何度も目が覚めたり、眠る時間が短くなったりします。高齢となると認知症の割合が高くなるので、不眠、レム睡眠行動障害など治療が必要な眠りの病気が増えます。
不眠症
不眠のタイプ、原因、診断、治療法について詳しく書かれているページです。眠れないという悩みの方は、参考にしてください。
よくある原因について解説しています。
睡眠の症状だけではなく、身体と心の状態に影響します。
睡眠障害の治療法
1.睡眠にとって良い習慣を行う
- 睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らないことを目安に。
- 同じ時刻に毎日起きて、目が覚めたら太陽光を取り入れる。
- 眠くなったら、ベッドに入るようにする。
- 昼寝は短く20分までに、遅くとも午後3時までにする。
- 夕方以降のカフェイン摂取を控える。
- 寝酒と就寝前のタバコを止める。
2.薬による治療
病気の症状と名前 | 主な治療方法 |
---|---|
不眠の症状 | 寝つきが良くない、途中で目が覚めるなど、症状によって、適切な睡眠薬の種類を選びます。 |
精神的要因による不眠 | 睡眠薬のほか、抗うつ薬、抗不安薬を用いる。精神科・心療内科的な対応が必要です。 |
レム睡眠行動障害 | 抗てんかん薬を用いて、夜間の寝言、夢の内容に反応して体が動く異常行動を抑えることができます。 |
むずむず脚症候群 | ドパミンアゴニストを用いることが多いですが、鉄不足があるときは、鉄剤による治療をします。 |
睡眠リズム障害 | 眠くなる時間が遅く、朝起きられない症状の睡眠相後退型では、メラトニンアゴニストを考慮します。 |
過眠症による眠気 | ナルコレプシーに対しては、中枢神経刺激薬を使うことで、昼間の眠気を抑えることができます。 |
3.CPAP治療:呼吸を補助する機器を使う
いびき、呼吸が止まる、眠気が主体である睡眠時無呼吸症候群という病気を治療する機械です。マスクを介して、鼻から圧力をかけた空気を取り入れることで、気道を拡大させます。
酸素不足、睡眠の質を改善し、高圧、心臓の病気、脳卒中の予防効果があります。CPAP治療とも呼ばれており、重症の睡眠時無呼吸に適応があります。
4.歯科による治療
軽症の睡眠時無呼吸に用いる治療方法です。歯科で作ることができます。下顎を前方に出すタイプのマウスピースを装着することで、眠っているときの気道を広げます。
旅行のとき、出張が多いときなどにも手軽です。
顎の問題があり、睡眠の問題が生じているときは、矯正歯科による治療も小児期から行うことが大切です。
5.手術による治療(耳鼻咽喉科、外科)
睡眠時無呼吸の原因が耳鼻科の病気であるときは、手術を検討することもあります。重度の肥満があるために、睡眠時無呼吸になっている場合は、外科で減量手術も考慮します。
予防法とは
1.体重の管理と肥満の是正
特に、睡眠時無呼吸の原因として体重増加が多いです。予防には減量が一番です。
2.ストレスのコントロール
緊張や興奮の神経である交感神経が高ぶっていると、不眠、浅い眠りが生じます。副交感神経の優位にするため、リラックスが大切です。
3.規則正しい正しい生活
睡眠不足をなくし、体内時計のリズムを保つため、夜更かし、寝る前のスマホ操作などを控えましょう。
4.嗜好品の摂取について見直す
アルコール、カフェインを摂取する、あるいは、タバコを吸う習慣がある場合は、眠りの質を改善するために、是正しましょう。