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特発性過眠症を詳しく知りたい方へ
特発性過眠症とは

日中の眠気が続き、長時間睡眠を伴うことが多い睡眠の病気です。ナルコレプシーと同じく、眠気が中心となる症状が主体となっている中枢性過眠症の一つですが、原因が不明である睡眠障害です。
思春期の学生さんで、眠気が強いときに鑑別すべき病気です。
よくある相談内容
当院は岐阜市で「眠気の悩み」についてよく診察していますが、過眠症については、中学生、高校生の子どもがいる保護者から相談を受けています。
- 昔から睡眠時間が長いほうです。
- 昼寝をしても、すっきりしない。
- 日中の眠気が強くて、居眠りが多いです。
朝、アラームが鳴っても、なかなか目覚めず、熟睡した感じがない。昼間の眠気があるので、授業をまともに聞けないので、勉強できないことが問題となります。受験を控えている学生さんにとって、学校の成績への影響が大きいです。
中学生、高校生の子どもが学校でウトウトすることが多いときは、眠い病気の可能性もあります。
学校の先生、友人からの見方が気になる方も多いです。受験を控えているとき、内申点への影響が心配です。
- 真剣に勉強していないのでは?
- またサボってる、やる気の問題?
- 夜ちゃんと寝ているのか?
本人が病気のために眠気で困っているのに、周りは分かってくれません。眠気の悩みを解消して、日常生活に支障なく過ごせることができる対策を立てる必要があります。
そこで、今回、眠気で困っている方の中に、ナルコレプシーではなく、特発性過眠症の場合があるので、岐阜市にある睡眠外来の院長が説明していきます。
病院に行く前に知っておきたい内容について、睡眠専門医が答えます。
原因について
なぜ発症するかは、まだ特定されていません。ノンレム睡眠の調節障害のほか、睡眠・覚醒に遺伝的な要因があると指摘されています。今後の研究が待たれます。
症状の特徴について

夜、長い時間眠っているのに、昼間が眠いことが特徴です。 睡眠時間が長い傾向で、11時間以上に及びます。一方、長時間睡眠者(ロングスリーパー)では、十分な時間眠ると、日中眠くないことから区別がつきます。
眠気が問題となる時期は、思春期から20代が多いです。昼間にとても眠いので、学校、職場で、居眠りを繰り返します。通勤、通学中にもバス、電車で眠ってしまうことも多いです。
居眠りの時間が長く、1時間以上続くことが多いです。ナルコレプシーと異なる点として、昼寝をしても、寝起きに「すっきり感」がありません。昼寝をしても、寝起きに「すっきり感」がありません。ぼーっとした状態が続き、睡眠酩酊とも呼ばれています。
情動脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺(金縛り症状)などのレム睡眠に関連した症状がないこともナルコレプシーとの鑑別点です。
この病気では、自律神経症状(めまい、立ちくらみなど)を呈することがあります。
診断の方法
症状の経過、他の眠気の原因となる病気の除外、そして、反復睡眠潜時検査の結果をみて、診断を確定します。通常、1泊2日の入院をして、検査を受けます。
治療法について
生活習慣の見直し
・十分な睡眠時間を確保しておく
・規則正しい就寝・起床時間を守る
・仮眠、昼寝は20分程度とする
・嗜好品(カフェイン、ニコチン)を避ける
薬物療法
基本的には眠気の対症療法です。中枢神経刺激薬であるモディオダールによる治療を行います。2020年2月から特発性過眠症に伴う日中の過度の眠気に対して、保険適応となりました。
薬の効果と副作用、処方ができる登録医師の制度について。
薬の依存性、副作用などを慎重に経過をみながら、粘り強く治療を行っていく方向性です。
過眠の症状を和らげる効果のある薬に関する「よくある質問と回答」について。
根本的な治し方は、まだ発見されていません。病気と付き合っていくことになるので、教職員、会社の上司、同僚など、周りの理解を得ることも大切です。
医師の指示のもと、眠気をコントロールすることが大切です。免許取得・更新のときに診断書を提出します。