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クライン・レビン症候群の症状と対処法
反復性過眠症とは
1日に20時間近く眠り続ける過眠期(数日から数週間)と症状が消失する間欠期を繰り返す特徴をもっている睡眠障害です。過眠期には、摂食の異常(過食あるいは食欲の低下)、性欲の亢進、認知と行動の障害を伴うことがあります。非常に稀な病気であり、治療法が確立されてないので難病と言えます。
病気を報告した二人の医師クライネとレビンの名前にちなんで、クライン・レビン症候群と呼ばれています。
症状について
過眠を呈する病相期において、以下のような症状が出現します。
食事のとき、トイレに行くときは目覚めますが、現実感が喪失した感じになっています。つまり、脳が十分に覚醒していない状況となっています。
- 16~20時間、眠り続ける
- 過食の傾向になる
- 会話が緩慢になる
- 性欲の亢進(男性に多い)
- うつ症状(女性に多い)
- 夢の中にいる感じがする
- 認知機能が障害される
- 記憶力が低下する
- 幻覚、不安の症状が出現する
予後に関しては、反復性過眠症が発症してから8~12年程度で、徐々に症状が消退する傾向があります。
出典:National Institute of Neurological Disorders and Stroke
月経周期に関係した過眠症は、どんな病気ですか?
反復性過眠症の亜型として、月経関連クライネ・レビン症候群があります。非常に稀な病気で、月経関連過眠症とも呼ばれています。経口避妊剤が効果があったことから、女性ホルモンのバランスが影響していると考えられています。
出典:Kleine-Levin Syndrome – Sleep Education by AASM
診断の方法
周期性を持った重度の傾眠期が存在して、間欠期には眠気が消失すること、そして、病相期に摂食異常、性欲の亢進、認知機能の低下が確認されることで、反復性過眠症と診断することができます。
具体的な過眠の期間と周期性については、2日から5週間ほど持続する過眠があり長く眠ってしまう期間と無症状の期間が、少なくとも2回以上繰り返されることが条件です。
他の睡眠障害、薬剤、こころの病気による影響ではないことも、適切に診断するための要件になります。
基本的に、臨床経過と症状の確認によって、反復性過眠症の診断は確定されます。しかし、眠気をきたす睡眠障害の除外を要するときには、終夜睡眠ポリグラフ検査、反復睡眠潜時検査を考慮します。
反復性過眠症と鑑別すべき疾患として、うつ病、双極性障害、季節性の感情障害、特発性過眠症、ナルコレプシーなどがあります。
何科の医師に相談すれば良いですか?
精神科、脳神経内科の診察を受けることを考えてください。
どの病院に行けば、反復性過眠症の診察を受けることができますか?
日本睡眠学会専門医療機関A型のクリニックあるいは病院を受診することを勧めます。
反復性過眠症で悩んでいる人の患者会はありますか?
日本過眠症患者協会および日本ナルコレプシー協会は、過眠症で悩んでいる人々が情報の共有や意見交換をしています。
クライン・レビン症候群という病気に対する認知が十分でないことから、正しい診断を受けるのに4年ほどかかると言われています。
一刻も早く、適切な医療施設で相談してください。
治療法について
根本的な治療薬はありません。過眠期の日数と回数を減らすのに、炭酸リチウムが有効であったという報告があります。しかし、国内では反復性過眠症に対する炭酸リチウムの健康保険の適応はありません。
出典:小川 朋子 他炭酸リチウムが奏効した反復性過眠症の1例, 臨床神経学;50,10,700-703
治療の方法がない難病なので、自立支援制度や障害者手帳の対象になりますか?
反復性過眠症のみの診断ではなく、併存する「うつ症状」に対して継続的な精神科への通院を要するとき、そして、仕事、学校生活に著しく支障が出ているときは、一度、あなたの担当医と自治体の相談窓口に尋ねることを勧めます。
職場や学校には、どのように病気のことを伝えればよいですか?
担当医に詳細な診断書を書いてもらってください。そして、反復性過眠症に関する資料を持参して、病気について理解を得るために面談をしましょう。
予防のために注意したいこと
反復性過眠症の初発の直前に、感染症に罹患した人、あるいは睡眠不足の人が多いことが報告されています。そのため、日頃から睡眠衛生の徹底に励み、感染症を予防することが重要です。