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昼間の眠気が強くてお困りの方へ
ナルコレプシーとは
ナルコレプシーは、中枢性過眠症と呼ばれる「眠気を主体とする睡眠障害」のひとつです。
当院は岐阜市で眠気の悩みについてよく診察していますが、ナルコレプシーについては、中学生、高校生の子どもがいる保護者から相談を受けています。
- 授業中の居眠りが多いと、担任から指摘があった。
- いつも眠たそうにして、学校の成績が落ちている。
- あくびが多くて、気がつくとよく寝ている。
眠気があると、集中力が落ちて、学習能力が低下します。その結果、成績が落ち込み、受験にも不利です。
塾でも居眠りが多くなり、試験のときに眠ってしまうことも心配です。学校生活では、学習態度の評価、内申点にも影響します。
周りの本人に対する評価も気になります。
- 勉強する気が足りない
- 真面目に取り組んでいない
本人が睡眠障害のために眠気があるのに、気づいていません。こうした状況を早く解決する必要があります。睡眠時間をとっていても眠いときは、何らかの原因があります。
そこで、今回、眠気で困っている思春期の学生さんの中で、ナルコレプシーの場合があるので、解説いたします。
原因について
私たちが、昼間の目が覚めた状態で活動できるためには、脳内にある覚醒物質のはたらきがあります。その一つ、オレキシンという物質があります。
ナルコレプシーの場合、何らかの原因でオレキシンを作っている神経細胞が障害されて発病すると考えられています。
詳しいメカニズムは解明されていませんが、ナルコレプシーの人にある脳脊髄液にあるオレキシン濃度を調べると、低下していることが分かっています。
白血球の血液型であるHLA型についての研究も報告されています。ナルコレプシーの人は、HLA-DQB1*06:02の遺伝子型を持っていることが多いことも明らかになっています。
症状について
ナルコレプシーの症状として、代表的なものは、居眠りを繰り返す、情動脱力発作、睡眠麻痺、入眠時幻覚があります。「耐え難い眠気と戦いながら、勉強をしている」という訴えをよく受けます。
1.耐え難い日中の眠気
夜間にとっている睡眠の長さによらず、学校生活で、寝入ってしまうように居眠りする特徴があります。「授業中、落ちるように眠ってしまった」と訴える方もあります。
睡眠発作とも呼ばれており、「気がついていたら寝ていた」というエピソードが多いです。一方、10分から30分程度、眠ると、再び、普段と同じような覚醒が戻ります。
筆者は、寝ても寝ても眠いという表現をされる患者さんの事例を経験したことがあります。
2.情動脱力発作
カタプレキシーとも呼ばれており、ナルコレプシーの症状の中で、特徴的なものです。
感情の高ぶり(笑う、怒る、驚くなど)が引き金となって、体の一部に力が入らなくなってしまう症状です。文字通り、感情の変化によって脱力感が発作的に生じるものです。
ただし、全例でカタプレキシーの症状が出現するわけではありません。
3.睡眠麻痺
頭は目覚めているのに体が動かせないという状態です。金縛りとも呼ばれています。怖い思いをしたという話をよく聞きます。
4.入眠時幻覚
眠りに入るときに、夢か現実か分からないようなリアルな夢を見るものです。覚醒から睡眠に移行する期間(ヒプナゴジア)に幻覚が生じるので、入眠時幻覚と呼ばれています。印象の良くない夢の内容であることが多いので、不安と恐怖を感じることが多いです。
悪夢を見る事例もあり、寝ることに対して怖く感じる人もいます。
特発性過眠症
眠気で困っている点では、ナルコレプシーと似ています。そのため、診断を確定するときには、鑑別する必要があります。
過眠症を疑う場合は、MSLTと呼ばれる検査を実施して、診断します。
10代の頃から睡眠不足がないにも関わらず、日中の眠気が強く、授業中に居眠りが多いことはありませんか。もし、心当たりがある場合は、セルフチェックを試してください。
治療法
まずは、睡眠障害の専門医の診察を受けることが大切です。そして、ナルコレプシーであるか診断してもらうことを勧めます。
ナルコレプシーの診断が確定すると、眠気を緩和する作用のある薬による治療が有効です。
1.眠気に対する治療法
昼間の眠気に対しては、次の三種類の薬が処方されます。
- モダフィニル
- メチルフェニデート塩酸塩
- ペモリン
第一選択として、モディオダールを処方することが多いです。中枢神経刺激薬とも呼ばれており、医師による適切な管理があれば、問題ありません。
2.レム睡眠関連の症状に対する治療法
情動脱力発作、睡眠麻痺、入眠時幻覚の症状でお困りの場合は、抗うつ薬を用います。
- クロミプラミン
- イミプラミン
3.生活習慣の見直し
規則正しい睡眠リズムと十分な睡眠時間の確保をお願いします。特に自動車の運転のときは、睡眠不足がないように注意してください。
10代の学生では、受験勉強のために寝る時間を削ることがないようにしましょう。
薬を用いても、眠気がひどいことも想定されるので、計画的に昼休みなどに15分程度の仮眠をとることが望ましいです。
予防法について
まだ原因がわかっていないことが多いナルコレプシーですが、遺伝的要因の可能性が報告されています。
その中で、ナルコレプシーの症状が、どういった要因で発現するかは分かっていません。今後、ゲノム研究が進めば、有効な予防法を活用できると考えられています。
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