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急に眠くなる症状が問題となる睡眠障害
急に眠くなる悩みがある方へ
日頃、仕事で遅くなって睡眠時間が短くなることがあります。そんなとき、寝不足のため眠気を感じる、不覚にも机の作業中にウトウトしてしまうことは、よくあることです。
しかし、急に眠くなるということがあると、日常生活のさまざまな場面で、トラブルになります。急な強い眠気があると、運転中、職場、教育現場において、深刻な問題を引き起こします。
- 居眠り運転事故を起こした
- 仕事中の居眠りで注意された
- 学校の成績が落ちている
このページでは、急に眠くなる理由について、専門医の立場から解説します。
睡眠不足
日中の耐えがたい眠気があり、寝落ちする原因として多いものは、睡眠時間が短い状況が続くことがあります。睡眠時間が短くなる理由は様々ですが、下記のようなものが多い印象です。
- 残業が多い(帰宅が遅い)
- 通勤・通学時間が長い
- 遅くまでの受験勉強(塾通い)
- 深夜のバイト
- スマホ・ゲームをしている
必要な睡眠時間が取れていないことがあると、睡眠不足症候群を発症します。重度の場合、仕事中に急に眠くなる理由になります。長い期間、睡眠不足が続くと、睡眠負債と呼ばれています。自分では寝不足に気づいていない場合があるので、注意を要します。
大型の休み、生活習慣の改善により、しっかりと眠ったら、日中の眠気や疲労感が軽減すれば、まず睡眠不足の影響を考えて良いです。
最近になって、スマホの普及に伴い、SNS、動画、ゲームをしている時間が長いため、睡眠時間が短くなっていることも要因となっています。
睡眠時無呼吸症候群
仕事中、急に眠くなる理由として、睡眠時無呼吸症候群という病気があります。
大きなイビキをかく人は、眠りの質が低下している可能性があります。空気の通り道である気道が、肥満(体重増加)、下顎の後退などの原因によって狭くなる、閉塞すると、無呼吸になります。体が酸素不足になるので、何度も覚醒が生じて、不安定な睡眠になります。
睡眠時間は十分であっても、眠りの質が低下しているので、日中だるい、疲れが取れない、車の運転中にウトウトするなどの問題が生じます。
ナルコレプシー
ナルコレプシーは、睡眠障害の中で、過眠症というカテゴリーに分類される病気です。日中、突然、耐え難い眠気が生じます。過眠症があると、仕事に支障が出ます。
- パソコン作業中に寝落ちした
- 上司に居眠りを注意された
- 会議中に突然眠くなることが多い
受験生では、試験中に眠ってしまったという事態も起こりえます。社会人になってから、中学生、高校生の頃から、昼間の眠気で困っていたということを訴える人もいます。
10代の学生で、居眠りが多く、成績が落ちている、試験中に眠ってしまうなどがきっかけで、病院を受診することが多いです。保護者面談で、担任から授業中の居眠りを指摘されたとき、ご相談ください。
ナルコレプシー
思春期に発症することが多い睡眠障害の一種。診断されずに、社会人になり、居眠りで困っているケースもあります。
MSLTと呼ばれる昼間眠い病気を調べる検査について解説しています。
中学生、高校生で睡眠不足がなくても眠気を感じるときは、眠い病気かもしれません。
私たちの脳内にある視床下部という場所から、オレキシンという覚醒を司る神経物質が分泌されています。何らかの原因で、オレキシンの分泌がない、減少すると、急に眠くなる症状が問題になります。強い睡魔に襲われるというエピソードを経験します。
ストレス
ストレスを受けると、眠気を感じることがあります。悩みとして多いものは以下のものです。
- 仕事が多くて追い込まれている
- 職場の人間関係が良くない
- プライベートでうまく行っていない
私たちがストレスを受けると、脳内で、コルチコトロピン(副腎皮質刺激ホルモン)と呼ばれるホルモンが分泌されます。このホルモンは睡眠抑制作用があるのため、入眠困難、中途覚醒の原因になります。その結果、日中の眠気を引き起こします。
発達障害
自閉症スペクトラム障害(ASD)あるいは注意欠陥多動性障害(ADHD)があると、睡眠障害の合併が多く、昼間の眠気をきたすことがあります。ADHDの場合、興味がないとき、退屈な仕事をしているときなどに、急に眠くなることがあります。
食後の血糖
ランチした後、眠気が出て困っている人もいます。食物を摂取すると、血液中の血糖が上昇します。血糖値が高いときは、ナルコレプシーの段落で説明した「覚醒作用のあるオレキシンの分泌が低下」します。そのため、眠気が生じます。
その他の理由について
睡眠障害の他には、女性の場合、生理、妊娠の影響があります。ホルモンのバランス、代謝の妊娠によって体内でホルモンや代謝の状態が変化することが、眠くなる理由として考えられています。
すでに、内科、精神科の病気について、治療を受けているときは、薬剤の影響のこともあります。薬の中には、眠気、傾眠の副作用が出ることがあります。
対策について
睡眠時間が短い、不規則な就寝時間があるときは、まずは、生活習慣の見直しが大切です。夜更かしをせずに、夜しっかりと寝ることを目標にしましょう。
ただし、睡眠の病気が急に眠くなる理由になっている場合があります。セルフケアをしても症状が改善しないときは、睡眠専門医の診察を受けてください。
岐阜市にある当院では、眠気で困っている方の治療相談を受け付けています。