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脚がむずむずして眠れない症状が出る睡眠障害
レストレスレッグス症候群はどんな病気か?
夜、ベッドで寝ようとするとき、「脚がむずむずする」「ふくらはぎの辺りに、そわそわした感じがする」「足をじっとしていられない」という下肢の違和感が出現し、不眠を生じる病気です。
睡眠障害の分類では、睡眠関連運動障害と呼ばれる病気の一つです。別名は、むずむず脚症候群です。
原因について
脳内にあるドパミンと呼ばれる神経伝達物質があります。何らかの原因のため、このドパミンのはたらきが低下すると、症状が出現することが分かっています。
ドパミンのはたらきは、鉄の存在が必要になります。そのため、鉄欠乏があると、むずむず脚症候群が発症しやすいことが知られています。その他、ホルモンの病気、腎臓。神経の病気などでも合併することが多いです。
どんな病気があると、レストレスレッグス症候群を発症しやすいですか?
鉄欠乏性貧血、パーキンソン病、慢性関節リウマチ、糖尿病、甲状腺疾患、腎不全(透析をしている人に多い)が報告されています。
女性では、どんな病気が見つかることが多いですか?
貧血・鉄不足が見つかることが多いです。生理、婦人科疾患(子宮筋腫、子宮内膜症など)、妊娠の影響によって、貧血は生じます。鉄不足があると、氷食症(氷を食べたくなる症状)が合併することがあります。
症状をチェックしてみましょう
4つの症状に該当すると、レストレスレッグス症候群の可能性があります。
- 脚に不快感があり、動かしたくなる
- 症状が安静時に悪化する
- 脚の運動により不快感が軽減したり消失する
- 一連の症状が夕方から夜にかけてひどくなる
脚が眠っているときにピクッと周期的に動く周期性四肢運動障害を併発することが多いです。この動きにより、熟睡感がないといった訴えをする方もいます。
何科の医師の診察を受ければよいですか?
脳の機能異常によって起きる病気であるので、脳神経内科に相談してください。
どの病院を受診すればよいですか?
迷ったときは、日本睡眠学会専門医のいる病院なら問題ありません。
難病に指定されている病気ですか?
厚生労働省による指定難病には登録されていません。
ADHDとの関係はありますか?
発達障害の中で、注意欠陥多動性障害は、落ち着きがない症状、多動を主徴とする病気です。子どもの場合は、レストレスレッグス症候群による下肢の不快感の症状が多彩です。そのため、本人が下肢の症状をうまく伝えられないことがあり、鑑別が難しいことが現状です。貯蔵鉄が少ないことがADHDの症状と相関があるので、鉄剤による治療は検討すべき事項です。
出典:堀内 史枝 他: S01-3.ADHDと睡眠障害─診断・治療戦略を考える─, 児童青年精神医学とその近接領域, 2017,58,618-623
治療法について
レストレスレッグス症候群の薬を選ぶための要点は、鉄不足の有無を調べることです。もし鉄欠乏があれば、まずは、鉄剤による補充を行うことから始めます。外来では、治療を開始する前に、血清フェリチンという項目を含めた血液検査をすることが多いです。
同時に鉄欠乏を引き起こしている病気があるかないかを調べます。その他の基礎疾患(糖尿病、リウマチ性疾患など)が見つかれば、その治療を優先します。
鉄欠乏があり鉄剤による補充療法がうまくいくと、むずむず脚の症状が完全に消失することを期待できます。
薬物治療としては、脳内でドパミンのはたらきをする、ドパミンアゴニスト(プラミペキソール、ロチゴチンなど)と呼ばれる薬を使います。パーキンソン病の薬でもありますが、むずむず脚症候群の治療に用いる場合には、少量のドパミンアゴニストを使います。
その他、不眠の症状、特に中途覚醒がひどい場合は、抗てんかん薬であるクロナゼパムが有効です。
出典:標準的神経治療 – Restless legs症候群(日本神経治療学会)
予防法について
自分でできる「レストレスレッグス症候群」を予防する方法として、以下の対策があります。
- カフェイン摂取を控える
- アルコール摂取を中止する
- 禁煙する
妊娠を予定している方は、鉄分、葉酸不足にならないように、担当医と対策について相談することが大切です。また、思春期の女性の場合、生理が始まると鉄不足になりがちです。食事による鉄分摂取をしっかりとしましょう。
もし、あなたが貧血であるか分からず不安であるときは、最寄のクリニックを受診して鉄代謝を含めた血液検査を受けてください。