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夜間の脚のぴくつきが気になる方へ
周期性四肢運動障害とは
睡眠中に足のピクツキが周期的に出現して、睡眠が浅くなったり、目が覚めたりする睡眠障害です。熟睡感の低下、昼間の眠気、疲労を引き起こし、日常生活に支障をきたします。むずむず脚症候群に合併することが多く、睡眠関連運動障害の一種です。
別名は、睡眠時ミオクローヌス症候群です。英語では、periodic limb movement disorder の頭文字をとって、PLMDとも呼びます。
加齢にともない増加する睡眠障害の一つですが、本人は眠っているときの脚の動きについて自覚しないことが多いです。家族やベッドパートナーに指摘されて初めて気づくこともあります。
出典:睡眠医療プラットホーム
臨床症状について
眠っているときに、下肢(上肢の場合もある)が勝手に動くことが主な症状です。同時に、中途覚醒を引き起こします。
「脚のぴくつき」と表現する方もいます。この脚の動きにより睡眠が妨げられ、熟睡感が得られず(浅い眠り)、日中の眠気、疲労感が問題となります。周期性四肢運動障害によってぐっすり眠れない状態が続いている人の中には、抑うつ症状が出現する場合もあります。
睡眠時間はとっているのに、いびき・無呼吸発作もないのに、昼間の眠気が問題となる方は、家族あるいはベッドパートナーに脚が動いているか確認してもらうと良いでしょう。
眠れない原因として周期性四肢運動異常症が関与していることに、本人が気づいていない場合もよくあります。外来の経験を共有すると、睡眠の質が低下しているので、寝ても寝ても眠いという悩みを持っている患者さんもいます。
不眠の治療を受けていて、睡眠薬を服用してもなかなか改善しない場合は、周期性四肢運動障害が不眠に影響していないか鑑別することが重要です。特に、高齢者では、注意すべき睡眠障害の一つと言えます。
出典:堀口 淳, 周期性四肢運動障害は睡眠障害である! : 見逃してはならない脚のピクツキと悪い寝相; 精神神経学雑誌 110(2),90-93,2008
診断について
周期性四肢運動障害の診断は、自覚症状で判定されるむずむず脚症候群と異なり、客観的に脚がどのくらい動いているか、終夜睡眠ポリグラフ検査を行い診断します。病院に一晩泊って、睡眠障害を調べる検査です。検査中は、あなたの脚の動きについてビデオ撮影を行います。動画の記録を行い、診断の参考所見として活用します。
もちろん、脚の動きによって睡眠の質がどうなっているかも調べます。
一般的には、20-40秒毎に生じる脚の動きが15回以上(子供は5回以上)、電極で記録され、熟眠感の欠如、昼間の眠気がある場合に確定診断となります。
何科を受診すれば、周期性四肢運動障害を適切に診断してもらえますか?
脳神経内科、精神科です。
妊娠中に周期性四肢運動は、どのくらいの割合でみられますか?
第3半期(妊娠28週以降)の妊婦では、PLMS Index(1時間当たりのPLMSの回数):5以上を有する割合が45%、一方、PLMS Index:15以上を有する割合が25%と報告されています。妊娠中のむずむず脚症候群に周期性四肢運動は併発しやすいです。
治療について
周期性四肢運動障害に用いる治療薬として、パーキンソン病の治療にも使用されるドパミン製剤(プラミペキソール、ロチゴチン)があります。代替の薬剤として、抗てんかん薬(クロナゼパムなど)があります。
出典:Periodic Limb Movements – Sleep Education by AASM
むずむず脚症候群の治療管理と同じく、鉄欠乏、貧血、葉酸不足など2次性の要因があれば、その治療を行います。鉄分不足があれば、鉄剤による補充療法が主体になります。