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昼夜逆転生活の治し方を知りたい方へ
昼夜逆転とは
明け方に寝る、正午過ぎまで眠っている睡眠リズムで生活している方がいます。夕方遅くから深夜に掛けて仕事をしている場合に多くみられる昼夜逆転の生活パターンです。
思春期の睡眠障害の一種、睡眠相後退型の睡眠リズム障害でも状況によっては、夜と昼の生活が逆転するような状態にもなります。社会人になってからも、残業が長く、深夜の生活をしていときにも、昼夜逆転の傾向があります。
外来で相談として多い悩みは、次のようなものです。
- 明け方まで寝れない、朝、起きられない
- 夜になると目が冴える
- 午前中はずっと眠くて・・・
最近、夜遅くまで勉強(仕事)することがあり、夜更かしの癖がついてしまったことはありませんか?
なぜ、昼夜逆転が起きるのか、発症しやすい傾向と治す方法について解説していきます。
原因について
1.生活パターン
職業柄、夜間帯に仕事をする方に多いですが、交代勤務なども該当します。工場勤務をしている方からの相談を受けることがあります。夜勤専従の医療従事者、深夜まで仕事がある飲食関係のスタッフにも多くみられます。
子どもの場合、宿題をやろうとして深夜まで勉強している学生、夜遅くまでスマホ、ゲームをしている学生にも昼夜逆転の傾向がみられます。特に夏休みなど、休日が長いときは注意が必要です。
一人暮らしが始まった大学生では、遅寝、遅起きになりがちなので、朝起きれらない症状が起きることがあります。
ビジネスマンにおいては、新型コロナウイルス感染症に伴う外出の自粛に伴うテレワークが増えてきました。通勤がない生活に慣れず、夜更かしと朝寝坊をしがちな生活になり、昼夜逆転になります。
2.旅行の影響
海外旅行の場合、時差がある地域から帰国されたとき、時間帯が合わずに、昼夜逆転の生活リズムになりがちです。帰国後に体内リズムが同調できずに困ることがあります。
3.環境要因
睡眠の環境として、騒音で眠れないこと、育児のため(授乳など)眠れないことも関係しています。
4.精神疾患
こころの病気の中には、夜眠れないパターン、昼寝が長くなっている睡眠覚醒リズムをきたす場合があります。うつ病では、午前において「うつ症状」が強く、午後から夕方以降に症状が軽くなる日内変動の影響によって、昼夜逆転が起きやすいです。
5.病気の影響
思春期にみられることが多い病気として、起立性調節障害があります。起床困難、立ちくらみ、倦怠感、頭痛などの症状が出現します。自律神経のはらたきが低下することが要因として考えられています。
視覚障害者の場合、光刺激による体内時計の同調機能が働かないので、睡眠リズムが毎日1時間ずつ遅れる傾向が現れます。その過程で、昼夜逆転の生活リズムになる場合があります。
昼夜逆転の影響について
1.仕事と勉強
夜型の生活を継続していると、朝寝坊、学校に遅刻する、出社時間が遅くなるといったことが問題になります。午前中の仕事の効率が落ちる、頭がボーっとするなど、生活に支障が出てきます。
受験を控えている場合は、試験は朝から始まるため、パフォーマンスが落ちることがデメリットとしてあります。
2.メンタル面
昼夜逆転の生活があると、意欲、情緒への影響も出てきます。日中の作業効率が落ちるため、成績の低下、そして自信の喪失につながります。周囲との生活パターンにギャップがあるので、孤立感もあるようです。
クラスの友達が問題なく登校しているのに、自分だけ遅刻、欠席が続くと、不登校にもつながります。一方、社会人では、同僚からの視線が気になったり、上司からも注意を受けるなど、居心地が悪くなります。
3.身体面
質の良い、十分な睡眠がとれていないことで、体の免疫機能の低下、風邪、病気にかかりやすい状況になります。食生活にも影響することがあり、肥満、生活習慣病の発症が高まる懸念があります。
治療法について
病院では、医師があなたの生活パターンを把握するために、睡眠日誌の記録を行います。そして、昼夜逆転のパターンを確認します。その後、解消するためのアドバイスを行います。
睡眠リズムを一般的な生活のパターンに補正するために、光刺激による治療(光療法)、薬による治療、生活指導を行います。
光療法については、照明器具を用います。起床時に10000ルクスの光を20~30分浴びることで、睡眠相を前向きに動かすことができます。
一方、薬による治療では、メラトニンと呼ばれる松果体ホルモンと同様の作用を持ったメラトニンアゴニスト(商品名:ロゼレム)を活用します。この薬によって、眠くなる時間を少しずつ早く調整していきます。
昼夜逆転の問題については、原因によって対処法が異なります。そのため、詳しいことは、睡眠を専門とする医師に相談してください。
予防法について
1.朝(起床時)
体内時計をリセットするために、光を浴びることが重要です。具体的にはカーテンを開けて、朝日を部屋に取り入れましょう。忙しくて朝食を摂らない方もいますが、生活リズムを整える意味では、食事を抜かないことが大切です。
2.昼間
夜更かしがあると、翌日、睡眠不足を代償しようとして、眠気が生じます。昼寝をするときは、寝すぎは禁物です。昼寝を30分までにしないと、夜寝付けない原因になります。その結果、昼夜逆転の傾向を進めてしまいます。
日中、体を動かすことも、体内時計の調整に役立ちます。
3.夕方から夜にかけて
ニコチン、カフェインなどの覚醒物質は、寝つきを悪くします。禁煙のほか、茶、コーヒーなどのカフェインを含んだ飲み物は、夕方以降は中止しましょう。アルコールも眠りを浅くする要因です。
光刺激を避ける意味で、照明は徐々に暗くしておくこと、スマホ、ゲームをしないことも大切です。