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朝起きれない病気と対処法
朝起きられない問題とは
朝起きることが苦手であり、会社に遅刻してしまう、学校に行けないという不安を抱えていませんか。周囲からは、甘えの問題と言われるのがつらいけど、自分では原因と対処法が分からなくて、気分が滅入っている方が少なくありません。
社会人になって新生活を歩み出すとき、中学生、高校生で新しい学期が始まるとき、夏休み、大型連休明けなど、さまざまな場面で、朝起きれない悩みがあり困ってませんか。
このページでは、朝起きれない理由、関連している病気の特徴、あなたがとるべき適切な対処法について解説します。睡眠専門医が監修した記事が改善の一歩となれば幸いです。
朝起きれない原因について
睡眠外来で診察を行った中で、よくある医学的な原因として、睡眠の問題、生活習慣の影響、こころの病気、起立性調節障害、低血圧などがあります。
小学生、中学生では、発達障害なども睡眠に影響し、起床困難の理由になる場合があります。
複数の要因が起床困難を引き起こしている場合もあります。あなたの状況に該当するものがないか、チェックしてみてください。
睡眠障害の一覧
朝起きれない要因として、睡眠時間が足りているか、睡眠リズムが整っているか、そして、睡眠の質に異常はないかに注目して考えると良いでしょう。
1.睡眠不足
普段から睡眠時間が短い生活を送っていると、朝起きれないのは無理もありません。毎日、夜遅い時間に寝ると、翌朝、深い眠りの状態のため、目覚まし時計に反応せず起きられず、布団から出てこれません。寝不足は起床困難になる理由になります。
2.睡眠相後退症候群
脳内にある体内時計は、私たちの睡眠と覚醒のリズムを調節しています。夜に光刺激を受けると体内時計は遅れて、就寝と起床時間のリズムが後退します。
宵っ張りの朝寝坊というパターンになるので、目覚ましが聞こえない、朝起きれない状況になります。一方、夜は元気なので、活動できることが多いです。
寝る前のスマホを見ること、深夜までオンラインゲーム、友人とのSNSに没頭している習慣があると、睡眠リズムが遅くなっていきます。子どもの頃から夜更かしをしていると、大人になっても睡眠習慣が続くことがあります。
病状がひどくなると、昼夜逆転の生活リズムになります。
3.閉塞型睡眠時無呼吸
肥満、顎の形態、扁桃肥大など、何らかの原因によって上気道が閉塞することで、眠っているときに呼吸が止まります。度重なる覚醒が生じるので、睡眠が浅くなり、朝起きられない症状、日中の眠気が出現します。
4.その他の睡眠障害
夜眠っているとき脚がぴくっと動く病気である周期性四肢運動障害、激しい寝言、夢の内容に反応して体を動かしてしまう症状があるレム睡眠行動障害という病気があると、眠りの質は低下します。ぐっすり眠れないので、朝起きれない理由になります。
小さい頃から睡眠時間が長い体質であるロングスリーパーであると、前日の夜に早めに寝ないと、翌朝起きられないことがあります。
女性では更年期の睡眠への影響、そして、高齢者では、認知症の睡眠障害も要因になります。
薬の副作用
こころの病気、不眠症の治療のため、睡眠薬を処方されていませんか。睡眠導入剤の中には、作用時間が長いタイプがあります。長時間作用型の睡眠薬を服用すると、薬の効果が朝まで続くので、起床時に眠い、疲労感がある、寝起きが良くない症状が現れることがあります。
低血圧
朝が苦手で、午前の仕事は捗らないという人の中に、低血圧が見つかることがあります。最高血圧が100mmHg以下が目安となります。普段から疲れやすい、食欲がない、立ちくらみが多い、朝スッキリ起きられない症状が出ます。脳への血流が不十分になることがあり、女性の場合、貧血が合併すると病状が悪化します。
起立性調節障害
小学校の高学年から中学校の思春期の子どもに好発する病気です。起立性調節障害があると、自律神経の機能が低下しているので、立ち上がったときに血圧が上がらない、動悸、頭痛、頭がふらふらする、立ちくらみなどの症状が出ます。午前中の調子が悪い場合は、この病気の可能性があります。
朝起きれない症状が問題になり、不登校になる割合が多いことが知られています。10代に多い病気ですが、成人でも発症することがあります。徐々に夜型の生活になり、概日リズム睡眠覚醒障害を併発します。学校の先生、職場の上司に事情を説明して、病気について理解してもらうことも重要です。
ストレス
職場、学校などの人間関係、さまざまなプレッシャーがあると、眠っているときに緊張が続くので、目が冴えてしまいます。夜遅くまで寝付けない、眠りが浅い症状が出るので、朝起きられず、目覚めが悪くなります。
あなたが環境の変化に順応できずにいて、長い期間、繰り返し強いストレスを受けると、こころと身体の症状が出ることがあります。適応障害と呼ばれる病気で、抑うつ、不眠、起床困難、やる気が出ない症状が出現します。
うつ病
うつ病の睡眠障害は不眠が多いですが、過眠が生じるタイプがあります。この場合、朝起きれなくて、昼過ぎまで寝込んでいることが問題になります。精神科、心療内科の診察を受けて、休養することが重要です。
冬季うつ病とは、どんな病気ですか?
冬期になると日照時間が短くなることが影響して、冬季うつを発症する人もいます。季節性感情障害に分類されています。冬は眠くて朝起きれない症状が出現します。光療法を行うと、うつ症状が軽減します。
出典:Seasonal Affective Disorder – Royal College of Psychiatrists
対策について
規則正しい生活リズムを保つことがポイントです。睡眠不足、夜更かしをさけてください。
寝る前にブルーライトを浴びると、体内時計に影響するので、夜い時間のスマホの操作を控えましょう。睡眠日誌にあなたの睡眠の覚醒パターンを記録することを勧めます。
年齢別の推奨の睡眠時間を参考にして、寝不足を解消することが大切です。
朝になったら、太陽光を取り入れて体内時計をリセットすることが、睡眠と覚醒のリズムの維持に役立ちます。
おすすめの食習慣は、1日3回の食事をとりバランスの良い栄養を摂取することです。注意すべきことは、過食を避けること、そして、夕食と就寝時間を3時間あけることです。寝酒の習慣があれば、見直しが必要です。
体に負担のかからない程度で構わないので有酸素運動をすると、睡眠の質を高める効果があります。
セルフケアを行っても、なかなか朝起きれない状況が続いているなら、医師の診察が必要です。気持ちの問題と決めつけないことが重要です。医療機関の診察の流れとして、どんな睡眠の病気が影響しているか、原因を調べることから始まります。
睡眠障害のことなら睡眠外来、そして、こころの病気が影響しているときは、精神科、心療内科の病院への受診を考えてください。