- ホーム
- 寝る前のブルーライトと睡眠の関係
寝る前のブルーライトと睡眠の関係
ブルーライトとは何か?
人の目に見える光である可視光線に含まれている青色光のことです。可視光線の中で、最も波長が短く高いエネルギーをもっている特徴があります。
ブルーライトを放出しているものは何ですか?
太陽光から放射されています。特に晴の日は、ブルーライトを浴びる量が増えます。パソコン、スマートフォン、テレビなど、バックライトにLEDが使われている液晶画面からブルーライトが発せられています。
ブルーライトが体に与える影響
ブルーライトは脳と目に影響します。私たちの脳には、体内時計と呼ばれる生体のリズムを調節する仕組みがあります。
私たちは、日中は光を浴びて明るい環境で過ごし、夕方から夜間にかけて暗くなる環境で過ごしています。体内時計の働きによって自律神経が体温、血圧、ホルモンの日内変動を適切に調節しています。そして、夜になると覚醒から睡眠の状態へと導かれます。
何らかの原因によって、夜にブルーライトを浴びてしまうと体内時計の調節が乱れ、睡眠と覚醒のリズムが崩れます。その結果、寝不足、自律神経の乱れが生じて、体調不良になります。
子どもの場合、睡眠不足になると、身体と精神への影響があり、成長と発達の問題が発生する懸念があります。
ブルーライトは可視光線の中で強いエネルギーをもっているので、暴露量が多いと網膜に負担がかかります。さらに、ブルーライトは散乱する性質をもっているので、物体を見るときにまぶしさを感じ、疲れ目を引き起こします。
眼科の病気の中で、網膜炎、加齢黄斑変性との関係も指摘されています。
なぜ睡眠障害を引き起こすのか?
夜にブルーライトによる光刺激を受けると、松果体でのメラトニン分泌が抑えられてしまいます。そして、概日リズムの乱れを引き起こします。
出典:Shedding Light on Blue Light and Sleep – AAST
メラトニンは睡眠を促すホルモンと呼ばれており、私たちの体を睡眠の状態に促してくれます。本来、環境が暗くなるとメラトニン分泌が高まりますが、ブルーライトを浴びてしまうと私たちの体が昼間の環境であると判断して、眠れなくなってしまいます。
夜更かしをしてブルーライトを浴びる状況が続くと、体内時計に影響して、睡眠リズムが少しずつ後退していきます。
概日リズム睡眠覚醒障害の中で、睡眠相後退型と呼ばれています。
具体的な症状として、深夜になっても目が冴えてしまって、寝つくまでに時間がかかります。そして、朝起きられないという問題を抱えている場合が多いです。病状が悪化すると、昼夜逆転の生活リズムなる弊害が生じます。
深夜までスマホでゲーム、動画視聴をしたり、テレビを見たり、夜更かしの習慣が原因となって睡眠障害が起きている場合が少なくありません。
寝つきが悪いので不眠症と思い込んで睡眠外来の診察を受けたら、睡眠リズムの問題が入眠困難の理由であることが分かる場合があります。
ブルーライトが睡眠の質に及ぼす影響を調査した研究論文があります、その結果によれば、就寝時刻の1時間前にブルーライトを浴びると、深い眠りの割合が低下することが判明しました。
寝る前にブルーライトを浴びてしまうと、睡眠リズムだけではなく睡眠の質にも弊害が生じます。
対策について
ブルーライトが健康に及ぼす悪影響を予防するためには、夜間帯にブルーライトの暴露を避けることが大切です。
夜になったら、暖色系の弱めの照明にしたほうが、メラトニン分泌の抑制と睡眠覚醒リズムへの影響が少なくなります。
出典:Blue light has a dark side – Harvard Health
夜間帯の照明について、赤色、黄色、オレンジ色などで照度を落とした状態にすれば、体内時計に与える影響が少ないことが分かっています。
出典:The Color of the Light Affects the Circadian Rhythms – CDC
就寝時刻の2~3時間前から、室内にある照明器具の照度を下げていくことを勧めます。普段から、夜になったら徐々に暗くしていくことが理想的です。ブルーライトを発する電子機器からの影響を防止するために、適宜、休憩をとったり、ブルーライト対策の液晶フィルムを使ったり、工夫しましょう。
夜更かしを避け、夜にスマホで動画をみたり、オンラインゲームをしたり、寝る前の習慣を見直すことが大切です。