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小学生は何時間眠ることが適切か?
どのくらいの睡眠時間が理想であるか知りたい方へ
小学生の場合、幼稚園から入学したばかりの一年生から、中学受験を控える六年生まで、年齢の幅が6年あります。そして、低学年と高学年において、体格が大きく変化します。そのため、何時間、眠れば良いか悩んでいる保護者から、相談を受けることが多いです。
学年が上がるごとに勉強量が多くなり、塾通い、習い事が増えます。その結果、寝不足の傾向が目立つようになります。そして、睡眠不足による眠気、起床困難が生じたり、体の発育、情緒面への影響が出ます。
今回は、小学生が知っておきたい睡眠時間の大切さを学びましょう。
国内の統計
内閣府が調査した報告によれば、平均就寝時刻について、10歳以上の小学生では、21時57分でした。一方、平均起床時刻は6時38分でした。このデータから計算すると、小学生4年生から6年生の子どもの平均睡眠時間は、8時間41分です。
年長の幼稚園児と比較すると、小学生1年生では、起床時間が午前7時前の割合が、42.8%から 86.2%に上昇しています。一方、就寝時間が午後9時台の割合が、54.6%から61.1%に上昇していることが、厚生労働省の調査で分かっています。
出典:第7回21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児) – 厚生労働省
幼児期から学童期への移行期に、睡眠時間が短くなり、通学のために早く起きるようになる印象です。一方、寝る時間が遅くなる子どもが増えます。
睡眠不足の子ども
小学校の高学年になると、中学受験が近づき、低学年と比較して勉強に費やす時間が長くなります。さらに、夜遅い時間まで学習塾で受験勉強をする子どもが増えます。
2001年に生まれた子どもは、小学4年生から携帯電話(スマートフォン)を持ち始める割合が最も多いのに対し、2010年に生まれた子どもでは、小学生1年生から携帯電話を所持する割合が最も高くなっています。
世代が進むにつれて、低学年から、親との連絡用、居場所を確認する目的で、携帯電話(スマートフォン)を持つ割合が増えます。同時に、ゲームを利用する割合が高くなっています。学年が上がるにつれてゲームをする子どもが増え、ゲームをする時間も長くなる傾向です。
小学4年生の約75%がゲームを行っており、学校のある日に1時間以上ゲームをする割合が約50%と概算されています。
出典:第10回21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児) – 厚生労働省
日常生活において、スマホの普及およびゲームで遊ぶ小学生が増えた事実があります。子どもの中には、スマホ、ゲームに没頭して、早く寝ない、朝起きられないという問題を抱えている場合があります。その結果、睡眠不足の症状を引き起こします。
小学生の推奨されている睡眠時間
米国の国立睡眠財団は、6歳~13歳の子どもに必要な睡眠時間が9~11時間であると発表しています。ただし、7~8時間および12時間の睡眠については適切である可能性も示しています。
幼稚園から進学して間もない小学1年生と、思春期に入る時期である小学5~6年生では、体の発育に個人差が生じます。そのため、推奨の睡眠時間に幅があると考えられます。
米国睡眠学会は、6~12歳の子どもが最適な健康を保つために、9~12時間眠るべきであるという勧告を出しています。
英国の国民健康サービスは、6~12歳の子どもにおける適切な睡眠について9~12時間を推奨しています。
出典:NHS
一方、オーストラリア連邦政府の保健省は、5~13歳では毎晩9~11時間の睡眠が健康増進のために必要であるという指針を発表しています。
小学生では、年齢によって大きく個人差が出ます。そのため、日中に眠気を感じるようであれば、同年代の子どもの睡眠時間より長めに眠る必要があります。
小学生の睡眠不足の影響について
睡眠時間が足りない状況が続くと、午前中の調子が悪くなることが多くなります。
文部科学省が小学5年と6年の子どもの睡眠習慣を調査した報告を紹介します。
出典:睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果 – 文部科学省
午後11時~午前2時までに寝る小学生の約20~40%において、午前中の調子が悪いことがよくあるという結果でした。就寝時刻が早いほど、体調不良を訴えることが少なくなる傾向です。
精神面への影響として、就寝時間が遅いほど、イライラする子どもの割合が高くなっています。
就寝時刻が遅いと、朝起きることがつらくなり、遅刻の日数が増加します。午後11時から午前0時までに就寝する小学生高学年の16%が、1ヶ月に1日以上の遅刻を経験しています。
就寝時刻が遅い子どもでも、養育者によって起こされて、登校しているという現実もあります。しかし、普段の日は起きられても、休日は起床時刻が遅くなる場合が少なくありません。
小学生において、休日の起床時刻が登校日と比較して2時間以上ずれる割合が、約40%と概算されています。
一般的に、週末に平日より2時間長く寝る人には、睡眠負債があります。つまり、長い期間に渡って睡眠時間が不足している状況と言えます。
文部科学省が行った調査のデータから推測すると、相当数の小学生が、寝不足で過ごしていることに気づいていない可能性があります。
一般的に、睡眠負債があると、授業中の眠気を感じることが多くなり、情緒が不安定になります。集中力および記憶力が低下するので、成績が落ちる懸念があります。
おすすめ
朝すっきり目覚めて、遅刻せずに学校にいくこと、そして、授業中に居眠りをせずに勉強するためには、就寝と起床時刻を決めておくことが大切です。
睡眠専門医の立場から言うと、小学生では、夜9時30分に寝て朝6時30分に起きる生活リズムにして、9時間の睡眠時間を確保しましょう。
受験が近づいている高学年では、遅くても夜10時30分までに就寝して、朝6時30分に起床する睡眠リズムを目指すことを勧めます。