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不眠の症状で悩んでいる方へ
不眠症とは
毎日、ぐっすり眠れていますか?
睡眠障害の中で、不眠の悩みは、あなただけではありません。次のような症状で困っていませんか?
- 昼間、眠くて仕事ができない
- 眠りが浅いので、翌日、体がだるい
- 気力がわかない
ストレスの増加、社会の24時間化に伴い、不眠で困っている方は増えています。岐阜市のオフィス街の近くにある当院でも、不眠に悩むビジネスマンからの相談が増えています。
疲れがとれないという問題を抱えている場合も少なくありません。最近眠れていないので頭が働かないという問題、そして、眠れないまま朝になったという悩みもよく聞きます。熟眠できない方が医師の診察を受ける前に知っておきたい医学知識について、紹介します。
症状について
まずは、睡眠の質、長さ、タイミングについて悩んでいる症状が、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒の一つに当てはまることを確認してください。
入眠困難
夜なかなか寝付けないタイプです。ベッドに入ってから、眠りにつくのにに30分から1時間かかる場合が該当します。不眠症の中で、よく相談される訴えです。
中途覚醒
眠りに入っても、その後、何度も目が覚めてしまう、一旦、夜中に目が覚めると再び眠ることができないタイプです。加齢に伴い、眠りが浅くなります。中高年に多いです。
早朝覚醒
自分が起床したい時間よりも、朝早く目が覚めてしまい、その後、眠れないタイプです。高齢者では、睡眠リズムが前進する傾向にあるので、この症状が出やすいです。
上記のような症状があり、夜間の睡眠への影響があることに加えて、以下のような昼間への影響があったときに、不眠症と診断します。
日中への影響
- 昼間の眠気
- 集中力の低下
- 仕事能力の低下
- 勉強できない
- 精神的に参っている
長い期間、眠れない状態が続くと(睡眠時間が不足すると)、肥満、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームを発症しやすくなります。
原因について
いろいろな原因がありますが、私たちの睡眠(眠るはたらき)と覚醒(起きるはたらき)のバランスがうまく調節されていないときに、不眠が生じると考えられています。
具体的には、以下の要因があります。
1.ストレス
家庭、仕事、プライベートの悩み、不安などが引き金となっておきます。人間関係(親族、ご近所、学校)、子どもの進学の悩みから経済的な問題などがあります。夫婦では離婚も大きなストレスとなり、不眠の引き金になることがあります。
日本では、地震が起きることが多く、震災によるストレスのため、眠れない人もいます。
2.生活習慣の乱れ
不規則な生活を過ごしている、寝る時間がいつも遅い、夜更かしが多いなど、日常生活のリズムが安定していないと不眠の原因になります。
3.内科の病気
気管支喘息(夜間の咳)、アトピー性皮膚炎(痒い)、リウマチ性疾患(痛い)、睡眠時無呼吸症候群(呼吸が止まる)、前立腺肥大(何度もトイレに起きる)、片頭痛、緊張型頭痛など、さまざまな病気のために、不眠の症状が出ます。
気温と湿度の高い環境になると、自律神経による体温調節が不十分になることがあり、夏バテの症状が出現することがあります。眠りが浅くなる原因になります。
稀な病気ですが、遺伝性プリオン病として、致死性家族性不眠症が報告されています。
4.産後の影響
赤ちゃんを出産した女性は、女性ホルモンの変化、慣れない子育てによるストレスによって、寝不足になりがちです。
5.更年期の影響
女性が閉経を迎える時期になると、女性ホルモン低下の影響によって、ホットフラッシュ、寝汗などの症状が増えます。そのため、不眠を訴えることがあります。
6.年齢による変化
加齢に伴って睡眠時間が短くなり、浅い眠りが多くなっていきます。さらに、身体の病気による症状(疼痛、掻痒感、排尿回数の増加など)によって眠りの質が低下します。認知症の合併は、不眠を引き起こします。
7.嗜好品と薬剤の影響
アルコール・カフェインの摂取、ニコチンの影響があります。病院で処方されている一部の薬では副作用のため、不眠が生じることがあります。
8.精神の病気
代表的な精神疾患として、うつ病、不安障害、および双極性障害などがあります。うつ病では、早朝覚醒が出現することが多いです。統合失調症を発症すると、殆どの人において不眠が出現します。
一般的に、ストレス性の要因で相談を受けるケースは多いです。さまざまな悩みは、浅い眠りが起きる理由になります。自律神経およびホルモンのバランスが乱れるので、眠れない状況が悪化します。
診断の方法
不眠症の診断は、主に患者さんの症状や睡眠パターンの詳細な聞き取りによって行われます。医師が、睡眠時間と眠りの質、寝つきの悪さ、夜中に目覚める回数、早朝覚醒の有無、日中の眠気や疲労感など日常生活への影響などを評価します。
睡眠日誌の記録も参考になります。場合によっては終夜睡眠ポリグラフ検査を施行して、眠りの質、他の睡眠障害の併発がないかを調べることもあります。
不眠の原因となる可能性のある他の健康問題や生活習慣、治療薬の使用状況なども評価されます。これらの情報を総合的に分析し、不眠症の診断を確定します。
治療法について
不眠の症状が、内科の病気、精神の病気である可能性があるときは、まずは、基礎疾患の治療を行います。薬剤性については、担当医と相談の上、薬剤量の調整、変更を考えます。
同時に、睡眠の質に影響しているものについて、改善点をアドバイスをします。睡眠日誌の記録に基づいて、生活パターンの見直しも助言します。高齢者の場合、睡眠制限法を用いることがあります。
それ以外の不眠症の場合は、内科、心療内科、精神科などで、薬による治療を考えます。薬剤の依存性に注意しながら、下記のタイプの薬を用いて、不眠を解消します。病状に応じて、適切な薬について担当医が選択します。
- GABA受容体作動薬
- メラトニン受容体作動薬
- オレキシン受容体拮抗薬
- 漢方薬
睡眠薬を長期に服用すると依存の心配が出てきます。そのため、ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使うよりは、薬の耐性と依存性の心配が少ないオレキシン受容体拮抗薬を処方するケースが多くなってきた印象があります。別の切り口として、自然な眠りを期待して不眠症の漢方薬を試すこともあります。
予防法について
自分でできる不眠症のセルフケアとしては、以下のようなことを勧めます。
- 寝る時間にこだわり過ぎないようにする
- ベッドは、眠るためだけに使う
- 就寝前の刺激物(カフェイン)を避ける
- 寝酒を止める
- 睡眠時間にこだわらないようにする
- 毎朝、同じ時間に起きるにようにする
- 起床時に、太陽の光を部屋に取り入れる
- 昼寝は20~30分までにする(午後3時まで)
- 規則正しい食習慣と適度の運動をする