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睡眠専門医が教える中途覚醒の理由
なぜ途中で目が覚める症状が起きるのか
不眠の症状で悩んでいる方の中に、寝つきは良いのに、夜、途中で目が覚めてしまう症状が問題となっていることがあります。眠っているときに、目が覚めてしまう症状は、中途覚醒と呼ばれています。
途中で目が覚めると、眠りが浅い、ぐっすり寝た気がしない、昼間眠いなどの症状が問題になります。
中途覚醒の原因として多いものは、ストレスですが、睡眠覚醒リズムの不調、交代勤務、ライフスタイルの多様性の影響もあります。
このページでは、よくある「途中で目が覚める理由」について解説します。
ストレスはありませんか
一番多いものは、職場の人間関係、仕事内容があります。上司や同僚との関係が良くない、抱えている仕事が多すぎて、気が休まらない、納期が迫っているので焦っているなどがあります。
- 仕事の量が多い(残業が多い)
- コミュニケーションが取れない
- 上司と合わない
職場ストレスがある、過剰な仕事量で悩みがある、締め切りに追われている状態があると、帰宅後もリラックスすることができません。眠ってからも緊張状態が続くため、目が覚めやすく、グッスリ感がなくなります。
悪夢を見て目が覚める
恐ろしい夢を見て、目が覚めることはありませんか。目覚めたときに夢の内容を覚えていて、再び、寝付くことができない症状が問題になる悪夢障害という病気があります。
夜間の睡眠が妨げられることで、日中の活動に支障が出る、眠気が問題になります。
交代勤務・生活リズムが一定ではない
夜勤がある人に多い理由です。働いている時間が不規則であると、私たちの体内時計(睡眠覚醒リズム)が、自然の明暗リズムに同調できません。
シフトワークの変わり目、夜型の生活を急に朝方に変えることなど、体内時計と外界のリズムとミスマッチが生じることが、目が覚めやすい理由になります。
うつ病では不眠が起きます
特に、几帳面で仕事をきっちりしないと気が済まない、責任感が強く過剰にがんばってしまうタイプであると、過重労働になりがちです。燃え尽きる感じになり、落ち込む、憂うつな症状を発症します。
あなたを取り巻く環境要因として、慣れない土地に引越しして心細い、仕事の内容が変わり戸惑っている、昇進したので責任が多くなることは、うつ病が発症する契機になります。
うつ病を早目に捉えるサインとして、うまく眠れない、途中で目が覚めることに注意すると良いでしょう。
一般的に、精神疾患があると、夜中に目覚めることが多くなります。熟睡できない症状が続くと、自律神経の乱れ、日中の眠気、疲労感などを引き起こします。
アルコール摂取の影響
寝る前にお酒を飲むと寝つきやすくなりますが、アルコールが分解されていくと、代謝物質であるアセトアルデヒドが血中に増えます。その結果、眠りが浅くなり、目が覚めやすくなります。さらに、一度、覚醒してしまうと再入眠が困難になります。
途中で目が覚める睡眠障害の2種類
1.睡眠時無呼吸症候群
体重増加、肥満者に多くみられる、眠りの病気です。眠っているときに、気道が狭くなり呼吸が止まります。体が酸素不足になるので、苦しい感じます。低酸素血症を防ぐために努力呼吸が生じることが、途中で目が覚める理由です。重症の場合、自分のいびきで起きてしまうことがあります。
2.周期性四肢運動障害
夜寝る前に、脚の不快感が生じる、むずむず脚症候群に合併することが多い病気です。眠っているときに、下肢の筋肉が周期的にピクッと動くことで、覚醒の症状を引き起こします。本人が気づかないこともあります。
トイレに何度も起きてしまう
眠ってから、尿意を催して何度もトイレに行く症状はありませんか。排尿のために、繰り返し起きなければならない症状は、夜間頻尿と呼ばれています。この悩みは、高齢になると多くなります。
夜間頻尿が起きる原因として考えられるものは、以下の通りです。
- 水分の取り過ぎ
- カフェイン、アルコールの影響
- 治療のため服用している薬の副作用
- 未治療の睡眠時無呼吸症候群
- 糖尿病
- 慢性心不全
- 脳血管障害
- 膀胱機能障害
頭痛で目が覚める
就寝中に頭痛が生じると、途中で目が覚める症状が起きます。群発頭痛、睡眠時頭痛などの病気があります。疼痛によって、睡眠の質も低下します。
その他の要因
1.加齢の影響
若い頃と比較すると高齢になるにしたがって、眠りの質が低下していきます。老化の現象として、途中で目が覚める、一度、目が覚めたら、その後寝付かれないという症状が出やすくなります。
年齢が高くなるにつれて、眠っているときに足がつるので、痛くて目が覚めるという人も増えます。
2.妊娠の影響
女性の場合、妊娠中も途中で目が覚める要因が多くなります。初期では、つわりの症状、中期以降では、頻尿、胎動が気になる、そして、腰痛の症状が、途中で目が覚める理由としてあります。
妊婦の中には、妊娠後期にいびきが悪化する場合があります。睡眠時無呼吸症候群によって、眠りが浅くなって目が覚めやすくなる事例もあります。
3.環境の問題
夏になると寝室が高温と多湿の環境になります。特に6月から9月にかけて蒸し暑い日が続きます。暑さからくる体調不良である夏バテが起きて、途中で目が覚めることが多くなります。
集合住宅に住んでいる人では、隣人の部屋、上階から響く大きな音が不眠の要因になることが多いです。騒音によって、眠りが妨害されます。
対策について
1.睡眠リズムを一定にする
寝る時間と起きる時間を一定にすることが大切です。体内時計を安定させる効果があり、途中で目が覚めにくくなります。ある程度、自分にあったサイクルで生活しておくことで、良い眠りが出ます。
2.就寝前のスマホ・テレビを控える
夕方以降、就寝前に、スマホを操作する時間が長くなると、寝つきが悪くなったり、浅い眠りが起きる原因になります。夕方以降は、なるべく光刺激を受けないよう、室内の照明の照度を落としておくことも大切です。
3.寝室の環境整備をする
物理的な音、振動があると、人は目が覚めます。騒音の対策をしましょう。また、外界からの光が入ることも避けるため、遮光カーテンの活用も勧めます。その他、部屋の温度、湿度についても調整が必要です。
睡眠専門医があなたの悩みを解決します
セルフケアをしても、途中で目が覚める症状が続くとき、思い当たる不眠の症状を引き起こす病気があるときは、睡眠専門医の診察を受けてください。