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途中で目が覚める症状に効果がある睡眠薬
はじめに

毎晩のように繰り返される中途覚醒に、あなたは疲れ果てていませんか?
朝までぐっすり眠りたい・・・
せっかく眠りについても、眠りが浅くて決まったように途中で目が覚めてしまう。そして、なかなか寝つけず、朝までの時間を不安と焦りの中で過ごしてしまう。不眠が続くと、日中の集中力も低下し、翌日の仕事や家事にも支障が出始めているかもしれません。
途中で目が覚める原因はさまざまで、不眠症に対する対処法も異なります。もちろん、朝までぐっすり眠れるために、薬以外の方法を模索する方向が良いです。そして、睡眠衛生を改善しても不眠が治らないときに、薬による治療を初めて検討します。
そんなとき、「睡眠薬を使いたいけれど、依存が心配」「副作用が怖い」という不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
このページでは、中途覚醒に効く睡眠薬の特徴や使い方、注意点を説明していきます。
中途覚醒とは何か?

中途覚醒は、一度眠りについた後、夜中に目が覚めてしまう症状のことです。一旦、目が覚めるだけでなく、その後なかなか寝付けず、朝まで十分な睡眠が取れないことが特徴です。
その結果、有効な睡眠時間が短くなったり、眠りの質が低下したり、体にとって十分な休息が与えられない状況となります。そして、起床時のぐっすり感が得られず、日中の集中力の低下、眠気など、悪影響が現れます。
夜中に何度も目が覚めて再び眠れない症状は不眠症の症状の一つであり、加齢に伴って増加する問題です。つまり、中高年に多い傾向があります。もちろん、若い世代にもみられ、精神的なストレスや不安による影響が大きく見られます。
また、夜間の頻尿、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害、胃酸の逆流といった身体的な問題も中途覚醒を引き起こします。
一方、生活習慣では、夕方以降のカフェイン摂取、就寝前のアルコール、不規則な睡眠時間、寝室環境の問題(騒音・温度・光)なども関わってきます。臨床的には、複数の原因が途中で目が覚めることに影響していることがあります。
どんなときに薬による治療を検討すべきか?
朝までぐっすり眠れる薬の使用を検討すべき状況は、生活習慣の改善(就寝時間の調整やカフェイン制限、寝室環境の整備など)を2~3週間試みても改善が見られない場合です。
ただし、その前に、内科的な病気(睡眠時無呼吸症候群、逆流性食道炎、過活動膀胱あるいは前立腺肥大による頻尿など)、更年期障害による影響を、医師に相談して除外することが重要です。したがって、初診では不眠症の理由について、問診および各種検査によって調べていきます。
あなたの睡眠は大丈夫ですか? もしも、何度も目覚めて再入眠できない状態が週3日以上続いたり、日中の集中力低下や体調不良が続くようであれば、不眠の原因精査を含めた睡眠専門医への相談をお勧めします。
なお、本記事では特に「中途覚醒(夜中に目が覚めてしまう)」に効果的な薬に焦点を当てています。寝つきの悪さ(入眠困難)でお悩みの方は、別途、寝つきが悪いときに用いる薬の記事を参考にしてください。
中途覚醒に効果的な睡眠薬とは

途中で目が覚める症状を抑えるためには、適切な作用時間を持つ睡眠薬の選択が重要です。睡眠を助ける薬には、それぞれの作用時間があります。
寝つきが悪い人には、薬の効き目が短いものを用います。筋弛緩作用が少ない超短時間作用型の睡眠薬(非ベンゾジアゼピン系)が選択肢になります。
その一方、途中で目が覚める人に対しては、ある程度、長く効き目が続くタイプが検討されます。具体例として、中時間作用型以上のタイプの薬を検討します。具体的には、サイレース、ユーロジンなどの薬剤があります。注意点としては、薬の効果が長い反面、翌朝に眠気が残ることに注意しなければなりません。
人によっては、短時間作用型(例:レンドルミン、リスミー)で対応できる場合があります。参考までに、朝まで効果が持続する長時間作用型の薬剤は、早朝覚醒(朝、早い時間に目覚める)に対処するときの選択肢になります。
具体的な薬の選び方について

中途覚醒の薬物療法は、依存性の観点からオレキシン受容体拮抗薬を検討することを勧めます。この薬は、自然な眠りを促し、翌日への眠気の持ち越しも少ないという特徴があります。
依存性が少ない睡眠薬という利点がありますが、欠点として、薬価が高いことがあげられます。なぜならジェネリック薬がまだ発売されていないからです。国内において、ベルソムラ、デエビゴ、そして、クービビックの3剤が発売されています。
実際の薬剤選択では、患者さんの症状パターンや生活リズム、年齢などを考慮します。そして、外来で処方された後の再診で、朝まで眠りが深くなる実感が得られるように、用量と就寝時刻の調整をします。もちろん、副作用があれば、対処していきます。
短時間作用型以上の薬はベンゾジアゼピン系の薬剤であり、脳内の神経伝達物質であるGABAの働きを促進することで、睡眠を助けます。欠点として、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、長期の使用によって依存性が形成されることがあげられます。
効果が十分でない場合には、従来型の睡眠導入剤であるベンゾジアゼピン系の使用を検討します。ただし、この薬は依存性、離脱症状に注意が必要なため、医師の指導のもと、適切な用量と期間を守って使用することが重要です。
こころの病気が併発しているようなケースでは、他の向精神薬との調整が必要になるので、精神科での管理が必要になります。
他の方法として、漢方薬(抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、加味帰脾湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、酸棗仁湯など)を併用する場合もあります。自然の生薬によって構成されており、依存性の問題がないという利点があります。精神を安定させる効能を併せ持つこともあります。
ただし、体質によって効果の現れ方には個人差があります。軽症の不眠であれば、睡眠衛生の改善に加えて、漢方薬から始めるという方法も良いと考えます。通常、子どもの場合には、睡眠薬の処方は控えます。
どの薬を選ぶにしても、年齢や持病の有無、薬の相互作用、生活スタイルなどを考慮して、医師とよく相談しながら、最適な不眠症治療薬を選んでいくことが大切です。そして、翌朝に眠気が残らないように調整していくことが求められます。特に、高齢者は、朝方のふらつき、転倒に注意を要します。
朝までぐっすり眠れる市販薬はあるか?

薬局やドラッグストアで購入できる睡眠改善薬は、一時的な不眠の症状を改善するためのお薬です。たとえば、寝つきが悪い、眠りが浅い、といった一時的な症状に使われます。
代表的な商品として、ドリエルやネオデイ、そしてリポスミンがあります。これらの市販薬には、主成分としてジフェンヒドラミン塩酸塩が含まれています。海外において、睡眠改善薬はSleep Aidという名称で販売されています。
市販の睡眠改善薬は、脳を覚醒させるヒスタミンという物質の働きを抑えることで、鎮静作用を引き起こす仕組みになっています。これは、風邪薬あるいは花粉症の薬を飲むと眠くなるのと同じような作用です。
薬の成分が引き起こす副作用について、知っておく必要があります。具体的には、ジフェンヒドラミン塩酸塩は、眼圧を上げたり、尿の出を悪くしたりする作用があります。そのため、高齢者、緑内障あるいは前立腺肥大のある方は使用を避ける必要があります。その他の注意点として、何らかの病気で治療薬を飲んでいる場合も、相互作用の確認を要します。
不眠が2週間以上続いたり、睡眠改善薬を3回以上飲んでも病状が改善しないときは医師の診察を勧めます。その理由として、抗ヒスタミン剤の鎮静効果には、短期間で耐性が形成される事情があります。ジフェンヒドラミン塩酸塩の服用を続けるほど、眠気を感じにくくなる傾向があります。
出典:Sleep aids: Understand options sold without a prescription – Mayo Clinic