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フルニトラゼパムによる不眠症の治療
サイレースとは
サイレースはベンゾジアゼピン系に分類されている中時間作用型の睡眠薬です。他の睡眠導入剤を服用しても睡眠障害に対する効果が不十分であるときに、使用されています。青色の錠剤であり、1mgと2mgの規格があります。
サイレースの商品名は何ですか?
一般名のフルニトラゼパムの後に製薬会社の名前が追加されています。
サイレースの先発品をジェネリックにすると、どのくらい価格が下がりますか?
サイレース錠1mg(薬価:10.3円)とフルニトラゼパム錠1mg(薬価:5.7円)を比較すると、約5円安くなります。
出典:サイレースの後発品一覧 – 日本ジェネリック医薬品学会
効果について
サイレースの薬理作用は、有効成分であるフルニトラゼパムがベンゾジアゼピン受容体に結合します。その結果、中枢神経系の抑制するGABA神経系が亢進します。そして、睡眠作用が発現します。同時に、筋弛緩作用も現れます。
サイレースを服用すると、寝つくまでの時間が短くなること、および、睡眠時間が長くなる効果があります。
添付文書によれば、サイレース(2mg)を服用して有効成分が体内で吸収されてから、0.75時間で最高血中濃度に到達します。半減期は、約21時間です。
ルネスタ、レンドルミンと比較すると作用時間が長い特徴をもっているので、睡眠時間の全体で効果が持続します。そのため、中途覚醒、早朝覚醒で悩んでいる人に対して処方されることがあります。
睡眠薬の中では、効き目が強いタイプと言えます。個人差はありますが、効果時間は6~8時間ほど持続する印象です。そのため、不眠症の症状の中で途中で目が覚める悩みがあるときに、サイレース内服を検討します。
どのような効能と効果がありますか?
不眠症、麻酔前投薬です。
副作用について
半減期が長いため、翌朝に薬の効果が残る人もいます。そのため、起床時のふらつき、眠気、倦怠感が現れることがあります。高齢者では、転倒に注意しなければなりません。
薬が効きすぎて、朝起きれない、寝すぎる、寝起きが眠いという症状があるときは、投与量や服薬のタイミングを検討すべきです。
セルシン(商品名:ジアゼパム)と同様な薬理作用があることから、薬を飲んでからの記憶がなくなるという前向性健忘が起きることがあります。
海外の研究報告によれば、こころの病気をもっている人が3ヶ月以上フルニトラゼパムを服用したときに、睡眠中の異常行動が出現した割合は、24.6%でした。具体的な症状として、夢遊病の症状、睡眠関連摂食障害、睡眠中の会話などがありました。
フルニトラゼパムの高用量(2mg以上)とアルコール摂取があると、異常行動が起きやすいことが明らかになっています。
一般的に、サイレースを服用するときは、飲酒を避ける必要があります。さらに、副作用の発現を考慮すると、低用量から内服を開始することが安全です。
サイレースの連用により依存症および耐性が起きることがあるので、長期に薬を服用するときには、処方医とよく相談しなければなりません。
急に服薬を中止すると、離脱症状が出現することがあります。具体的には、動悸、発汗、吐き気、頭痛どの自律神経症状です。さらに、不安、反跳性不眠が問題になります。
出典:Brett et al. Management of benzodiazepine misuse and dependence. Aust Prescr. 2015;38(5):152-5.
薬の服用方法について
1回についてサイレース0.5~2mgを、就寝直前に内服します。高齢者は少量から服用することが望ましいです。最大用量は1日当たり2mgです。
サイレース錠には割線があり、半分に割ることができます。そのため、フルニトラゼパム0.5mgあるいは1.5mgなど、投与量の調節をすることができます。
添付文書にも年齢や症状によって適宜減らすことができるという記載があるため、1.0mg錠を半分にカットした0.5mgから、内服を開始することもあります。
注意事項について
不眠の治療するためにサイレースを飲み始めるときは、決められた用量と用法を遵守することが大切です。睡眠薬を自己判断で過剰に服用することは止めてください。
オーバードーズによって、呼吸抑制、昏睡が起こり、致死的な結果になる危険性が高いことが報告されています。
出典:引地和歌子 他; 過量服薬による致死性の高い精神科治療薬の同定 ―東京都監察医務院事例と処方データを用いた症例対照研究―, 精神神経学雑誌;118:3-13,2016
サイレースは作用時間が長いため、超短時間作用型の睡眠薬と比較すると、翌日の眠気が生じる可能性が高いです。そのため、車の運転を中止する必要があります。
強い睡眠作用と記憶障害が起きることから、性犯罪にフルニトラゼパムが使われたという報告があります。
出典:Rohypnol – United States Drug Enforcement Administration
他の向精神薬と同様ですが、薬の取り扱いと服薬管理について、十分に注意する必要があります。さらに、海外渡航を予定しているときは、サイレースの持ち込みが許可されない場合があることを知っておきましょう。