- ホーム
- 起立性調節障害が朝起きられない原因かも?
起立性調節障害が朝起きられない原因かも?
起立性調節障害とは
私たちが立ち上がるときに、何らかの原因によって自律神経がうまくはたらかないことで、立ちくらみ、ふらつき、頭痛などの身体症状が起きる病気です。心理的なストレスが、その発症に関わっています。そのため、子どもの心身症の中で、起立性調節障害の頻度は高いことが知られています。
出典:加古川医師会
小学校の高学年から増え、中学生、高校生など、10代に多くみられます。朝起きられない症状が問題になります。
大人でも発症することはありますか?
環境の変化からくるストレスがきっかけとなると、症状が出現することがあります。遅刻、欠勤、午前中の仕事の効率が低下する傾向になります。
原因について
自律神経には、交感神経、副交感神経の2種類があります。私たちが起き上がるときは、交感神経がはたらき、心臓からの血液の拍出量を増やし下半身の血管を収縮させることで、血圧を安定化させます。
起立性調節障害では、自律神経の仕組みがうまく機能しないので、さまざまな身体症状が出現すると考えられています。
症状について
- 立ちくらみ、めまい
- 失神することがある
- 倦怠感
- 頭痛
- 朝起きられない
- 食欲の低下
- 動悸と息切れ
- 乗り物酔い
起立性調節障害の特徴として、体調が良くないという訴えが午前中に多いことがあります。午後から夕方にかけて元気になっていくというパターンが多いです。
季節の変わり目、天候の変化によって、症状が悪化することあります。
どんな影響が問題になるか
起床困難が問題となることから、遅刻と欠席が多くなります。保護者、教職員において病気に理解がないと、怠けていると誤解されることがあります。その結果、本人には孤立感が生じて、不登校、ひきこもり傾向になります。
友人からも学校の授業をさぼっていると思われ、いじめ問題につながるケースもあります。適応障害、うつ病などの、こころの病気を発症することがあります。
出席日数が足りない、成績の低下が問題になることから、中退、留年する場合があります。
睡眠障害が合併します
寝る時間が遅い、朝起きられないという、睡眠相後退型の睡眠リズム障害を呈することが多いです。同時に、睡眠不足になる傾向があります。不眠の悩みを解消するために、睡眠薬を服用する人もいます。
出典:毛受矩子, 青年期における起立性調節障害と睡眠との関連 四天王寺大学紀要49,247-263,2010-03
睡眠覚醒リズム障害で困っている人の中で、起立性調節障害がある割合は57.9%であり、20歳未満になると合併率が70%と報告されています。
朝起きれない症状がある子どもで、不登校があるときは、睡眠について診察を受けるべきです。
夜型の生活になる傾向にあるので、子どもでは、ゲーム依存の問題も懸念されています。
診断について
安静時の血圧と心拍数を測定します。そして、起立した後の血圧と心拍数を経時的に測定することで、起立性調節障害の診断ができます。
新起立試験法と呼ばれており、起立直後性低血圧、遷延性起立性低血圧、体位性頻脈症候群、神経調節性失神など、あなたの症状がどの種類であるかも分かります。
何科の診察を受ければ良いですか?
小児科を受診してください。心理的要因、こころの病気のケアが必要であるときは、精神科あるいは心療内科の診察を考えてください。
治し方について
起立性調節障害の治療は、生活指導と薬物療法の組み合わせになります。
1.生活の指導
座っている状態、あるいは寝ている状態から起き上がるときは、最後に頭を上げるようにして、ゆっくりと起立します。水分補給の目安は、1日当たり1.5~2Lです。毎日30分くらい歩くことで、筋力の低下を防いでください。
起立性調節障害の場合、朝方は調子が悪く、夕方以降、元気になる傾向があります。睡眠相が後退しないように夜更かし止めることが大切です。
2.薬物療法
起き上がるときに血圧が下がるのを防ぐ目的のため、ミドドリンという薬を起床前に飲みます。この薬は、起立性低血圧の人に有効で、坐位、臥位、および立位の血圧を上げることができます。末梢血管を収縮させる作用があります。
ミドドリン塩酸塩は、起立性調節障害の病名に対して保険適応が認められています。
出典:社会保険診療報酬支払基金
アメジニウムという薬が処方されることもあります。この薬も血管を収縮させる作用があり、血圧を上げる効果があります。
子どもの中には、めまい、たちくらみ対策として、漢方薬を試みるケースもあります。具体的には、五苓散、半夏白朮天麻湯、苓桂朮甘湯などの漢方です。
睡眠障害の対処法
睡眠リズムの治し方については、睡眠衛生の指導を中心に行います。睡眠相後退症候群が合併する場合が多いので、睡眠リズムが後退している状況を改善させる治療を行います。体内時計を調節する方針を取ります。
具体的には、メラトニンアゴニストを少量投与することで、寝る時間と起きる時間を早めるような対処法を検討します。場合によっては、光療法を試みることもあります。
予防法について
暑い環境にいると末梢血管の拡張と発汗による脱水が起こり、症状が出やすくなります。そのため、暑い場所は避けましょう。特に、夏季は体調が崩れやすいので、注意が必要です。入浴についても、短時間にしましょう。
立ちっぱなしの状態が続くと気分が悪くなることが多いので、足を交差させることも取り組みましょう。弾力ストッキングをあるいは圧迫ソックスを着用することもあります。