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新型コロナウイルスの流行が睡眠に及ぼす影響
新型コロナウイルス感染症と睡眠の関係とは
睡眠時間が長いので確実に新型コロナウイルス感染症を防げるという研究報告はありません。しかし、睡眠不足があると、免疫力が低下し、風邪などの感染症にかかりやすくなることは知られています。そのため、感染症に対しては、良い睡眠を保つことは大切なことです。
2020年1月から国内で新型コロナウイルス感染症が流行している中、厚生労働省は、十分な睡眠をとるように呼びかけています。
そこで、岐阜県で診察をしている睡眠専門医が、良い眠りのために知っておきたいこと、そして、今後、パンデミック発生に関係して増える恐れのある睡眠障害について、解説します。
良い睡眠とは?
十分な睡眠時間はどんなものか知りたいという質問をよく受けますが、その人の体質、年齢の要因があるため、睡眠時間について、明確な基準はありません。
日中の活動に支障がなく、眠気なく、集中力が保つことができるのに必要な睡眠時間が最適です。
一般的には、何時間、眠れば良いかという疑問に対する回答として、成人の場合は、7時間の睡眠時間が目安となっています。
一方、睡眠不足が続いている人で、睡眠負債から回復したいとき、若い成人の場合は、9時間近く睡眠時間が必要となることもあります。
出典:Why you only need 7 hours of sleep(米国睡眠医学会)
睡眠の質とリズムも大切です
眠る時間が十分であっても、途中で目が覚める、浅い眠りの場合は、睡眠の質が良くありません。そのため、眠りの質にも注意を払うことも大切です。
もし、十分に眠っても、眠気があるようなら、睡眠専門医に相談して、原因を調べるべきです。
同時に、不規則な生活リズムであると、眠気の問題が生じたり、体調不良の原因にもなります。就寝と起床時間のバラつきがなく、睡眠リズムが一定であることが望まれます。
夜、遅くまでスマホ、ゲームをする習慣があると、睡眠リズム障害と呼ばれる病気が問題になります。ネット依存は若い世代だけではなく、中年の世代でもみられます。
生活習慣で注意したいこと
嗜好品(飲酒、喫煙、カフェイン摂取)が、あなたの睡眠の質に影響することがあります。さらに、運動不足による体重増加、肥満があると、睡眠時無呼吸が発症しやすくなりますので、ご注意ください。
夜遅い時間に夕食があると、胃腸に負担がかかるので、質の良い睡眠をとるためにも、就寝3時間前までに、夕食を済ますことを勧めます。
今後注意すべき睡眠障害について
1.不眠症
新型コロナウイルス感染症がパンデミックとなっており、連日のように、良くないニュースが流れています。日常生活の上で、自分、家族が新型コロナウイルスにかかってしまうのではないかという不安感と恐怖があります。
アフターコロナのことについて悲観的に思うと眠れないという方もいます。
在宅勤務の方が多く、外出を自粛せざるを得ない環境になっています。ストレス発散の機会が減り、気分が滅入ることが、十分に考えられます。
子どもがいる家庭の場合、主婦の負担が増えることもあります(食事の準備、洗濯物の増加)。学校が休みのため、勉強の進み具合も気になります。そのため、うつ症状、不安などのメンタルヘルス不調による不眠が増える懸念があります。
経済が停滞することから、会社に勤めている人は、減給、解雇などの不安があります。一方、経営者の場合は、資金繰り、雇用関係などの調整が必要となることから、ストレスが増大します。
コロナ禍による生活様式の変化によって、夫婦間の考え方、価値観の相違に気づき、離婚を考える場合も出てきます。
その結果、寝つきが悪い、途中で目が覚める、浅い眠りなどの睡眠障害が出現することが予想されます。
2.睡眠リズム障害
長期の自宅待機があると、夜型の生活になる人々がいます。翌日、出社、登校がないことから、夜遅くまで、スマホ、あるいはテレビを見たり、中には、読書することもあります。
睡眠リズムの乱れはありませんか。夜更かしが多くなりがちになると、睡眠相が後退する傾向になります。
新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着き、会社、学校が再開される時期が来ると、夜寝付けない、朝起きられない症状が特徴である睡眠障害(睡眠相後退型の睡眠リズム障害)が生じます。
睡眠リズムの乱れが、うつ症状の原因となるので、ご注意ください。
テレワークを導入している企業で働いている場合は、生活リズムが乱れる、運動が不足がちになる、そして、朝日を浴びることが少なくなるので、体内時計の調節がうまくいかないことがあります。
3.睡眠時無呼吸
外出ができない、運動する時間が減少することから、体重が増えることが予想されます。そのため、肥満になると、無呼吸が起こりやすくなります。
ストレスが溜まった時に取る行動として、食べることでストレスを発散しようとする人がいます。テレビを見ながら、ついついスイーツ、お菓子を食べる機会が増えるので、肥満の原因になります。
食事、運動習慣の変化による体型への影響があり、二次的に睡眠時無呼吸症候群が発症することに注意する必要があります。
入院した上で新型コロナウイルス感染症の治療を受けて、退院してから睡眠に問題が起きることはありますか?
罹患後症状として、眠りに影響が出る場合があります。いわゆる後遺症と呼ばれています。不眠症、睡眠リズムの異常、そして、過眠症などが出現します。
予防する方法とは
外出できない状況が続く中で、生活習慣、睡眠時間の見直しをすることが大切です。下記のページに詳細を紹介していますので、ご覧ください。