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睡眠妨害で眠れない夫婦生活に悩むあなたへ
眠れない夜が体調と夫婦関係を悪化させる?

「夫の大きないびきで寝つけない」
「寝言がうるさくて目が覚めてしまう」
「交代勤務のパートナーが深夜に帰宅して眠れない」
家庭内において、睡眠が妨げられるエピソードは、誰にでも起こりうる身近な問題です。
家族のことだから仕方ないと我慢を続けているうちに、心身の疲労やストレスが蓄積し、やがて夫婦関係の摩擦や会話の減少につながることがあります。また、新婚でパートナーと一緒の寝室で過ごすようになってから、「こんなはずではなかった」という話も聞いたことがあります。
さらに、あなたの眠りを妨げるパートナーの大きないびきや激しい寝言、頻繁なトイレ行く行動などが病気のサインであることも少なくありません。
このページでは、家族・パートナーによる睡眠妨害に対して、よくある原因、どうすれば良いか、医師に相談すべきタイミングをお伝えします。「寝室を分けて寝る」という選択肢も含め、あなたの快適な睡眠、健康、そして、二人の関係性を守るためのヒントになれば嬉しいです。
家族・パートナーによる睡眠妨害の実態

睡眠妨害とは、音や光、振動、生活リズムのずれなどによって、眠りが中断されたり、寝つきが悪くなったりする状態を指します。
こうした状態が続くと、夜に十分眠れないだけでなく、日中に強い眠気や気分の落ち込み、集中力の低下などのメンタル不調を引き起こし、対処せずに放置すると不眠症へと進行するリスクもあります。
毎晩、睡眠が妨げられる状況は単なる睡眠の質の低下にとどまらず、放置すると健康や人間関係に悪影響を及ぼす原因にもなり得ます。そして実際に、外の騒音やストレスだけでなく、身近な存在(家族やパートナー)の生活パターンや行動が無意識のうちにあなたの眠りを妨げているケースがあります。
実際に睡眠外来で診察をしている筆者が聞き取りをしたところ、いびき、歯ぎしり、寝返りの音、寝言、夜中のトイレによる物音や照明、スマホやテレビの光と音などが話題に上がります。
仕事のことで生活リズムが合わない夫婦では、片方が先に寝ていても、後から入室する音で目が覚めてしまうこともあります。
さらに、赤ちゃんの夜泣きや授乳による断続的な睡眠も、子育て世代に起こり得るストレス要因です。
実は病気のサインかもしれません

家族のいびきや寝言、寝返り、夜中のトイレなどを「うるさい」「迷惑」と感じるのは当然ですが、実はそれらが病気のサインである可能性があります。
たとえば、いびきが大きく呼吸が止まるような場合は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。肥満、アルコール摂取などが原因となっていることがあります。
一方、寝言や体を激しく動かす症状は、レム睡眠行動障害の兆候かもしれません。この病気は加齢にしたがって増えていく病気で認知症との関連もあります。
夜中に何度もトイレに起きる夜間頻尿も、前立腺や心臓、腎臓の病気と関わっているケースがあります。
たしかに、パートナーによって自分の睡眠が妨げられることは自分の眠りの質の低下につながります。しかし、パートナーが病気を抱えているという側面もあります。医療的に対処すべき症状として捉えることは、家族全体の健康に気遣うことにもなります。
家庭でできる睡眠妨害の対処法
寝室において起きている睡眠妨害は、生活の工夫次第で改善することがあります。たとえば、いびきには横向き寝を促す工夫や抱き枕などの市販グッズの活用を試してもよいでしょう。寝返りや寝言が気になる場合は、ベッドサイズの見直しやマットレスの変更を検討します。
スマホやテレビの光・音に悩む場合は、遮光カーテンの導入、耳栓を試すこと、スマホ使用ルールの明確化が効果的です。原則、寝室は寝るだけの空間、落ち着いた静かな環境にするほうが良い結果となります。
交代勤務に従事している人の家庭では、片方が寝ている場合の入室の配慮も必要です。
子育て中であれば、夜間だけの別室就寝や授乳の分担など、助け合いが大切です。
これまでに提案した対処法は、根本的に問題を解決するわけではありません。しかし、ストレスや睡眠障害を悪化させないためのアイデアとして意義があります。
寝室を分けるという対処法

同じ寝室で眠ることが夫婦の証と思っていませんか? しかし、パートナーのいびきや生活音で眠れない日々が続くと、心身の疲労だけでなく、毎朝、不機嫌な様子で顔を合わすことが多くなります。つまり、二人の関係そのものが悪化していきます。
そこで注目されているのが、睡眠離婚と呼ばれている「寝室を分ける生活スタイル」です。この言葉には離婚という言葉が含まれているので、否定的な印象があるかもしれません。しかし、睡眠の質を守る睡眠習慣として、注目されています。
夫婦別の寝室で寝るようになると、ストレスが減り、プライベートな空間が守られます。良い眠りになる結果、体の調子が良くなるという利点があります。自分の眠りが妨害される要因から解放されることで、気分も良くなり、夫婦仲への良い影響も期待できます。
大切なのは、「一緒に寝ること」より「お互いが健やかでいられること」。お互いに十分に話し合った上で、関係を壊さずに距離を調整することです。
睡眠専門医に相談するタイミングとは

家庭内の睡眠妨害が二人の日常生活への大きな支障になっているとき、医療機関に相談すべきときかもしれません。以下のような徴候がパートナーにある場合を参考にしてください。
- いびきが大きく呼吸が止まっている
- 歯ぎしりが激しい
- 夜中に何度もトイレに起きる
- 叫ぶような寝言があり体が激しく動く
- やる気が出ない、抑うつが現れている
- 情緒が不安定になっている
- 眠気が強く日中うとうとすることがある
睡眠外来では、問診、検査などによって原因を明らかにして、適切な治療や生活改善の指導を受けられます。また、本人ではなくパートナーの症状が気になる場合でも、一緒に相談することができます。
無理に我慢したり、相手の睡眠妨害を責めたりする前に、「これは病気かもしれない」と視点を切り替えて、一緒に解決していこうという姿勢が大切です。
まとめ
睡眠の悩みは、放置すると心身の健康だけでなく、家族関係にも影響を及ぼします。まずは今夜から、次に示す三つのことに取り組んでみましょう。
- 睡眠妨害の原因をメモする
- 寝室環境を1つ改善する
- 気になる症状があれば医師に相談する