- ホーム
- いびきを治す方法を病院の医師が解説します
いびきを治す方法を病院の医師が解説します
いびき対策でお困りの方へ
旦那のいびきが大きいので、何とか治したい、彼氏のいびきの音が気になって眠れないという悩みを持っている方へ。
とりあえず市販のグッズを購入して試したり、横向きに寝てみても、うまく改善しない経験をお持ちではないでしょうか。
アプリを使うなど、自己判断で治療をしてみる方もいます。一方、病院で受けられるイビキ対策は、原因と症状によって、CPAP治療、口腔内装置、手術など、さまざな手段があります。間違いない治し方を選択をするためにも、専門家のアドバイスを受けるべきです。
何科の医師の診察を受けるべきか
・いびきは睡眠時無呼吸症候群のサイン
夫、彼氏の音の問題があって、病院に相談に来ることが多いですが、「いびき」は、閉塞型睡眠時無呼吸と呼ばれる病気の症状の一つです。睡眠時無呼吸は、鼻から喉にかけての気道が何らかの原因によって狭くなって生じるため、耳鼻咽喉科は相談窓口として適切です。
一方、夜間の呼吸の問題があること、そして、血圧、心臓への影響があることから、呼吸器内科、循環器内科の医師に相談しても大丈夫です。
・睡眠の病気として診断することが大切です
熟睡できない、昼間の眠気で困るという方も多くいるので、睡眠障害という側面から、精神科の先生も対応してくれます。その他、顎の問題、対処法としてのマウスピース(口腔内装置)を作製することがあることから、歯科も関与します。
いずれにせよ、医師、歯科医師に相談してから、病状の評価を行い、診断を受けることが大切です。そして、原因を突き止めて、治し方を決めていきます。
睡眠専門医は、あなたの「いびき」に関する睡眠障害を適切に診断して悩みを解決していきます。眠っているときのいびきの音、睡眠の状態を詳しく調べるために睡眠検査を行います。
根本的な治し方と症状を緩和する方法の違い
いびきの治し方には多くの種類がありますが、主に2つの治療法に分類されます。
対症療法 | 根治療法 | |
---|---|---|
意味 | 病気に伴う症状を軽減する治療法 | 根本的に原因を取り除いて治す方法 |
種類 | CPAP療法、口腔内装置 | 外科手術(耳鼻科) |
特徴 | 外来で即時的に開始できる、CPAP治療の場合、通院を要する | 根治の見込み、術式、手術の妥当性を検討する必要がある |
対症療法の場合、病気は根治しませんが、睡眠時無呼吸が及ぼす体への影響(高血圧、心臓病、脳梗塞の発症)を予防することができます。さらに、睡眠の質が上がり、日中の眠気の改善、居眠り運転事故の予防などのメリットがあります。
CPAPのマスクを装着し続ける、マウスピースをずっと使うことを避けたいときは、手術適応があるか、担当医に相談すると良いです。
原因別の治す方法について
睡眠時無呼吸の原因によって、治し方が異なります。人によっては、複数の要因が、いびき・無呼吸の発症に関係しています。さらに、睡眠時無呼吸症候群の手術には、さまざまな種類があり、複数の診療科の診察が必要となる場合があります。
1.肥満の場合
病院では、中等症、重症では、CPAP治療が選択されることが多いです。軽症であれば、口腔内装置の装着が行われます。これらは、対症療法と呼ばれるものです。
原因である肥満への対応は、食事の見直し、運動習慣を取り入れる減量療法などで、目標体重まで落とすことになります。
高度肥満の場合で、生活習慣の改善を行っても、減量効果が乏しい、さらに、健康障害が問題になっているときには、減量手術を考えることもします。
2.顎の形態の場合
小さい顎、下顎が後退していることが、いびきの原因になっているときは、歯科でマウスピース(口腔内装置)を作製することが多いです。下顎を前方の誘導することで、気道が広くなります。重症の睡眠時無呼吸では、CPAP治療を導入することもあります。
いびきを根本的に治す方法として、顎顔面手術があります。外科的な矯正治療で、口腔外科手術によって、顎を前方に出すこと、そして、気道を広げることができます。
3.鼻の病気による場合
鼻閉(鼻づまり)を起こす病気として、鼻中隔彎曲症、肥厚性鼻炎、慢性副鼻腔炎があります。春に多いスギ、ヒノキによる季節性アレルギー性鼻炎の場合には、薬で対応することが多いです。
鼻づまりを解消するための根本的な解決法として、以下のようなものがあります。
鼻中隔(左右の鼻腔を分けている壁)が曲がっているために、鼻の通り道が狭いときは、耳鼻科で鼻中隔矯正術を行います。
慢性鼻炎が続き、鼻粘膜が厚く硬くなったときは、レーザーで焼灼する手術を考えます。下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術と呼ばれています。あるいは、両側の下鼻甲介の骨を除去する術式である粘膜下下鼻甲介骨切除術を考えます。
慢性副鼻腔炎の場合には、内視鏡下副鼻腔手術と呼ばれる方法があります。病的に腫れた粘膜(ポリープを切除することで、副鼻腔と鼻腔との通気性を高めることができます。
4.喉の病気による場合
喉(中咽頭)が狭くなる原因として多いのものは、アデノイド、口蓋扁桃肥大です。特に子どもの原因として頻度が高いものです。この場合は、手術ができる病院の耳鼻科で、アデノイド・扁桃肥大摘出術を行います。
その他、軟口蓋、口蓋垂(のどちんこ)の形態異常によって、狭いことが原因のときは、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)と呼ばれる方法があります。
口蓋垂、口蓋扁桃、軟口蓋の一部を外科的に切除することで、喉を拡げることが目的です。その結果、いびき、無呼吸を軽減します。メスで切除する方法、そして、レーザーを活用する術式があります。
5.その他
中等症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群で、CPAP治療に耐えられないときに、一定の条件をクリアすると、舌下神経電気刺激装置植込術と呼ばれる治療法を検討することができます。
外来では、いびきを根本的に治す手術を考えたいという方もいます。耳鼻科で術式、適応があるかを含めた診察を受けることが大切です。