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運転に関する眠気・過眠症の注意点とは
睡眠障害と運転に関する注意事項とは
2014年6月から、自動車等の安全な運転に支障を及ぼす心配がある人を把握する目的として、道路交通法の一部が改正されました。「眠気が問題となる睡眠障害」についても言及されています。
このページでは、睡眠障害、過眠症があるときに、次のような状況でどうしたら良いかについてテーマでまとめました。
- 運転しても良い基準を知りたい
- これから運転免許を取ろうとしている
- 今度、免許の更新がある
注意すべき点とは
質問票に虚偽の記載をして提出すると、罰則があります。運転免許の申請・更新のとき、必ず質問票を提出する義務があります。
眠気の自覚しているにも関わらず、病院もしくはクリニックにおいて、睡眠障害の診断と治療を受けていない場合、運転免許証の交付や更新が保留されることがあります 。
質問票の「はい」にチェックした場合、記載された内容について、個別に質問されます。「車両の運転に関する適性相談」と呼ばれるものです。
重度の眠気がある睡眠障害とは
先ほどあった質問票の中に、十分な睡眠時間を取っているのに、日中、活動している最中に眠り込む症状についての記載がありました。
該当する場合は、何らかの原因による睡眠の質の低下あるいは中枢性の問題による眠気の可能性があります。
具体的に、睡眠外来で相談を受けるものとして、ナルコレプシー、特発性過眠症、睡眠時無呼吸などの「眠気が問題となる病気」があります。
公安委員会に提出する診断書が必要となります。病名、診療経過、症状の重症度、治療介入の経過などを、医師が記載します。そして、現時点での病状、改善の見込みがあるか等について、意見を書きます。
ナルコレプシーについて
中枢性過眠症の場合には、病気の診断と治療を受けているだけでなく、治療経過が大切になります。
眠気が日常生活に支障があり、自動車免許を取得する予定がある、免許更新のときなど、睡眠障害の専門施設で相談することを勧めます。
中枢神経刺激薬(モダフィニル、メチルフェニデート塩酸塩、ペモリンなど)および睡眠衛生の指導を定期的に受けることによって、眠気がコントロールされており、運転に支障がないことを証明することが必要です。
どんなに近い距離であっても、運転時間が短くても、服薬の状況が大切です。病状として薬を飲まなければならない事実を理解しているにも関わらず、薬を飲まずに車両を運転して事故を起こすと過失になるので、注意しましょう。
睡眠時無呼吸について
睡眠時無呼吸症候群では、いびき、呼吸が止まるなど、眠っているときの呼吸が不安定になります。その結果、眠りが浅くなります。翌朝の爽快感の喪失、日中の眠気が問題になり、昼間にウトウトすることが増えます。疲れがとれていないので、休憩のときに寝てしまう人もいます。
2000年代から、この病気が社会問題として注目されています。なぜなら、睡眠時無呼吸症候群と交通事故の密接な関係が認知されてきたからです。
運送業界では、ドライバーに対する安全管理と病気の早期発見を目的として、睡眠時無呼吸症候群の簡易検査を活用したSAS検診が普及しました。
睡眠時無呼吸を治療している場合では、CPAP機器の使用あるいはマウスピース装着によって、無呼吸低呼吸指数(AHI: apnea-hypopnea index)が基準値にコントロールされていて、自覚症状としての「眠気が消失している」ことが目標となります。
CPAP治療を継続している場合は、下記の治療コンプライアンスを参考にしてください。かかりつけ医に通院しましょう。
- 1日4時間以上の使用
- 使用頻度として70%以上の使用
CPAP治療を開始しても、自宅でマスクをしっかりと装着して睡眠をとることが大切です。毎日のCPAP治療データは睡眠時無呼吸症候群の運転許可の診断書を作成するときに、欠かせない要素の一つです。
睡眠時間も注意してください
毎日の睡眠時間を十分にすることは基本です。眠る時間が足りなくて、昼間の眠気、集中力の低下などの日常生活に影響が出ると、睡眠不足症候群と呼ばれる病名となります。居眠り運転の危険があるので、普段から気をつけましょう。
眠れないまま朝になったという場合は、集中力の低下、注意力の散漫のリスクが高いので、車両の運転を控えることが無難です。
道路交通法の第66条では、「何人も、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と明記されています。当然ですが、過労運転は禁止です。
診断書が必要な方へ
睡眠障害を専門とする病院では、睡眠の病気を診断するために、終夜睡眠ポリグラフ検査を行います。
特発性過眠症、ナルコレプシーなどの中枢性過眠症の診断には、反復睡眠潜時測定検査(MSLT: multiple sleep latency test)が必須です。
初診、検査の予約、結果説明、治療開始、治療効果の再診などを考慮すると。早めに病院に相談したほうが良いです。すぐに診断書を発行することが困難です。
筆者が診療している岐阜市のクリニックでも、道路交通法の改訂以降に、運転免許の取得・更新に必要な診断書を作成してほしいと依頼があります。
運転を適正にするためには、「車両の運転中に眠くならないか」ということがポイントです。詳しくは、運転免許センターに問い合わせましょう。
職業ドライバーなど、より精度の高い覚醒を維持する能力を判定したいときは、MWTと呼ばれる覚醒維持検査を検討します。
危険な事故が起きる前に対処を
- 居眠り運転で事故を起こした
- 運転中にウトウトして、ヒヤッとした
・睡眠専門医に早く受診することを勧めます。
睡眠障害による危険運転致傷罪の疑いでの逮捕となった事例もあります。大変な事態にならない前に、眠気があるときは、早めの行動が重要です。