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寝ても眠い・寝落ちが多いときは何科に行けばいいですか
はじめに

「寝ても寝ても眠い」「たくさん眠ったはずなのに、昼間の眠気がひどい」「絶対に寝てはいけない場面で、気づいたら寝落ちしていた」―そんな経験に心当たりはありませんか?
もしかすると、それは「ナルコレプシー」という睡眠障害のサインかもしれません。
ナルコレプシーは、自分ではコントロールできない眠気に襲われる病気で、学校や仕事、日常生活に支障をきたします。さらに、適切に診断されずに困っている人も少なくありません。
さらに、居眠り病という呼ばれる存在があまり知られておらず、「眠気の悩みは、どこに相談すればいいのかわからない」「どうやって病院を探せばよいか困っている」と受診に至っていないケースがあります。
このブログ記事では、ナルコレプシーが疑われる場合に受診すべき診療科と受診前に知っておきたいことをお伝えしていきます。
ナルコレプシーの症状について

ナルコレプシーは中枢性過眠症と呼ばれる病気の一種ですが、日中、突然襲ってくる圧倒的で我慢できない眠気が特徴的な症状です。
普通なら絶対に寝ない場面(食事中、会話中、仕事中、運転中など)でも、数分程度の短い居眠り(睡眠発作)が何度も起きてしまいます。目覚めた後は一時的にすっきりしますが、すぐに強い眠気がぶり返します。
急に眠くなる症状は意志の力ではコントロールできず、日常生活や安全に大きな支障をきたします。つまり、寝ても寝ても眠いという悩みが直面します。
さらに、笑ったり、怒ったりしたときに体の力が突然抜ける情動脱力発作や、寝入りに体が動かせない症状(睡眠麻痺:金縛り)、寝入りに鮮明な夢を見る症状(入眠時幻覚)が起こることもあります。
出典:Narcolepsy – The National Heart, Lung, and Blood Institute
何科に行けばいいのか?

結論から言えば、ナルコレプシーの診断と治療を専門的に扱っているのは、精神科、脳神経内科、および睡眠外来です。
ナルコレプシーは脳内にある覚醒物質オレキシンの働きが低下することで発症することが分かっており、中枢神経系の異常に基づく病気です。そのため、診断・治療の中心となるのは、脳科学に精通した医師がその役割を担います。
加えて、過眠症について専門的な診断を行うためには、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)と反復睡眠潜時検査(MSLT)が必須になります。その場合は、睡眠外来や睡眠専門クリニックが理想的です。
睡眠外来は総合病院の中にある場合もあれば、独立した専門クリニックの形で存在しています。そして、対応する医師は、脳神経内科あるいは精神科の医師が睡眠専門医を同時にもっている場合があります。
いずれにしても「睡眠障害を専門に診る医師」が在籍しているか、そして、ナルコレプシーの確定診断に必要な反復睡眠潜時検査ができるかがポイントになります。
出典:ナルコレプシーの診断・治療ガイドライン – 日本睡眠学会
睡眠を専門的に診る医師がいない地域ではどうするか?

都市部であれば睡眠外来や脳神経内科、精神科の選択肢が多くありますが、地方では受診先が限られる場合もあります。その場合は、以下のような手順をおすすめします。
1. 総合病院の「脳神経内科」や「精神科」に相談
初診で「日中の強い眠気がある」といった具体的な症状を伝えることで、適切な科に案内される可能性が高まります。かかりつけ医から紹介状をもらってから受診するとスムーズです。
2. 大学病院や地域の基幹病院を調べる
睡眠センターや睡眠専門外来など、専門医が在籍する施設を探すのも有効です。ホームページで診療科の紹介内容を確認するのもよいでしょう。
3. 日本睡眠学会のホームページから探す
日本睡眠学会では、全国にある日本睡眠学会専門医療機関や日本睡眠学会総合専門医の一覧が掲載されています。近くにある医療機関を調べるときに参考になります。
受診のタイミングについて

以下のような状況に該当する場合は、早急に病院あるいはクリニックへの相談を考えたほうが良いです。
働く世代では、眠気が原因で運転事故を起こす、重大ミスで解雇される、昇進の機会を逃すリスク があり、思春期の世代では、授業中の居眠りで学力の低下、進路の断念「怠け者」のレッテルを貼られる恐れがあります。
- 運転中に居眠りして事故になりかけた
- 高所作業、機械の操作中に意識が飛んだ
- 重要な会議・試験中、接客中に居眠りを繰り返す
- 昼間うとうとすることが頻繁にあり夢を見る
- 寝不足がないのに授業中に何度も居眠りする
- いつのまにか机の上で寝落ちしている
まとめ:今すぐできる三つの行動
1.症状を記録する
「いつ」「どんな状況で」「どのくらい続いたか」を簡単にメモしておきましょう。
例:会議中に数分間眠ってしまった/笑ったときに体の力が抜けた など。
2.かかりつけ医に相談する
まずは身近な内科医に症状を伝えましょう。かかりつけ医から紹介状を書いてもらえば、睡眠専門医への受診がスムーズになります。
3.脳神経内科・精神科・睡眠外来を調べる
ナルコレプシーの診断に適しているのは、脳神経内科や睡眠外来です。また日本では、精神科や心療内科が睡眠外来を兼ねている場合も多く、候補となります。地域の医療機関や学会の専門医リストで調べ、予約を取ることが次の一歩です。