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思春期の子どもは何時間眠るべきか?
どのくらいの睡眠時間が必要か知りたい方へ
中学校、高校に進学しても、あなたの子どもは十分に睡眠をとっていますか。10代になると学校の勉強量が増えるので、本人が気づかないうちに寝不足になっている場合があります。
学年が上がるにつれて、受験勉強に集中せざるを得ない状況に置かれるので、睡眠不足の傾向が目立つようになります。
その結果、学習中の居眠り、集中力低下、起床困難などの弊害が出る危険があります。そこで、中学生、高校生における睡眠時間の大切さを解説します。
国内の統計
内閣府が発表した報告によれば、平均就寝時刻について、中学生では22時55分、高校生では23時42分でした。一方、平均起床時刻は、中学生では6時41分、高校生では6時36分でした。
このデータから推測すると、中学生では7時間46分、高校生では6時間54分の平均睡眠時間となっています。
高校に進学すると、就寝時刻が1時間ほど遅れています。推奨される睡眠時間に足りていない印象があります。
NHK放送文化研究所が実施した調査では、23時の時点で、10代の男性の約4割、女性の約6割がまだ起きているというデータ公表されています。
小学生の頃と比較して、勉強に費やす時間が長くなること、遅くまで塾で学習していること、そして、就寝前のネット利用(スマホ、ゲーム、SNSなど)によって、寝る時間が遅くなる可能性があります。
特に、高校生は大学受験に備えるため、深夜遅くまで課題に追われる傾向になります。試験前になると、午前0時を過ぎても勉強していることが少なくありません。
学生の中には、不眠のために寝不足になっていることもあります。人間関係の悩み、勉強と進路に対する不安で眠れない場合が少なくありません。
学生の中には、不眠のために寝不足になっていることもあります。人間関係の悩み、勉強と進路に対する不安で眠れない場合が少なくありません。
他の要因として、家事、家族の世話を日常的にしている生活が続くと、十分に睡眠がとれない状況になります。
推奨される睡眠時間について
米国にある国立睡眠財団は、14歳~17歳の子どもの睡眠時間として、8~10時間を推奨しました。7時間およびは11時間の睡眠については、適切な可能性があるという見解でした。
中学生、高校生では成長の個人差があるので、幅を持たせて提示していることが考えられます。
米国睡眠学会は、13~18歳において最適な健康を増進するために、8~10時間眠るべきであるという勧告を出しています。
英国の国民健康サービスも、10代の若者における適切な睡眠について8~10時間を助言しています。
出典:NHS
ただし、個人差に注意しましょう。同世代の子どもの平均睡眠時間よりも長く寝る体質の場合があります。
睡眠不足の影響について
種類 | 特徴 |
---|---|
学習面 | 授業中の集中力の低下が問題になります。計算ミスが増え、記憶力も低下します。そのため、成績の不振が起きます。試験の本番で、実力を出し切れない状況になります。 |
身体面 | 深い眠りが出現しにくいので、成長ホルモンの分泌が不十分になります。そのため、身長の伸びが遅れる場合があります。疲れがとれないので、風邪をひきやすくなります。 |
精神面 | 自律神経の乱れによって、情緒不安定、抑うつが増えます。朝起きられないことから、イライラ感が増え、不登校になる中高生もいます。眠気によって多動になる場合があります。 |
10代の子どもの様子がおかしいと感じるときは、チェックテストを試してみましょう。
おすすめ
個別の事情がありますが、就寝と起床のスケジュールを決めることが、うまい方法です。例えば、夜11時に寝て、朝6時30分に起きるパターンがあります。このスケジュールであると、7時間30分の睡眠を確保することができます。起床時間をもう少し遅らせて、朝7時の起床にすると、8時間に到達します。
東京大学が行った研究報告では、10代の子どもにおいて、平日の睡眠時間を8.5時間以上にすると、うつ、不安のリスクが最も少なくなることが明らかにされています。
夜の睡眠時間とこころの健康の面を考えると、普段から、しっかりと眠ることの大切さを支持する報告であると言えます。
国内と海外のエビデンスを検討すると、中高生の睡眠時間の理想値として8.5時間が目安になります。しかし、勉強に費やす時間を考慮すると、まずは、7時間30分以上を目標にしてみましょう。