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五月病の特徴と睡眠への影響について
五月病とは何か
5月にある大型連休の後に、体調が何となく悪くて、やる気が出ない、疲れが取れない、眠れないなどの症状が出る病気のことです。病名として、適応障害が該当します。
出典:大阪府医師会
五月病という言葉は、1960年代の後半に大学受験を終えた学生が虚脱感と抑うつ気分が生じたことを意味していました。
出典:国立国会図書館
以前は、学生に多く見られる症状でしたが、新入社員、職場環境が変わった中高年でも問題となるケースが増えています。
適応障害の他にどんな病気が考えられますか?
うつ病、不安障害、自律神経失調症、心身症などがあります。
いつ発症するか?
5月のゴールデンウィークが終わった頃に、発症することが多いです。進学、就職、引っ越し、一人暮らしなどで、自分を取り巻く環境の変化が起きる新年度から一ヶ月経過した時期と言えます。
新社会人、第二新卒であると、研修が終わり企業での配属先での仕事が始まる6月以降に発症することもあります。海外では、夏の長期休暇明けの9月に適応障害の症状が発症することがあります。
原因について
度重なるストレスと疲労が蓄積することが、五月病の原因です。具体的な事例について、次の4つがあります。
- 新しい環境に馴染めない
- 人間関係で困り、相談できない
- 自分が思っていた理想とかけ離れていた
- 入学、就職後の目標、展望を持てない
出典:全国健康保険協会
主な要因、身体と精神への影響について。
五月病になりやすい人
- 就職、転職をした
- 異動になった、新しい仕事を任された
- 転居した
- 進学した、一人暮らしを始めた
- 几帳面で真面目である
- 責任感が強い
- 休みなく長時間の残業をしている
最近では、新型コロナ感染症の影響で在宅でテレワークを始めた方もいますが、普段と異なる環境のためストレスを受けることがあります。そのため、通勤していた頃と比べて、体調が不良となる場合も少なくありません。
症状の特徴について
種類 | 症状 |
---|---|
身体 | 疲れがとれない、肩こり、頭痛、めまい、動悸、吐き気、食欲がない |
精神 | うつ、不安、緊張、イライラ、やる気が出ない、集中できない |
出典:千葉市医師会
適応障害の症状によって、遅刻と欠勤が多くなる、仕事でミスが問題になるなど、社会生活ができなくなります。中学生、高校生では、不登校になります。
学校に行けなくなる原因と睡眠との関係について。
五月病の症状が長期化すると、うつ病にまで進行することがあります。
成長期の子どもの場合、連休明けに朝起きられないという症状があれば、起立性調節障害と呼ばれる病気との鑑別も大切です。
出典:中野区医師会
睡眠への影響について
不眠が問題になります。最近、寝つきが悪い、途中で目が覚めることが多くなった、眠りが浅いなどの症状が出現します。睡眠をとったのに、朝すっきりしない、目覚めが悪いと自覚する人もいます。中には、自分が受けたストレスに関連した悪夢を見ることもあります。
眠れないので、夜型の生活になりがちです。その結果、睡眠リズムが乱れます。朝起きれない病気かもしれないと思ったときは、睡眠外来の診察を受けましょう。
チェックリスト
本人が気づいてないこともあるので、新入社員、学生で普段とは異なる様子があれば、声をかけるなど早めに対処しましょう。
- 何となく元気なく、沈んでいる
- 遅刻と早退、欠勤が増えている
- 身だしなみが乱れている
- 仕事のミスが多い
- ボーっとしていることが多い
- 些細なことで感情的になる
- 顔色が悪く、昼食を食べていない
五月病の治し方
まずは、ストレスの軽減、気分転換を行うことが大切です。自分ひとりでは病状の回復が思わしくない時は、精神科、心療内科の診察を受けてください。しばらくの間、医師との面談を受けて通院すると良いでしょう。あなたのストレスを減らすための環境調整のアドバイスをもらえます。
不眠の症状に対しては、睡眠薬を用います。一方、うつ、不安、緊張などの精神症状に対しては、抗不安薬、抗うつ薬を考慮します。最近では、依存性の心配がない漢方薬を用いて、病状に対処することもあります。
場合によっては、療養に専念するために、休職あるいは休学をすることも検討します。体調を回復させるために、長期に休むときは診断書を書いてもらうこともできます。
新卒で会社に働き始めて間もない時期に、上司に辞職について相談するとき、体調不良の理由をうまく伝えられないことがあります。健康の問題を抱えており就労が困難である場合、医師が病状を証明した文書があると、職場に理解を求めやすいかもしれません。
予防法について
完璧主義の性格の人では、「だいたい分かった」という感覚を持つことは、適応障害の抜け出し方の第一歩になります。
学校、仕事の上で、対処できないことがあるときは、先生、上司、家族などに助けを求め、話を聞いてもらうことをしてください。
普段から気の合う友人、知人とのコミュニケーションをとることも大切です。悩みを打ち明けて相談にのってもらいましょう。仕事のことで上司および同僚に相談しにくいときは、会社にいる産業医の面談を受けてください。
ストレスの乗り越え方の見通しがつき、誰かに支えられていると感じながら行動すると、気持ちが楽になります。
新しい環境について乗り越えられると値するものであれば良いですが、そうでなければ、第三者にアドバイスを求めてください。そして、現在の状況から「あなたが価値があると思う方向」に転身することも考えましょう。
自分が夢中になれる趣味の活動は、ストレス解消に有効です。普段から、疲労を溜めないようにするため、十分な睡眠時間をとり、規則正しい就寝と起床時間を心掛けましょう。