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仕事を辞めたいときに診断書は必要か?
退職の診断書とは
病気、怪我、ストレス、体調不良など、健康上の理由によって職務の継続が困難であることを、医師が記載した文書です。記載内容として、病名、症状の経過、治療の必要性などの情報を含んでいます。
働いている人が勤務先を退職するときに、診断書を提出することがあります。退職するにあたり、診断書の提出は必須ではありません。しかし、職場に健康の問題によって辞職せざるを得ない状況であることを職場に理解してもらうために、診断書が使われることがあります。
患者から診断書を書いてもらいたいという請求があれば、診察を行った医師が診断書を作成することが原則です。医師法19条2項に定められています。
出典:日本医師会
体調不良のため仕事を辞めるときに、診断書を必ず提出しなければいけませんか?
民法627条は、退職をしたい日の2週間前に申し入れをすれば、退職できることを規定しています。診断書の提出に関する必須の条件はありません。
出典:民法 – e-Gov法令
退職の理由として、どんな種類がありますか?
家庭の事情による転居のため、通勤ができないという理由があります。結婚、出産と育児を契機に家庭に入る場合も、退職の理由として、しばしばあります。そして、自分の病気あるいは家族の介護に専念するために、仕事を辞めるケースは、ありふれた理由と言えます。不妊治療に時間をとりたくて、仕事の両立ができないことも、退職する事由になることもあります。
どのような病気の療養生活に入るために、仕事を辞めることがありますか?
精神疾患(うつ病、抑うつ状態、適応障害、強迫性障害、アルコール依存症)、睡眠障害、椎間板ヘルニア(頸椎、腰椎)、変形性膝関節症、消化器疾患(胃潰瘍、胃炎、過敏性腸症候群)、婦人科疾患(子宮内膜症、子宮筋腫、生理不順、更年期障害)、メニエール病、突発性難聴、アレルギーなどの病気です。
何らかの体調不良があって仕事を続けられなくなる事態になった人の話を聞くことがあります。
職場の人間関係に耐えられず、メンタル不調が発生して、さまざまな自律神経失調症の症状が現れたり、不眠症になったり、健康上の理由によって退職を決意する場合が少なくありません。パワハラを受けているのに誰にも相談できず、一人で悩んでいるケースもあります。
厚生労働省が行った調査では、「職場の人間関係が好ましくなかった」という理由で仕事を辞めた人の割合が、男性では8.1%、女性では9.6%でした。
新型コロナ禍の医療現場において、看護師、保健師、病院職員の負担が増え、メンタルヘルス不全が起きることがあります。保健所の職員の場合、新型コロナ関連の超過勤務による疲弊もあり、体の具合が悪くなり退職する人もいるようです。
どんなときに退職の診断書が役立つか?
医師によって「あなたが健康上の理由によって就労不能であること」が証明された文書があると、職場、取引先に辞職を説明しやすいというメリットがあります。
あなたの体調不良による離職について、上司、先輩、後輩、同僚に対して、自分の退職について理解をしてもらうことが大切です。深刻な体調不良があり、即日退職をせざるを得ないほどの状況であるなら、診断書の提出には効力があります。
なぜなら、事業者は、働く人の心と身体の健康を守る義務があるからです。いわゆる、労働者の安全への配慮という決まりです。
特に、アルバイト、派遣、試用期間中など、「退職したい」と思っても、なかなか言い出せない状況はよくあることです。新卒で入社1ヶ月から3ヶ月までの場合、上司に離職の気持ちを切り出せないという事例もあります。五月病あるいは六月病で悩んでいる若いビジネスマンも少なくない印象です。
上司に辞職の意向を伝えても、辞めさせてくれない状況として、次のようなケースがあります。
- 情に訴えかけられ、引き止めにあっている
- 会社が退職願を受け取ってくれない
- 引き継ぎがあるからと言って、先延ばし
- 好条件を出されて引き止められる
- 人手不足であるからと言われ、話が進まない
うつ病・適応障害による退職
職場の上司、出向してきた親会社の人、派遣先の同僚、取引先の関係者などの人間関係、残業や休日出勤が慢性的に多い状況、先行き不安など、さまざまなストレッサーが、メンタル面に影響します。その結果、精神的苦痛だけはなく、体の不調、疲労感も現れるようになります。
メンタル不調が起きる病気の中で、うつ病および適応障害は頻度が高いです。
あなたの症状をチェックしてみましょう。
- 憂うつな日が続いている
- 何かをやろうとする気持ちになれない
- 楽しくない
- 悪い夢を見て目が覚めるようになった
- 朝起きられない
- 食欲が低下して体重が減った
- 仕事に集中できない
- 動悸、ふるえ、吐き気、息苦しさ
- 倦怠感が強い
こころの状態が悪化すると、睡眠に影響することが多いです。一般的に、精神病があると眠れない、眠りが浅いという症状が現れるようになります。
もらい方について
診断書をもらうためには、医師による診断が必須です。はじめに、クリニックや病院で診療を受けます。診断の過程において、検査が必要になる場合もあります。注意点は、あなたの体調不良の領域を詳しく診ることができる医師を見つけることです。
メンタル不調が主体であるなら、精神科、心療内科の医師に相談することを勧めます。
医師が診断書を書いてくれない場合はありますか?
専門外の領域の診察を求められる場合は、断られることが多いです。対処として、適切な診療科の医師の診察を受けてください。初診では、あなたの健康の状態や病歴を把握するのに情報が不足することがあり、その場合は、診断書の交付を見送ることがあります。後日、精密検査、今後の経過をみることで、診断書が発行されます。
退職の診断書に記載される内容
基本的な記載事項は、以下の通りです。
- 病名あるいは病状
- 初診の日付
- 症状の経過
- 具体的な治療の内容
- 職務の継続が困難である医学的な理由
- 療養指導の内容
クリニック、病院によって、内容が異なりますので、診察のときに確認しましょう。
いつ退職の診断書を提出すべきか?
法律では、14日前に退職を職場に申し入れをすれば、離職することができます。しかし、自分が関わっている仕事の引き継ぎ、取引先などへの挨拶、有給休暇の消化などの調整をしたほうが手続きが円滑に進むので、1ヶ月前がタイミングとして良いです。
病状が重く出社して職場に診断書を提出することができないときは、どうすれば良いですか?
直属の上司に体調不良のことを電話で伝え、医師が発行した退職の診断書と退職届を郵送する方法があります。レターパックには配達記録が備わっているので、追跡することができます。自分で手続きができないときは、退職代行を頼む人もいるようです。
作成にかかる期間について
病院によって、初診日に退職の診断書が交付される場合がありますが、確定診断に必要な情報を得るのに時間を要するときは、1~2週程度かかります。なぜなら、適切な診断のためには、精密検査、病状の経過観察が必要だからです。
費用について
医療機関によって、料金は異なります。一般的には、診断書の作成に健康保険を使うことはできず、実費負担です。退職用診断書の相場は、2,000円~10,000円程度です。