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ドリエルの効果が不十分と感じたときの対策
はじめに

「ドリエルを飲んだのに、全然眠れない…」。布団に入ってから1時間、2時間と過ぎていくのに、まったく眠気がこない焦りと不安を経験したことはありませんか?
明日の重要な予定を前に、どうしても休息が必要なのに、ドラッグストアで買った睡眠改善薬の効果を実感できないもどかしさがあるかもしれません。
ドリエルをはじめとするドラッグストアの睡眠改善薬は、寝つきの悪さや眠りの浅さといった一時的な不眠症状の改善に役立つとされています。その主成分であるジフェンヒドラミン塩酸塩は、脳の覚醒系を抑えることで眠気を促す働きがあります。
しかし、睡眠改善薬と睡眠薬は異なるものです。市販の睡眠改善薬であるドリエルに、処方薬と同じくらいの効果を期待してしまうと、「効かない」と感じる原因になるかもしれません。そして、効果が不十分になる背景には、さまざまな要因が潜んでいます。
この記事では、睡眠専門医が実際の診療経験から見出した「ドリエルが効かない」と感じる人に共通する特徴や、効果が現れない原因と具体的な対策をご紹介します。
ドリエルとは

ドリエルは、睡眠改善薬の一種です。眠れない夜に悩む方の解決法の一つとして、ドラッグストアや薬局あるいは通販によって手軽に購入できます。
薬に含まれている有効成分のジフェンヒドラミン塩酸塩は、脳内にあるヒスタミン受容体をブロックします。つまり、抗ヒスタミン作用がある薬です。この働きによって、ヒスタミンの覚醒作用が抑えられ眠気が生じます。ドリエルはこのメカニズムを応用して、不眠の症状を改善するための薬として発売されています。
ドリエルが効かないと感じる人にみられる症状
症状 | 特徴 |
---|---|
服用しても寝付かれない | ドリエルを服用してから30分以上経っても全く眠気を感じないという場合があります。目が冴えている状態が続き、焦りと不安が、入眠を困難にさせてしまいます。 |
途中で目が覚めてしまう | 一度は眠りについても、夜中に何度も目が覚めてしまう現象が起こります。例えば、午前2時から4時頃に目が覚めてしまい、再び寝付けない経験をする方がいます。 |
朝起きても疲れが取れない | 十分な時間を眠ったはずなのに、朝起きた時に疲労感が残り、頭がぼんやりするという症状を自覚します。眠りが浅い状況が改善せず、脳と体が十分に休まっていません。 |
ドリエルの効果が現れないときに考えられる原因

1. そもそも不眠のタイプに合っていない可能性
ドリエルは抗ヒスタミン薬で、眠気を促す作用がありますが、すべての不眠に効果があるわけではありません。たとえば、強いストレスや不安が原因で眠れない場合、脳の過覚醒の状態があるため、ドリエルでは十分な効果が得られないことがあります。
また、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」や、朝早い時間に目が覚めてしまう「早朝覚醒」など、寝つきが悪いという問題以外を解決するのに不十分である可能性があります。
参考までに、ドリエルは一時的な不眠を緩和する効能をもっています。しかし、睡眠障害があり日中の生活に支障が生じている状態である不眠症への効能はありません。
出典:ドリエル – KEGG
2. 耐性(薬が効き目が弱くなっていく)
ジフェンヒドラミン塩酸塩を、数日から1週間以上続けて服用していると、次第に効きにくくなる「耐性」ができてしまうことがあります。これは、脳が薬に慣れてしまい、眠気を感じにくくなるためです。
このような場合、一度服用を中止し、体をリセットする期間を設けることをします。薬の特性上、連用を避けることが求められ、必要最小限の使用が基本となっています。
3. 服用のタイミングの問題
薬を飲むタイミングが不適切だと十分な効果が得られないことがあります。就寝直前に服用すると、成分が体内で十分に吸収される前にふとんに入ってしまい、効き目を感じるのに遅れることがあります。
食事量も影響することがあります。夕食後すぐの服用は胃の中の食物と混ざることで吸収率が下がり、効果の発現が遅延する可能性があります。
4. 実は眠れない原因が他にある
不眠が起きている背景には、ドリエルのような市販薬では対応できない病気が潜んでいることがあります。
たとえば、大きないびき、睡眠中に呼吸が止まる症状がある睡眠時無呼吸症候群、入眠前の脚のムズムズで眠れないむずむず脚症候群、夜中に脚がピクッと動いて眠りの質を低下させる周期性四肢運動障害、夢の内容に反応して寝言や体動が生じるレム睡眠行動障害などがあります。
また、単なる不眠と思い込んでいたのに、体内時計のずれによる入眠困難、睡眠相後退症候群なども鑑別しなければなりません。
忘れてはならない要因として、精神的な不調があります。うつ病や不安障害、適応障害の初期症状として不眠が現れることも少なくありません。自分では気づけないこともあるので注意が必要です。
痛みやかゆみ、頻尿など身体的な原因によって不眠が生じているケースもあります。例えば、泌尿器の病気があって、夜トイレに行くために何度も起きてしまう症状には、睡眠改善薬の効果は見込めません。
5. カフェインやアルコールなどの生活習慣の影響
カフェイン摂取や飲酒など、嗜好品によって眠りが妨げられているケースがあります。
夕方以降にコーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどカフェインを含む飲み物を摂ってしまうと、眠気を妨げ、ドリエルの効果も感じにくくなります。一方、寝る前にお酒を飲む習慣がある人は、入眠はしやすくても眠りが浅くなり、夜中に目が覚めやすくなります。
生活習慣が不眠に関わっていることもあるので、その場合、睡眠改善薬のみで対応が難しいので、生活の見直しが重要です。
医療機関を受診すべきタイミングは

ドリエルを正しく内服しているにもかかわらず、3回服用しても効果がないときは、医師に相談しましょう。一時的な不眠ならば市販の睡眠改善薬で対応できることも多いですが、眠れない状況が長く続いているときは、何らかの原因が隠れている可能性があります。
不眠と併せて、強い不安感やイライラ、憂うつな気分、集中力の低下などのメンタルヘルスに関連した症状を伴う場合は、早めにクリニックの診察を受けてください。これらの症状は、うつ病や不安障害などのこころの病気関連している可能性があります。精神疾患に伴う不眠は、市販の睡眠改善薬だけでは解決しないので、心療内科や精神科での診断と治療を勧めます。
また、不眠によって日常生活に支障が出ている場合も受診が必要です。仕事、勉強に支障が出ているときは、医療機関に相談すべきです。
- 作業に集中できない
- 日中の強い眠気で仕事を続けられない
- 気力が落ちている
- 記憶力が低下している
- 人間関係に影響が出ている
眠れないことに加えて、活動時間帯への影響が問題になっているときは、一刻も早く睡眠障害の治療を受ける必要があります。そして、睡眠の病気にはさまざまな種類があるので、鑑別をして、あなたに合った解決法を見出していきます。