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睡眠時間の問題と睡眠障害の鑑別点とは
理想の睡眠時間とは
私たちは、日中の活動で疲れた体を休めるために、夜眠ります。そのとき、脳での記憶の整理、さらに、各種ホルモンによって体の修復を行っています。
十分に眠る時間が確保できれば良いですが、何らかの原因で、時間が不足すると、体と脳のメンテナンスがうまくいかないので、病気が発症しやすくなります。そして、体調不良を訴えることが多くなります。
ところで、「私は何時間眠ったら良いでしょうか」という質問を受けることがあります。
すべての人に当てはまるわけではありませんが、成人の場合、7時間程度が一つの目安と言われています。年齢、個人差があるため、目覚めがスッキリとしていて、日中の活動に支障がないときの睡眠時間が理想と言えます。
ただし、実際には、40歳代を中心に、十分に眠っていない人が多いようです。
当院の外来で推奨している睡眠時間について、供覧します。実際には、個人差を考慮して1~2時間の幅を持たせて、考えると良いです。
年齢 | 睡眠時間 |
---|---|
3ヶ月未満 | 14-17 |
4~11ヶ月 | 12-15 |
1~2歳 | 11-14 |
3~5歳 | 10-13 |
6~13歳 | 9-11 |
14~17歳 | 8-10 |
18~64歳 | 7-9 |
65歳以上 | 7-8 |
年齢によって変化する
年をとると、睡眠の質、時間が変化することが分かっています。一般的には、浅い眠りになる傾向があり、中途覚醒、早朝覚醒が増えていきます。
朝型化が進み、男性によくみられる傾向です。さらに、睡眠時間も短縮していきます。眠りの質にも変化します。具体的には、深い眠りと呼ばれる、ノンレム睡眠(徐派睡眠)の割合が減少していきます。
- 睡眠時間が短くなる
- 中途覚醒(浅い眠り)、早朝覚醒
- 朝型化が進む
そのため、眠れないという訴えをもって、病院を受診するケースがあります。
睡眠時間が長いとき
人によっては、寝ている時間が長いことがあります。基準としては、同世代の人の平均的な睡眠時間より長い場合に、長時間睡眠者(ロングスリーパー)と呼びます。具体的には、10時間以上のときを目安とします。「よく寝る」と言われることが多いです。
長時間睡眠者は体質とも言えるもので、睡眠の質については、問題ありません。人より長い時間眠ることで、昼間の眠気もなく仕事をすることができます。ただし、早寝をしないと、翌朝起きられないことが問題になることがあります。
学校、仕事があると、平日の睡眠時間が足りないため、休日、特に週末において、代償的に睡眠時間が長くなる傾向にあります。睡眠日誌によって、パターンを見極めることが診断への手掛かりとなります。
ロングスリーパーと特発性過眠症との違いは、長い睡眠時間がある条件での、昼間の眠気の有無です。過眠症では、長く眠っても日中の眠気が生じます。
睡眠不足の場合は、その人が必要とされる睡眠時間が確保されれば、眠気が軽減する、消失することで区別することができます。
睡眠時間が短いとき
私たちの周りには、睡眠時間が極端に短くても、眠気を訴えることなく、普通に仕事している方がいます。一般の人が平均的な7時間の睡眠をとっている一方で、6時間未満でも、眠気を訴えることがない人を、短時間睡眠者(ショートスリーパー)と言います。
少ない睡眠時間で日常生活の活動の支障がないため、アクティブに行動する傾向があります。その反面、「普通の人のように、もっと眠りたい」という気持ちになる人もいるようです。
不眠症との違いは、日常生活の活動に問題がないことで、鑑別します。
不眠症について
入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒があり、夜眠れないことで、疲労感、集中力低下、眠気などの自覚症状があるときに考えます。
睡眠時間が6時間未満でも、眠気を感じることなく過ごせる人について。
睡眠時間が長くても眠気があるとき
一般的な平均睡眠時間をとっていても、日中の活動に影響が出ている、眠気があって居眠りが多いときに考える睡眠障害について説明します。
まずは、「眠りの質」について問題ないかを確認することから始めます。外来では、嗜好品の影響(カフェイン、アルコール、ニコチン)、食事の時間と量の影響、ストレス、睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害など)の合併が背景にないかを調べます。
他の睡眠障害の除外をしても、眠気の原因がはっきりしないときに、特発性過眠症の精査を予定します。
睡眠の質について
眠りの質に関係することを解説しています。
大きないびき、無呼吸があるため、浅い眠りになります。その結果、昼間の眠気が問題になります。
寝ているとき、脚がピクッと動くために、眠りが浅くなります。