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同室のいびきは睡眠妨害の要因になるかも
放っておくと怖い相部屋のいびき問題
もしも、あなたが大きないびきをかく人だとしたら、相部屋での睡眠は思わぬ問題を引き起こすかもしれません。いびきは単なる生理現象ではなく、同室の人にとっては耐え難い騒音となるのです。
毎晩続くいびきの音は、共有された空間で寝ている人の安眠を妨害してしまいます。自分のいびきに気が付いていない人も多く、他人からクレームを受けて初めて、問題の重要性や緊急性に気付くことも少なくありません。
いびきの騒音問題が続き、何らかの対応をしないと、迷惑を超え、あなたの信頼性や評判に関わる事態に発展していきます。さらに、宿直勤務に従事している人は、仕事を続けることが難しくなる場合もあります。
さらに、対人関係を悪化させるだけではなく、あなたの健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。具体的に言うと、いびきをかく人の中には、睡眠時無呼吸症候群という病気が潜んでいるかもしれません。
今回のコラムでは、相部屋の予定があるときに、自分のいびきの問題にどのように対処すればよいか、同じ空間で眠っている人の睡眠を妨害しないための方法を一緒に考えていきましょう。
いびきの騒音:どんな人が被害を受けるのか?
職種 | 部屋を共有している状況 |
---|---|
軍人 | 軍隊の訓練や任務での共同宿泊が頻繁に行われる。基地内での生活、野営など、緊張感のある状況では、他人のいびきは、気になる。 |
警察官 | 警察署での宿直業務があるときに、相部屋になるケースがあります。いびきをかく人と一緒に仮眠をすると、眠れない問題が起きます。 |
消防士 | 消防署には仮眠室という部屋があり、夜間に火事があったときに出動に備えています。複数人で同じ部屋で寝る機会が多いです。 |
船員 | 長期間の航海において、相部屋での宿泊があります。実習船では、大部屋で生活をすることが多いので、いびきの音が気になります。 |
ビルメン(宿直) | ビルメンテナンススタッフは夜間の勤務で施設内での宿泊をします。仮眠室は相部屋になっていることもあり、同僚と同室で寝ます。 |
医療従事者 | 病院あるいは有床診療所において、当直業務の医師、研修医、看護師、医療事務など、交代で宿直室で仮眠をとることがあります。 |
ホテルマン | ホテルのスタッフは、シフトの関係で夜勤があるとき仮眠をとります。カプセルタイプの仮眠室で睡眠をとる機会もあります。 |
寮生活の学生 | 高校、大学や専門学校の寮での共同生活では、ルームメイトの大きないびきは、睡眠を妨げる要因になります。入寮してから気づく人もいます。 |
さまざまな職業で、遠方のビジネスのために出張に行ったり、研修で出かけたり、相部屋の宿泊施設を利用する場合も、同室の人にとって、いびきがトラブルになる懸念があります。
旅行のいびき
移動中および宿泊先で過ごす夜に起きる騒音の問題について。
夜間、共同生活で起きやすい騒音の事例について。
学生、社会人が、数日間から数週間にわたって共同で生活し、研修や練習を行うときに、大部屋で問題となる音の問題。
自分のいびきが与える影響とは
自分のいびきが同室の人に及ぼす影響は、多岐にわたります。例えば、官公庁の仕事(警察官、消防士、防衛関係に関わる人など)、鉄道輸送、警備、医療に関わる仕事では、同僚と一緒に部屋で寝る場合があります。他人のいびきが気になり、同室の人で寝ている人の「睡眠の質」を低下させてしまいます。
あなたの大きないびきが問題となって、ぐっすり眠れずにうんざりする同僚は、睡眠不足によるストレスや不機嫌さを感じる懸念があります。不眠が続くと、些細なことで怒りっぽくなったり、イライラしたり、情緒面にも影響します。
このような状況は、共有された環境における人間関係にも影響を及ぼし、職場によっては、いびきを理由に転室や配置転換が検討されることもあります。場合によっては、仕事を続けることが難しくなるかもしれません。
相部屋で過ごした同僚が、いびきの騒音によって十分な休息を得られず、翌日の業務効率が低下することも考えられます。いびきをかく本人も、自分の問題が周囲に迷惑をかけているという自覚から精神的なプレッシャーを感じることがあります。
社会的な孤立を経験することもある可能性もあります。同僚やルームメイトから避けられたり、信頼を失うことにより、職場や学校での人間関係に亀裂が入る恐れがあります。気まずい雰囲気になるかもしれません。
以上のことから、いびきは個人の睡眠問題にとどまらず、周囲の人々の生活や心理的な健康にも影響を及ぼします。
自分自身の健康問題という視点からみると、大きないびきは、閉塞型睡眠時無呼吸という病気を知らせるサインです。自分の健康面について不利益をもたらす恐れもあることを知っておきましょう。
いびきをかいている人と同じ部屋で寝ている人にとって、いびきの音によって睡眠の質が低下するという騒音公害の側面があります。その一方、別の見方として、いびきの重症度は、睡眠時無呼吸症候群の予測因子となる可能性も報告されています。
出典:Sowho et al. Snoring: a source of noise pollution and sleep apnea predictor. Sleep. 2020;43:zsz305.
セルフケアの方法
いびきの音を抑えるためには、仰向けで寝ないようにすることが一つの有効な方法です。いびきは、寝ている間に喉の奥に舌が重力の影響で下に沈み、空気の通り道が狭くなることで発生します。そのため、仰向けではなく横向きに寝ることで、いびきの音が出にくくなります。
さらに、いびきの問題を抱える人にとって、体重管理は大切です。肥満体型で首が太い人は、いびきをかきやすい要因です。健康的な食事と定期的な運動を行い体重を減らすことは、いびきの軽減に役立ちます。
市販されているいびき対策グッズには、口を閉じるテープや顎を固定するバンドが含まれます。これらには口呼吸を防ぐ役割があります。また、自然2に横向きの寝姿勢を取るのを助ける抱き枕などもあります。鼻通りを改善するためのテープもいびき対策に使われることがあり、鼻腔を広げて鼻による呼吸をスムーズにします。
ただし、激しいいびきがあったり、呼吸が止まっていたり、睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合は、医師に相談することを勧めます。
もし、あなたが同室の人のいびきで悩まさせてるなら、その人はいびきを自覚していないかもしれません。そのことを伝えたほうが良いです。そして、一緒に音の問題を解決するために考えてあげることも必要かもしれません。
出典:How to Handle Your Snoring Roommate – Warner Pacific University
病院で受けられる対処法
まずは、耳鼻咽喉科や睡眠専門クリニックで医師の診断を受けることから始めましょう。医師はいびきの原因、病状、健康状態への影響を評価して、適切な治療法を提案します。
睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると判断されると、終夜睡眠ポリグラフ検査による評価を行います。この精密検査では、睡眠中の呼吸パターンや心拍数、血液中の酸素レベルなどが記録されます。同時に、ビデオ記録もされるので、あなたのいびきの大きさも分かります。
重症の睡眠時無呼吸症候群が見つかった場合、CPAP治療があります。CPAP機器は眠っているときに気道が閉塞しないように一定の空気圧をかけて、いびきの音と呼吸の異常を改善させます。それに対して、軽症から中等症の睡眠時無呼吸症候群の場合は、歯科でのマウスピース作成を検討します。夜間にマウスピースを装着することで下顎を前方に保持します。そして、気道を拡げます。
いびきの原因によっては、耳鼻科での手術が適切な治療法となることもあります。口蓋扁桃の肥大や鼻中隔の彎曲など、上気道の物理的な問題がいびきを引き起こしている場合、睡眠時無呼吸症候群の手術を検討します。
もちろん、減量指導、禁煙、アルコール摂取の制限など、生活習慣のアドバイスも受けられます。