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昼寝のよくある質問に睡眠専門医が答えます
昼寝とは
日中に短時間、眠ることを昼寝と言います。一般的には、昼食後に眠くなることがあると、眠りたい欲求が出て仮眠をとる行為です。
最近では、昼寝の効能について見直されており、午後の仮眠によって眠気が解消するだけではなく、仕事の効率が上がることもあります。よくある疑問に対して睡眠専門医がお答えします。
種類について
種類 | 特徴 |
---|---|
回復するための昼寝 | 睡眠時間が不足しているときに、疲労、眠気を解消するために眠る。 |
予防的にとる昼寝 | 交代勤務の夜シフトに入る前に、仕事中の眠気を軽減するために眠る。 |
付加的にとる昼寝 | 気分、疲労の回復のために眠り、リラックス効果を期待する。 |
小児期に必要な昼寝 | 乳幼児は睡眠時間が長いので、日中に自然に眠ります。 |
病気のときの昼寝 | 感染症に対して免疫系がはたらくとき、体の修復を要するときに眠る。 |
昼寝が必要な理由とは
一般的に多い理由としては、日頃の睡眠不足のために眠気が生じて困っているので、睡眠時間を補うために仮眠をとることが多いです。睡眠負債になっているときは、短時間の昼寝が有効です。
体内リズムおよび食後の自律神経の変化などの影響によって、昼食後に眠くなることが多いので、昼寝が必要になる方も少なくありません。
すでに過眠症と診断されている方は、眠気を緩和するために計画的に仮眠をとることもあります。
女性の場合、出産後に夜間帯に十分な睡眠時間をとることができません。そのため、寝不足を少しでも解消するために、昼寝を活用することを勧めます。
昼寝の効果
- リラックスできる
- 疲労の回復
- 集中力の向上
- 気分の改善
- 仕事の効率が良くなる
出典:Napping: Do’s and don’ts for healthy adults – Mayo Clinic
実際には、頭がすっきりするという経験を持っている人が多いと思いますが、物事に対する反応が良くなったり、記憶力が良くなる効果もあります。
高齢者が昼寝をとると、脳に良い効果があることが報告されています。記憶について、言葉を想起する能力が良くなります。
出典:Can a Nap Boost Brain Health? – Johns Hopkins Medicine
昼寝のデメリット
睡眠不足があるので眠気を解消しようと、翌日、長めの昼寝をとると、その晩は寝つきが悪くなることがあります。長時間の仮眠は、不眠の原因になります。
短時間の仮眠であれば良いのですが、長い時間から目が覚めると、起き上がったときに依然として睡眠が続いているような状況になります。
睡眠慣性と呼ばれており、倦怠感、頭がぼんやりとした症状が続くことが問題になります。
出典: LONGER NAPS MAY AWAKEN THESE FOUR HEALTH ISSUES:Vital Record
30分以上、仮眠をとると深い睡眠が出現するため、睡眠慣性が生じやすいと考えられています。
出典:How Long Should I Nap?:American Sleep Association
寝過ぎることで頭痛を自覚することがあります。起床時の脳血管の拡張、頭部や筋肉が緊張することによって起きるメカニズムが考えられています。
胃腸症状が出現することがあります。特に肥満体型の方が昼食の摂取量が多い状態で食後すぐに眠ると、胃もたれ、胸やけの原因になります。
最適な昼寝の時間はどのくらいか
午後3時前の20分くらいが適切な時間です。
必要以上に長く寝すぎると仮眠から目覚めが悪くなるので、注意してください。
どんな環境が良いか
一般的に、寝入りを容易にするためには、暗く静かな環境が良いです、仮眠室がないときは、アイマスクを活用することが一案です。机にうつ伏せの状態になるケースが多いですが、そういう場合は枕を利用してください。
その他、昼寝のマット、リクライニングチェアを使うことも良いアイデアです。
一時的に眠気を解消したいときの工夫
午後に20分くらい眠る前に、カフェインを摂取する方法があります。カフェインが体内に吸収されて、覚醒の効果が出始めるのに20分から30分程度かかります。その結果、昼寝から目が覚めたときに、集中力が回復しやすくなります。
出典:Napping: the expert’s guide: The Guardian