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MSLTで過眠症を調べる
昼間眠い病気を評価するためのMSLTとは
反復睡眠潜時検査は、日中の耐えがたい眠気を呈する病気(ナルコレプシー、特発性過眠症など)を評価するために行う検査です。過眠症患者の客観的な眠気を数値化して出すことができます。
通常、PSG(終夜睡眠ポリグラフ検査)を前夜に行い、翌朝から、2時間毎に5回(20分間)、睡眠の状態、眠りに入るまでの時間を調べて、眠気の程度を把握します。
過眠症の診断のために行うMSLTは、英語では、multiple sleep latency testと表示されます。医療従事者の間では、単語の頭文字をとってMSLTと呼んでいることが多いです。
どの病院が過眠症の精密検査に対応しているか
MSLTができる病院は限られており、地元にある睡眠障害の専門施設を探す必要があります。日本睡眠学会が認定している日本睡眠学会専門医療機関A型の病院は、MSLTに対応しています。
どんな病気のときに行う検査でしょうか?
MSLTは、脳の睡眠・覚醒異常が原因となって昼間の眠気を引き起こす「中枢性過眠症」を診断するときに行います。代表的な病気は、ナルコレプシー、特発性過眠症です。
睡眠時無呼吸症候群に対して3ヶ月以上CPAP機器を用いて治療しても、昼間の過度の眠気が続くときがあります。その場合、眠気を客観的に調べ、眠気を覚ます薬の処方の適応があるか判定するときにも、MSLTを実施します。
中枢性過眠症、睡眠時無呼吸のCPAP治療後の残存する眠気に対する治療薬を処方する上で、MSLTは必須になります。
検査の流れについて
MSLTを計画する前に、他の眠気の原因がないか、睡眠時間、リズムの問題はないか、薬剤、メンタルヘルスの影響がないか外来で調べることが大切です。
一般的に、前夜に入院して、その晩は、PSGを受けます。このとき、夜間の眠りの質を調べます。
翌朝の午前9時からMSLTを開始します。2時間毎に、寝付くまでの時間を計測します。眠気の程度がわかります。同時に、レム睡眠の有無を観察しています。
毎回、脳波上で眠っていると判定した時点から15分間の記録をします。しかし、全く寝ないというケースがあります。そのときは、20分で検査を終わります。
検査データの見方について
ポイントとなる指標は次の二つです。
- 入眠にかかった平均時間(平均睡眠潜時)
- 入眠後に出現するレム睡眠の回数
MSLTは、どれだけ眠いかを数値化することができます。そして、ナルコレプシーの診断に役立つ、入眠時レム睡眠(sleep onset REM period: SOREMP)の出現回数が分かります。
睡眠障害の国際分類(ICSD-3)によれば、ナルコレプシーと特発性過眠症の判定には、平均睡眠潜時8分以内の基準が使われています。
過眠症の診断は、症状の経過と検査結果を総合して行います。
費用について
3割負担で、約18,000円の料金です(保険適用)。
過眠症の検査を希望される方へ
不規則な睡眠リズム、睡眠不足があると、MSLTの結果に影響します。そのため、生活リズムを整えて、十分な睡眠時間を確保してください。初診時に、睡眠日誌をお渡しします。検査入院の当日まで、毎日必ず睡眠の記録をお願いします。
外来では、あなたの眠気のについて、考えられる要因を検査によって除外していきます。そのため、MSLTを受けるまでに、3~4週間の日数がかかります。