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ダウン症に合併しやすい睡眠の病気とは?
原因について
21番目の常染色体が3本になり合計47本になること、あるいは、どちらかの親の21番染色体のうちの1本が他の染色体に結合することが、ダウン症候群の原因です。
出典:長寿科学振興財団
高齢出産では、ダウン症の子どもが生まれる確率が高くなることが分かっており、35歳以上の女性では、若い世代の女性と比較して、ダウン症が生まれやすい傾向があります。
出典:Facts about Down Syndrome – CDC
症状について
筋緊張が低下していること、発育の遅れなどがあります。身体的な特徴としては、つり上がった眼、目頭のしわ、短い鼻、舌を突き出しているという顔貌です。
さまざまな内臓の合併症があり、生まれつき心臓の病気(心内膜床欠損症、心室中隔欠損症)を持っていることがあります。眼科の病気としては、白内障、斜視など、耳鼻科領域では、中耳炎、難聴が問題になります。
成長の過程で、てんかん、環軸椎脱臼(頚椎の1番目と2番目がずれること)を発症することがあるので、注意が必要です。
早期に老化が進むため、アルツハイマー型認知症になりやすいことが知られています。
睡眠障害の特徴について
ダウン症の子どもの約50%に睡眠の問題があります。具体的には、眠りが浅い、呼吸が止まることで、睡眠の質が低下します。ぐっすり眠れない影響が出るため、日中の症状として、いらいらする、不安、攻撃性が増す、日中の眠気が生じます。
出典:Down’s Syndrome Association
一般的に、ダウン症では肥満体型が多いこと、舌が大きいこと、そして、筋緊張の低下があることが要因で、閉塞性睡眠時無呼吸が発症しやすいと考えられています。
子どものダウン症候群の中で、1時間当たりの無呼吸あるいは低呼吸が1回以上ある睡眠時無呼吸の割合は、69%と概算されています。
睡眠障害の種類の中で、ダウン症では睡眠時無呼吸の合併が多いので、眠っているときのイビキ、呼吸が止まっているかを定期的に観察することが大切です。
子どもの場合、睡眠時無呼吸を放置すると成長と発達に影響するので、終夜睡眠ポリグラフ検査による評価を受けることが重要です。
お子様がダウン症で、大きないびきをかいている、睡眠が浅い印象があるなら、睡眠専門医の診察を受けるべきです。
アデノイド、口蓋扁桃肥大があれば、手術による治療を検討します。ただし、ダウン症は巨舌、筋緊張の低下がみられることから、根治することが難しい場合もあります。
海外では、CPAP治療が適用にならない小児に対して、経鼻の高流量酸素療法(high-flow nasal cannula: HFNC)の有用性に関する症例報告があります。
2022年、日本において、成人の閉塞型睡眠時無呼吸に対する舌下神経電気刺激療法の保険適用が認められました。海外で行われた研究によれば、ダウン症の子どもが舌下神経電気刺激療法を受けると、無呼吸低呼吸指数が約85%低下したことが判明しました。
将来的に、日本でも、18歳未満の小児に対する舌下神経電気刺激療法の保険適用が検討されるでしょう。
治療法について
異常な染色体を治療する方法は確立されていません。
ダウン症候群に合併しやすい病気について治療を勧めます。さまざまな臓器の障害が起きるので、複数の診療科の連携が大切です。
出典:国立成育医療研究センター
ことば、身体のトレーニング、就労と教育の支援を行うことが、生活していく上で大切です。
出典:Down Syndrome – MedlinePlus