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激しい寝言と体を動かす症状でお困りの方へ
レム睡眠行動障害とは
私たちは、眠っているときに夢を見ます。このときはレム睡眠という浅い眠りの状態です。
このとき、通常、体の筋肉の緊張がほぐれており、力が入らない状態になっています。しかし、夢の内容そのものに反応して、寝言を言ったり、叫んだり、体を動かしたりすることが病的に出現することがあります。
特に高齢者に多い傾向があり、中年以降に発症が目立ちます。この異常行動は、パーキンソン病、レビー小体型認知症の発病に先行して出現する現象とされています。
- 寝ているときに大声で怒鳴っています。
- 手足を動かして、何者かと口論しているようです。
周りの人も不眠になることがあります。しかし、本人が睡眠障害のために異常行動があるのに、気づいていません。そこで、今回、中高年に多いパラソムニアの一つ、レム睡眠行動障害について、解説いたします。
原因について
眠っているとき、私たちの脳内では、ノンレム睡眠とレム睡眠の90分周期が一晩に4から5回ほど繰り返しています。
特に夢を見ているときは、眼球が動くことが知られています。このとき、筋肉は弛緩しているので、体を動かせない状態です。
加齢に伴って、睡眠と筋緊張調節している部位に脳細胞の変性が起きると、レム睡眠中にも関わらず、発声、体動が出現します。パーキンソン病、レビー小体型認知症に伴う症状として注目されています。
症状について
実際に症状で困っている方からの話を聞くと・・・
怖い夢、特に、動物、何者かに襲われるような夢を見たということが多い印象です。「年をとってから、悪夢ばかり見るようになった」という人もいます。その危険な状態を避けようと、次のような行動が睡眠中にも関わらず、実際にベッド上で生じます。
- 大声を出す、怒鳴る
- 殴る、蹴るような動作
- 起き上がる
- ベッドから飛び出す
ベッドパートナーの話では、「手足をばたつかせている」、「壁を叩いたことがあった」ということも聞きます。一般的に寝相が悪い印象です。そのため、ご本人は異常行動のために、手足に打撲が生じることがあります。
診断までの流れ
レム睡眠行動障害が疑わしいと思ったときは、脳神経内科の診察を受けます。そして、症状の経過について、問診されます。
確定診断には、終夜睡眠ポリグラフ検査と呼ばれる精密検査が行われます。眠っている状況をビデオ撮影することで、異常行動を評価します。同時に、レム睡眠中に筋電位が亢進していることを確認します。
臨床症状と検査所見を総合して、レム睡眠行動障害の診断が確定します。
治療法について
病院でよく処方される薬として、クロナゼパムという薬剤があります。元々、てんかん治療に使われていた薬ですが、レム睡眠行動障害に効果があります。睡眠を安定化させて異常な行動を抑制します。
その他、ラメルテオンと呼ばれる、メラトニンアゴニストを使うこともあります。不眠症に用いられる薬でもありますが、異常行動を抑えるはたらきがあります。
睡眠障害の専門医に診断を受けて、処方してもらうことが大切です。終夜睡眠ポリグラフ検査を受けることで、レム睡眠行動障害であるかが分かります。
予防法について
認知症を予防するような根本的なものは確立されていませんが、以下のことは、レム睡眠行動障害の症状を予防するのに有効です。
- アルコール摂取を避ける:寝酒の禁止
- 十分な睡眠時間をとること
- 規則正しい生活リズムを保つこと
大きなイビキ、無呼吸がある場合は、睡眠時無呼吸に対処することで、症状の発現を防ぐこともあります。
その他、自身の怪我を防ぐために、寝室を安全な環境に整備することが大切です。クッションを敷いておくことも考慮しましょう。