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女性の睡眠時無呼吸の傾向と対策について
女性が注意したい睡眠時無呼吸の症状
女性の睡眠時無呼吸の特徴は何ですか?
いびき、呼吸が止まる、昼間の眠気などの典型的な症状がある女性もいますが、眠れない、体力が低下している、疲れが取れない、精神症状(うつ、不安感、イライラ感)、動悸、悪夢、頭痛など、さまざまな悩みを訴えることが多いです。
発症しやすい年齢はいくつぐらいですか
女性の場合、50~60歳代から、睡眠時無呼吸の発症が増えてきます。更年期以降に発症の頻度が上昇します。男性と比較すると、好発年齢が10年遅れている印象です。
発症する時期の傾向をみると、病気の発現に閉経の要因が関わっていると考えられています。
出典:Jordan et al. Adult obstructive sleep apnoea. Lancet. 2014;383:736-47.
どんな病気に間違えられやすいですか
睡眠時無呼吸の症状の一つ、日中の眠気だけでなく、疲労感、集中力の低下、メンタルヘルス不調の症状(うつ、不安、いらいら感など)、朝方の頭痛などがあります。
女性の睡眠時無呼吸は、こころの病気(うつ病、不安障害)、貧血、不眠症と間違えられることがあります。
出典: Sleep apnea symptoms in women – ResMeD
睡眠時無呼吸は、更年期に多く発症することから、あなたの悩んでいる症状が更年期障害によるものと思い込んでいませんか。
気になる症状があれば、睡眠時無呼吸が見つかることがあるので、睡眠専門医の診察を受けてください。
若い女性ではどんな特徴がありますか
やせ型の女性の中で、顎が小さい、下顎が後退している方がいます。その場合、気道が閉塞しやすくなる傾向になります。特に小顔の場合は、いびきをかくことが少なくありません。
その他、鼻炎があり、口呼吸があることも、いびきをかく要因になります。
どんな要因があると睡眠時無呼吸になりやすいですか
1.多嚢胞性卵巣症候群
卵巣に多数の嚢胞が生じる婦人科の病気です。肥満、体毛が多くなる、過小月経の症状を引き起こすことが知られてます。
睡眠障害を合併することが多く、肥満、男性ホルモンの増加、インスリン抵抗性の亢進などの要因が重なって生じると推察されています。多嚢胞性卵巣症候群では、睡眠時無呼吸の合併が多くなります。
2.妊娠
妊娠前から、睡眠時無呼吸があり、妊娠してから病状が悪化するタイプと、妊娠中の体重増加、肥満が影響して睡眠時無呼吸が出現するタイプがあります。
気道の粘膜充血による狭小化、肺の機能的残気量の低下などが、要因として考えられています。
妊娠中は、無呼吸による酸素不足が母体のみならず胎児の成長にも影響します。妊婦のいびきは病気の徴候の可能性があるので、心当たりの症状があれば、診察を受けてください。
3.更年期
女性が閉経を迎える時期になると、エストロゲン、プロゲステロンと呼ばれる二つのホルモン分泌が減少します。これらの卵巣ホルモンは、喉の筋肉の緊張を保つ作用があります。しかし、閉経にともなうホルモン減少により、気道が閉塞しやすくなります。
さらに、卵巣ホルモンの変化によって、体重が増えやすくなることも、睡眠時無呼吸が発生しやすい一因となっています。
出典:How to Handle Obstructive Sleep Apnea During Menopause – Sleep Foundation
中年になってから体重が増える、血圧が高くなることがあれば、いびきをかくか、パートナーに確認してください。
どんな治療法がありますか
肥満があれば、痩せることが根本治療になります。
眠っているときの呼吸の状態、睡眠の質を改善するために、CPAP治療を検討することがあります。軽症である場合、顎の問題が睡眠時無呼吸に影響している場合は、マウスピースによる治療を考えます。
耳鼻科の手術については、喉の状態を耳鼻科専門医に評価してもらってから、検討することがあります。