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睡眠不足が引き起こす記憶障害
睡眠と記憶の関係とは
睡眠には、体の疲れをとったり、脳を休めたり、記憶を整理したりする働きがあります。二種類の眠りがあり、ノンレム睡眠とレム睡眠と呼ばれています。両者とも、記憶力に関わっています。
特に、レム睡眠のときは、新しく覚えたことを過去の記憶や経験と関連づける過程が進みます。記憶された物事が索引されることで、記憶を円滑に呼び起こすことができます。
一方、浅いノンレム睡眠は、長期記憶の一種である技能や手続きなどの記憶を手続き記憶の固定に関与しています。そして、深い眠りの段階にあるノンレム睡眠のときは、自分にとって嫌な記憶が消去されます。
睡眠障害が引き起こす記憶力低下
十分な睡眠時間を規則正しくとって、質の良い眠りが確保されることが、記憶にとって良い条件です。しかし、寝不足、不規則な睡眠と覚醒のリズム、そして、質が悪い眠りのいずれかが発生すると、私たちの記憶の働きが低下します。
日常生活において眠りの問題があるときは、勉強、仕事をする上で必要になる記憶力に影響が出ます。具体的には、頭が働かない状況に陥るリスクがあります。
これから、さまざな睡眠障害がどのように記憶の問題と関わっているか、解説していきます。
睡眠不足
私たちの記憶の過程において、脳にある海馬は新しい記憶を貯蔵する役割があります。その後、海馬の中で記憶の整理がされて、大脳皮質に古い記憶として保管されます。
健康な子どもを対象とした研究報告によれば、寝不足になると、海馬が縮小します。そのため、しっかりと眠らないと、記憶力に影響が出ます。
さまざな研究論文によって、睡眠不足は注意力と作業記憶に悪影響を及ぼすことが証明されています。
中学生、高校生になると、受験勉強に忙しくなり、睡眠時間を削っている子どもが増えます。試験前に睡眠不足が続いたり、徹夜をすると、記憶に影響するので注意しましょう。
不眠症
睡眠障害の中で頻度の高い病気です。寝つきが悪い、途中で目が覚めて再び眠れない、朝早い時間に目が覚めてしまう症状が出現します。そして、日中の眠気、集中力の低下、精神の症状などが起きるので、日常生活に支障が出ます。
慢性の不眠症があると、認知機能の問題が起きやすく、知識や経験など言葉で伝える役割をもつ記憶力に影響します。
不眠症の治療を受けている方で、薬剤による治療を受けている場合があります。睡眠薬の服用によって、その後に起きたイベントについて記憶がなくなることがあるので、注意を要します。
出典:スイミンネット
睡眠時無呼吸症候群
眠っているときに、気道が狭くなることが原因となって、いびき、無呼吸が生じる病気です。空気の取り込みが低下するので、体が酸素不足になります。低酸素血症によって、脳に障害を引き起こします。
未治療の睡眠時無呼吸があると、呼吸障害から引き起こされる睡眠の質の低下および低酸素血症によって、意味記憶を思い出す力が低下することが報告されています。さらに、うつ症状の発症にも関係している可能性があります。
睡眠時無呼吸は、脳に影響して認知機能の低下につながるので、早めの治療が大切です。
中高年において、軽度認知障害が発病する前に睡眠時無呼吸症候群に対する治療を行うことは、アルツハイマー型認知症の発症を予防するのに役立ちます。
対処法について
まずは、日頃の生活習慣の見直しが大切です。夜更かし、不規則な生活リズムを避けること、そして、十分な睡眠時間を確保することが大切です。
就寝前にスマホ、ゲームをする習慣があれば、控えることが大切です、寝る前の光刺激は眠りの質を低下させるからです。特に受験を控える子どもは、本番の試験のときに記憶力が落ちないように、十分に眠ることが大切です。
不眠症、睡眠時無呼吸症候群、過眠症など、睡眠障害が疑われる症状に心当たりがあるなら、最寄の睡眠外来に相談することを勧めます。