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微小睡眠が起きる状況と対処法を知る
マイクロスリープとは
昼間に覚醒しているときに、数秒間、眠ってしまうことを意味します。本人が自覚しないことも多く、寝不足、蓄積した疲労があるときに、瞬間的な睡眠が生じる現象です。
周囲の人からは、「一瞬、居眠りをしている」と捉えられることがあります。別名は、フラッシュスリープです。
原因について
要因 | 特徴 |
---|---|
睡眠不足 | 十分な睡眠時間がとれていない状況が長く続くと、マイクロスリープが生じます。自分が気づかないうちに、短時間の睡眠不足が蓄積している睡眠負債も原因になります。 |
睡眠リズム | 生活習慣の乱れ、夜勤・交代勤務、時差ボケなど、自分にある体内時計のリズムが外界の生活リズムにミスマッチが生じているとき、マイクロスリープが起きる危険があります。 |
疲労 | 長時間、休憩を取らずに、仕事や勉強に取り組んでいると、脳が疲れてきます。少しでも休息しようとして、覚醒の状態にマイクロスリープが割り込んで出現します。 |
睡眠の病気 | 睡眠時無呼吸症候群、不眠症、および周期性四肢運動障害によって睡眠の質が低下すると、脳と体を十分に休息させることができないので、マイクロスリープが出現します。 |
薬剤 | 抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬、半減期の長い睡眠薬、抗てんかん薬などは、副作用として日中の眠気を引き起こします。 |
ナルコレプシーでは、マイクロスリープのような症状は起きますか?
ナルコレプシーは、脳内の覚醒維持の仕組みがうまく働かないので、眠気が生じる睡眠障害です。この病気では睡眠発作が生じることが特徴で、寝落ちします。マイクロスリープに類似した症状が現れますが、居眠りの時間が長いと覚醒させることが困難です。
症状について
日中、覚醒しているときに瞬間的に眠ってしまうイメージで捉えると良いです。目を開けたまま、瞬間的に寝ている場合もあります。一瞬、意識が飛んだ感じがすると捉える人もいます。
マイクロスリープと気絶の違いは何ですか?
一般的にマイクロスリープは、意識レベルは低下しますが、容易に目覚めることができます。睡眠の状態であるので、脳の血流は保たれています。一方、気絶は心臓の病気、血圧の低下、迷走神経の問題によって脳の血流が一時的に低下して生じる意識消失です。
マイクロスリープの影響
仕事中に何度もマイクロスリープに陥ると、作業効率の低下が起きるだけではなく、ミスが多くなります。
会議中では、集中力が低下している状態になっています。内容が頭に入ってこないばかりか、記憶が飛んでいたことに、他人に指摘されて初めて気づくことがあります。
ドライバーが車両の運転をしているときにマイクロスリープが起きると、とても危ないです。交通事故のリスクが上がります。
高所作業、運転業務など、注意力が求められる仕事をしている人に、マイクロスリープが連続して発生すると、労災事故が起きる危険が高いです。
バス、電車、新幹線の運転、ヘリコプター、セスナなどの小型航空機、飛行機などを操作する人は、ちょっとした隙に、数秒間、眠ってしまうと事故を誘発します。
チェックリスト
- 本を読んでいるときに、同じ段落を2度読んでしまう
- パソコン入力で、ミスタイプが多い
- 突然、青信号に変わっていることに気づいて焦った
- 会話しているとき、いつの間にか話が進んでいた
- あくび、まばたきの回数が増えてきた
診断の方法
睡眠の状態を評価ができる脳波検査を日中に行うと、マイクロスリープを検知することができます。
出典:Microsleeps; Negative Impacts on Sleep – National Institute for Occupational Safety and Health
一般的には、15秒未満の睡眠がマイクロスリープと判定されます。
職業ドライバーなどが運転適性の評価を受けるときに、睡眠維持検査と呼ばれる検査が行われています。この検査でも、マイクロスリープを検出することができます。
対処法について
自分のマイクロスリープが起きている原因が何かを知るべきです。なぜなら、原因によって適切な対処法が異なるからです。
まずは、規則正しい生活をして、十分な睡眠時間をとることです。一定の就寝時間と起床時間を保ちましょう。寝不足をなくすことは、マイクロスリープの発現を止めるために有効です。
交代勤務、夜勤がある場合は、睡眠リズムの影響によるマイクロスリープの出現を完全に排除することができません。そのため、計画的な仮眠をとることを勧めます。
長時間の運転をしている人で、「集中力が落ちた」と感じたときは、脳の疲れを意味しています。すぐに安全な場所に停車して、休憩してください。そして、短時間の睡眠をとって、マイクロスリープが出る体の状態から回復させましょう。
生活習慣を改善しても、マイクロスリープが何回も起きるときは、病院に相談するタイミングです。最寄の睡眠外来に相談してください。
予防について
私たちが活動しているときに、マイクロスリープを防止するためには、成人では1日当たりに7~8時間の睡眠が必要です。ロングスリーパーの場合は、さらに、睡眠時間を要します。
仕事中は、一定の時間を経過したら、休憩をとることが大切です。デスクワークで単調な作業をしているときは、立ち上がって体を動かすことを勧めます。
職場の環境を調整することも役立ちます。具体的には、室内の温度や明るさを調節することで、マイクロスリープを防ぐ試みもあります。