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高照度光治療と睡眠障害の基礎知識
光療法と睡眠リズム障害の治療について

光療法は睡眠の病気にどんな治療効果がありますか?
体内時計を調節する作用があるため、睡眠リズム障害、昼夜逆転を改善する効果があります。
光療法とはどんな治療法ですか
私たちの脳には、睡眠と覚醒を調整している体内時計があります。毎朝、光を浴びることで、体内時計はリセットされます。一方、夜になり、環境が暗くなると、メラトニンと呼ばれる眠気を催すホルモンが分泌されます。
1日の睡眠と覚醒のリズムが崩れると、適切なタイミングで、寝る、起きることができなくなります。この病気は、概日リズム睡眠障害と呼ばれています。
その中で、睡眠リズムが遅れているタイプがあり、睡眠相後退型の睡眠リズム障害と言います。思春期、若い世代に多い睡眠障害の一つで、重症になると、昼夜逆転の生活が問題になります。
光療法は、高照度の器具を使って、体内時計のリズムが元に戻るようにする治療法です。
どんな病気に効果がありますか
光療法は、概日リズム睡眠障害と季節性感情障害の症状を改善する効果があります。その他、時差による睡眠障害、シフトワークに伴う睡眠の悩みにも応用されています。
- 睡眠相後退型の睡眠リズム障害
- 交代勤務による睡眠障害
- 時差ぼけ
- 冬季うつ病
中学生、高校生の子どもで、朝起きれない状況が続いているときに、原因が睡眠相後退症候群と診断されることがあります。そのときは、睡眠リズムを前進させるために光療法を行います。
なぜ光療法は冬季うつ病に効くのですか
緯度が高い地域、北国では、冬場は日照時間が短くなります。その結果、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減るだけでなく。メラトニンの分泌も不安定になります。
その結果、気分の低下、睡眠リズムが崩れることが生じます。季節性感情障害と呼ばれている、こころの病気です。
高照度の光刺激によって、セロトニンの合成が回復し、うつ症状が解消されます。
睡眠リズム障害に効果がある理由は何ですか
高照度の光を適切なタイミングで照射することで、脳にある体内時計を調節できるからです。
睡眠外来で相談されることが多い、睡眠相後退型(夜遅くまで眠れない、朝起きられない症状)の場合、照明器具を使って起床時に強い光を浴びることで、睡眠リズムが前方に調節されます。
治療を開始すると、夜眠くなる時間と起床時間が徐々に早くなります。
どんな方法で光療法を行うのですか
睡眠相後退型の睡眠リズム障害の場合、照明器具にもよりますが、起床時に、照射時間として30分程度、10,000ルクスの照度をもった光を浴びます。
自分の家で照明器具を使って行うことができますが、病院によっては入院の上、光療法をすることがあります。
高齢者では、極端な早寝早起きのパターンで悩んでいる場合があり、睡眠相前進型の睡眠覚醒リズム障害と呼ばれています。
睡眠相前進の場合は、遅い夕刻に光を浴びることが大切です。
照明器具はどうやって入手できますか
通販サイトで購入することができます。病院によっては、ライトの貸し出しを有料で行っています。
どの病院で光療法は行っていますか
インターネットで最寄の精神科、心療内科など、睡眠を専門的に診察している病院を探すと良いでしょう。日本睡眠学会のホームページには、専門施設の一覧があります。診察を考えているときに、光療法を行っているか病院に問い合わせてください。