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カサンドラの状態で眠れない問題と対処法
カサンドラ症候群とは
自閉スペクトラム症など発達障害をもっている身近な人とのコミュニケーションがうまく行かず、ストレスを抱えてしまう場合があります。その結果、体とこころの不調が現れる状態のことです。
発達障害の一種であるアスペルガー症候群をパートナーに持っている人は、家庭内で直面している問題について、他人に理解を得られない傾向があります。
出典:Rodman, K. E. (2003). Asperger’s Syndome and adults….. Is anyone listening? London and Philadelphia: Jessica Kingsley Publishers.
最近になって、アスペルガー症候群は、自閉スペクトラム症として認知されています。一般的には、大人の発達障害とも呼ばれています。
カサンドラの状態は、自閉スペクトラム症の人のパートナーとの問題を意味しています。しかし、最近では、自閉症の人と関わりをもっている家族、友人、同僚に起きる問題へと、拡大して解釈がされるようになっています。
例えば、一緒に過ごす時間が多い職場の同僚あるいは上司が、自閉スペクトラム症をもっている場合、しばしば、良好なコミュニケションができずに、周りの人々が悩むことがあります。
一般的に、カサンドラ症候群は、自閉スペクトラム症のある人と親密に接する機会のある人に起きやすいです。
出典:発達障害(自閉スペクトラム症:ASD)を支援する人々のメンタルヘルス ~カサンドラ症候群に視点をあてて~ – 鹿児島産業保健総合支援センター
カサンドラ状態が起きる原因
自閉スペクトラム症の人と接するときに「心の通った交流」が保てないことで、当事者がストレスを抱えてしまいます。そして、コミュニケーションがうまく行かないことをパートナーおよび周りの人が、理解してくれない状況が続きます。有効な解決法を見いだせず、本人が苦痛を抱えたまま孤立してしまうことが原因です。
家庭内で起きていることなので、周りの人が問題の解決のために手を差し伸べにくい状況です。さらに、プライベートな空間の中で起きているコミュニケーションの問題であるので、本人の深刻な状況が理解されにくい傾向になります。
同様なことが職場でも起こる場合があります。自閉スペクトラム症の上司あるいは部下と一緒に仕事をするときに、コミュニケーションが困難になり、人間関係が悪化する状態が現れます。本人が苦しんでいるのに、他の部署の人は当事者意識がないので、苦しい気持ちを汲み取ってくれません。ストレスが溜まり、孤独を感じます。
症状について
ストレスを受けることによって、こころと体の症状が出現します。具体的には、不眠、抑うつ、不安、焦燥感などが現れます。身体症状として、食欲不振、倦怠感、動悸、めまい、頭痛などの自律神経症状が出現します。
長い間、ストレスがかかると、うつ病、適応障害に移行する危険があります。
合併する睡眠障害の特徴
カサンドラの状態が長く続くことによって、気分が落ち込み、不眠が現れるようになります。具体的には、次のような睡眠異常が出現します。
- 夜になっても、寝つけない
- 途中で目が覚めてしまい、再び眠れない
- 朝早く目が覚める
- 熟睡した感じがしない
ぐっすり眠れない状況が続くと、日中の眠気、集中力と記憶力の低下などが生じます。
パートナーとの意志疎通がうまく行かず、結婚生活を続けられないという悩みを抱えて、別居あるいは離婚を考えている人もいます。今後の生活のことを考えると、頭がいっぱいになり、眠れないという事態になります。
職場の上司が自閉スペクトラム症であり、空気が読めない会話を続けたり、何度も説明してもうまく伝わらないといったことで悩む人がいます。
上司の配慮のない発言や業務命令を受けることもあり、パワーハラスメントあるいはモラルハラスメントになる場合もあります。部下が度重なる言動を目の当たりにすることで、メンタルストレスが蓄積します。その結果、不眠症になることが少なくありません。
対処法について
カサンドラの状態になって、抑うつ、不安の症状が生じているときは、薬物療法を検討します。めまい、頭痛、動悸などの自律神経症状には、対症療法を行います。
何科に受診すれば良いですか?
精神科、心療内科です。
発達障害を持っている本人と家族のストレスの負荷を軽減するために、環境調整が必要になります。パートナーとの関係で悩みを抱え込むことはせず、周囲に助けを求めることも大切です。発達障害者支援センターの相談窓口を活用しましょう。
自閉スペクトラム症の特性を理解し、パートナーと良好なコミュニケーションをとれるように、同じ悩みをもつ人のための自助グループに参加することも良い方法です。カサンドラ症候群を持っている人との情報交換をすることで、有益なアドバイスが得られるメリットがあります。
カサンドラ症候群の本を読んで、理解を深めることも良い方法です。
出典:国立国会図書館
同じ職場で働いている人(上司、同僚、部下)の中で、自閉スペクトラム症を持っている人がいます。仕事上でコミュニケーションが円滑にできず、自分がカサンドラ状態になってしまった場合は、どうすればよいか?
まずは、社内の人事担当者および産業医と面談して、あなたの症状と現場の実情を聞いてもらいましょう。その上で、あなたの置かれている状況を理解してもらい、職場環境の調整をすることが重要です。
予防について
家庭では、自閉スペクトラム症のパートナーと自分だけの問題について、一人で抱え込まないことが大切です。カサンドラ症候群の症状かもしれないと思ったら、家族会に参加するなど、周りに相談できる人を持ちましょう。気になる症状があれば、医師の診察を受けて話を聞いてもらうことも検討しましょう。