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適応障害による不眠の症状について
どんな経過をとるか
一般的には、あなたがストレスを受けてから3ヶ月以内に症状が出現し、ストレスがなくなってから6ヶ月以内に症状が改善します。
しかし、ストレスが持続すると、適応障害の病状が長引くことがあります。その結果、うつ病、不安障害を発症する場合があります。
ストレスの内容について
日常生活で起きていることで、仕事(就職、異動、昇進、転職など)、進学と試験、集団生活、災害などがあります。プライベートでは、結婚と離婚、転居、経済的な事情もストレスの要因になります。
健康面では、自分が大きな病気にかかること、家族の健康問題も関係することがあります。
出典:Adjustment disorder – MedlinePlus
中学生、高校生では、受験、学校での「いじめ問題」もストレスの一つです。一方、社会人では、上司のパワハラ、同僚によるいじめも適応障害が発症する要因になります。職場の人間関係で眠れない悩みが現れる場合が少なくありません。
職場によっては、テレワークを導入している場合があります。普段とは異なる働き方になると、ストレスになる方もいます。さらに、梅雨の時期になると、天候が不安定なこともあり、倦怠感、うつ症状が出現することがあります。
適応障害になりやすい人の特徴について
- 真面目で几帳面である
- 完璧に仕事をしたい
- 他人からの仕事を断れない
- 責任感が強い
- ネガティブに物事を考えてしまう
- 人の目や評価を気にしている
- 相談できる人がいない
適応障害は、子どものときに受けた強いストレス、他の「こころの病気」、そして、あなたにとって複数の困難な状況が同時に起きると、発症しやすいことが知られています。
出典: Adjustment disorders – Mayo Clinic
LGBTの人は、職場、学校において、性的指向、性自認について理解されない場合があります。本人にとって、大きなストレスとなり心が傷つきます。
成人だけではなく子どもでも、適応障害は発症します。学校に慣れないこと、家庭内の環境が良くないことが原因になる事例があります。他の発症要因として、いじめのストレスが関わっていることもあります。
症状について
種類 | 主な症状 |
---|---|
情緒的な症状(うつ、不安の症状) | 抑うつ気分、やる気が出ない、涙もろい、絶望感、不安、怒り、焦りやすい、緊張、神経過敏 |
身体症状 | 不眠、食欲不振、倦怠感、疲れやすい、頭痛、肩こり、腹痛、吐き気、めまい、動悸、手の震え、発汗 |
問題行動 | 遅刻、早退、無断欠勤、暴飲暴食、攻撃的な行動と暴言、破壊行為、けんか、ギャンブル中毒 |
さまざまな原因と症状について。
適応障害を発症すると、新しい環境や状況の変化にうまく対応できず、ストレスが蓄積します。その結果、集中力が落ちて思考力が鈍くなり、記憶力も低下することがあります。つまり、頭が働かないという感覚を経験することが多いのです。
どんな睡眠障害が問題になるか
寝つきが悪い、眠りに入ってからも何度も目が覚める症状が出現します。その結果、起床したときに倦怠感が生じます。日中の症状として、昼間の眠気があります。
ストレスによって、入眠時刻が遅くなる傾向になるので、朝起きられない人もいます。不眠の症状に加えて、睡眠リズムの問題が出てくる場合があります。朝起きれない病気かもしれないと思ったときは、医師の診察を受けるべきです。
人によっては、嫌な夢ばかり見るという事例もあります。悪夢が生じて寝ることが怖いと感じるという患者さんのケースもあります。
うつ病と適応障害の違いとは
うつ病は、慢性的なストレスを受けて発症することがあり、ストレスが消失した後でも病状がすぐに改善しません。一方、適応障害では、ストレスから離れると症状が改善し元気になります。
何科に受診すれば良いですか?
精神科、心療内科などが適切ですが、最寄にない場合は、かかりつけ医に相談して、大きな病院に紹介してもらうこともできます。
治療法について
本人がストレスを受けている環境を調整することが基本です。仕事量と勤務時間の調整、配置転換、休養などがあります。職場なら休職、学校なら休学などを検討します。担当医が診断書を書いてくれます。
環境を調整しても病状が落ち着かないときは、薬による治療を行います。眠れない症状に対しては、睡眠薬を処方し、不安、抑うつ症状に対しては、抗うつ薬の服用を検討します。
眠りを助ける薬の種類と効果、副作用について。
外来では、ストレスを減らした状態で生活できるように、あなたの「物の考え方と行動の変容」を指導していきます。あらゆる手段を講じても病状が良くならないときは、環境を変えるために退職を考える人もいます。
予防法について
新しい出来事、環境になったときは、適度に休む時間を設けましょう。「最近、頭が回らない状況になったかもしれない」と思ったら、早めに休養することが大切です。
気になっていることがあれば、一人で抱え込むことをせず、家族、友人に相談してください。気心が知れている仲間と交流することは、ストレスを解消するのに役立ちます。
普段の環境から離れて、外出、趣味の活動をすることも良いです。
もし、あなたの周りに話を聞いてもらえる人がいないようなら、自治体の電話相談窓口を利用してください。