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夜勤・シフトワークが睡眠に及ぼす影響
夜勤生活で起きる睡眠障害のよくある質問
夜勤・交代勤務の睡眠障害はどんな病気ですか?
本来、眠るべき時間に重なる交代勤務のスケジュールが繰り返されることで、睡眠時間の減少とともに不眠あるいは強い眠気が生じる睡眠障害です。
出典:Christopher L. Drake et al. Shift Work, Shift-Work Disorder, and Jet Lag. In: Kryger MH, Roth T, Dement WC, editors. Principles and Practice of Sleep Medicine. 6th. Philadelphia, PA: Elsevier; 2016.
どんな症状が問題になりますか
夜勤の仕事が終わってからは、不眠の症状として、寝つきが悪い、眠っても途中で目が覚めることが多くなります。さらに、活動している時間帯には、眠気、集中力の低下が問題になります。
夜勤者の中には、数秒間の居眠りが生じることがあり、マイクロスリープと呼ばれています。自分では意識せずに、瞬間的に居眠りをしているような症状です。
出典:Shift Work Disorder Symptoms – Sleep Foundation
よくある相談として、仕事から戻っても眠れない、仕事中に眠い症状で困っているという訴えが多い印象です。睡眠不足になることが多いので、こころと体にストレスがかかります。
シフトワークに従事する労働者の10~40%が、症状で悩んでいます。
出典:Shift Work Sleep Disorder – Cleaveland Clinic
どんな職業の人が睡眠障害で困ることがありますか
交代勤務を要する職業に従事している人、夜勤の多い仕事をしている人、私たちのインフラを支える公共関係の仕事をしている人、エッセンシャルワーカーに多い傾向です。
- 警察官
- 消防士
- 自衛官
- 医療・福祉の職員(看護師、介護士など)
- 警備員、ビルメンテナンスの職員
- 旅客業の人(タクシー、バス、鉄道、飛行機)
- 運送業の人(長距離トラック、貨物)
- 工場関係(製造業)の職員、期間工
- 宿泊関係(ホテル、旅館の職員)
- 24時間営業の店(コンビニ、レストランの職員)
医療の現場で働く女性の看護師は、交代勤務によるストレス、睡眠障害が問題になっていることが多いことが報告されています。その他、女性の管理職も睡眠障害のリスクが高くなります。
健康にどのような影響がありますか
夜勤の仕事があると、体内リズムの変調が生じます。体内時計に影響するため、正常なメラトニンの分泌が行われません。その結果、浅い眠り、慢性疲労を生じます。
眠気、集中力低下による職場での外傷のほか、がん、胃腸、心臓と血管の病気、糖尿病などが発症しやすくなります。精神ストレスもかかるので、不安障害、うつ病、不眠症が起きやすくなります。
女性では、妊娠の合併症、具体的には、早産、低体重児、妊娠高血圧症候群などのリスクが高くなることが知られています。
出典:Shift work and health: Institute for Work & Health
交代勤務があると、睡眠不足による体重増加、そして、睡眠時無呼吸が合併しやすい関係が報告されています。
出典:Sleep Health and the Workplace – Parliament of Australia
一般的に、規則正しい睡眠リズム、睡眠時間が保たれていないと、体調不良の原因になります。長期的には、さまざまな病気にかかりやすくなります。
どうやって診断しますか
仕事のシフトの確認、そして、睡眠日誌(少なくとも14日以上)を使った睡眠リズムの評価を行います。そして、3ヶ月以上に渡って、困っている症状が、交代勤務によるものと判断したときに、医師が診断します。
出典:American Academy of Sleep Medicine. The International Classification of Sleep Disorders. 3rd ed. Darien, IL: American Academy of Sleep Medicine; 2014.
他の睡眠障害の合併が疑われるときは、終夜睡眠ポリグラフ検査を行います。
出典:Shift Work Sleep Disorder – HealthLinkBC
どんな対処法がありますか
夜勤前には、30分から60分程度の仮眠をとること、そして、適宜、カフェイン摂取をすると、夜勤帯の仕事の集中力を保つのに役立ちます。夜勤が終了した後は、強い光をさけてください。
一般的には、ローテーションの場合は、日勤、準夜勤、深夜勤の順番でシフトを組んだほうが、体への負担が少なくなります。
夜勤中は、休息する時間をとると、仕事のミスが少なくなります。自宅では、良い睡眠環境を作ること、具体的には、静かな、暗い寝室にすることを心掛けましょう。
出典:7 Ways to Cope with Shift Work – HealthXChange
どんな治療法がありますか
眠れないときに、睡眠薬を短期間に限り使用することがあります。そして、交代勤務の環境下の睡眠覚醒リズムに順応させるために、メラトニン、光療法を検討することもあります。
出典:Shift Work – Sleep Education
眠気に対処するためにどうすれば良いですか
日本では、過眠症の対策に使われている眠気覚ましの薬を処方することができません。そのため、眠気の対策として、カフェイン摂取を注意しながら活用する方法があります。
夜勤のシフトの場合は、仕事が始まるときに、カフェインを含んだ飲み物をとると、眠気を緩和することができます。しかし、夜勤が終わる頃は、帰宅後に眠りに入りづらくなるので、カフェイン摂取を避けてください。
眠れない時にどんな睡眠薬を使いますか
短時間の使用に留めることを注意しながら、超短時間型の睡眠薬、具体的には、ゾルピデムあるはエスゾピクロンなどを処方することがあります。これらは、寝つきを助ける薬です。
出典:Shift Work Sleep Disorder – MyHealth.Alberta.ca