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早朝覚醒・不眠が起きる要因と対策
不眠症の症状:朝早く目が覚める
自分が起きたい時刻よりも早い時間帯に目が覚めてしまう症状を、早朝覚醒と呼んでいます。朝の早い時間に目が覚めてしまい。再び入眠することができない特徴をもつ不眠の一種です。
加齢による睡眠の変化、何らかの病気によって発症します。その結果、睡眠不足になり、日中の眠気、疲労感が生じる場合があります。
早朝覚醒が起きる時間の目安は、何時ごろに目が覚めるときですか?
時刻による定義はなく、一般的には、希望の起床時刻よりも2時間以上のときを示すことが多いです。一方、米国睡眠学会による不眠症の解説では、少なくとも30分以上早く目が覚めるときが基準となっています。
それでは、早朝覚醒が起きる原因について、解説します。
加齢による睡眠の変化
老年期になると、眠りが浅くなります。途中で目が覚める回数が増えて、朝早く目覚めることが多くなります。
睡眠時間が短くなることに加えて、睡眠と覚醒のリズムが前進する傾向になります。高齢になるにつれて、夕方を過ぎてから眠くなり、朝早く目が覚めるようになったという人もいます。
うつ病の症状
典型的なうつ病では、早朝覚醒が生じます。外がまだ暗いうちに目が覚めてしまい、再び寝つくことができません。同時に、体が重く倦怠感が生じることが多いです。
入眠困難、中途覚醒、熟眠障害などの不眠の症状も併発することがあります。
出典:内山 真 他,精神疾患にみられる不眠と過眠への対応;精神神経学雑誌,122,899-905 ,2010.
うつ病の人では、悪夢で目が覚めて眠れないことを訴える場合があります。
うつ病以外に、どのような心の病気が、不眠の症状を引き起こしますか?
双極性障害、適応障害、統合失調症、不安障害などがあります。一般的に、こころの病気があると、睡眠障害を併発している頻度が高いです。
アルコール摂取の影響
飲酒をするとアルコールによる入眠作用によって、寝つきは早くなります。しかし、消化管から吸収されたアルコールは肝臓で代謝されます。その結果、飲酒後3~4時間後に眠りが浅くなり、覚醒してしまう現象が起きます。
アルコールが引き起こす利尿作用は、覚醒回数の増加に影響します。
一般的に、アルコールは、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒など、多彩な不眠の症状を引き起こします。
出典:Stein et al. Disturbed sleep and its relationship to alcohol use. Subst Abus. 2005;26:1-13.
ストレス
人間関係、生活環境の変化など、さまざまなストレスがあります。私たちの体は、ストレスを受けると、自律神経の中で交感神経の活動が高くなります。その結果、血圧、脈拍が上昇します。眠っているときに脳が興奮してしまいます。そのため、睡眠の質が低下して、早朝に目覚めることが多くなります。
仕事の日だけ、朝早く目が覚めることはありませんか。自分が取り組まなければならない課題があり、不安があると不眠が起きやすくなります。
中学生、高校生では、友人との関係、受験の不安、進学の悩みなどが影響することがあります。
更年期障害
40歳以降になると生理不順になり、更年期の症状が出現する女性が増えてきます。一般的には、50歳の前後では閉経を迎えることが多いです。
更年期になると、女性ホルモンのバランスが崩れること、自律神経の乱れが生じることによって、不眠が出現します。眠りが浅くなり、何度も目が覚める悩みが出現します。
早朝覚醒は、ホットフラッシュ、抑うつ、不安、関節痛、ストレスと関連していることが報告されています。
睡眠時無呼吸
寝ているときに大きないびきをかいている、あるいは、呼吸が止まる症状はありませんか。気道の完全または部分的な閉塞によって、酸素不足が生じて、頻回の覚醒を引き起こす病気が、睡眠時無呼吸症候群です。
私たちの眠りには、ノンレム睡眠とレム睡眠の2種類から構成されていますが、夢を見る特徴を有するレム睡眠は、睡眠の後半、特に朝方に発現することが多いことが分かっています。
レム睡眠は筋弛緩を発生させる作用があり、睡眠の後半の時間帯に多く発現します。早朝に現れるレム睡眠のときに、無呼吸発作が起きて息苦しいと感じ、覚醒が生じると考えられます。
生活環境の問題
周囲の環境(寝室の温度や湿度・騒音や光など)は、夜明け前に、あなたの眠りを妨げて覚醒させることがあります。季節によって部屋の温度が変わるので、適温に調節することが大切です。
同居の家族の起床時間が早いことで生じる生活音、近所からの生活騒音によって、眠りが妨げされることもあります。防音の対策も大切です。
夏季は日の出が早く、朝日による光刺激で目覚めが早くなることがあります。アイマスク、遮光カーテンによる対処法を考えましょう。
対策について
老化による睡眠と覚醒の変化に伴って、朝早く目が覚めている場合、眠気を感じずに日中の活動に支障がなければ、心配はいりません。ただし、ベッドに入る時刻が早すぎると、起床時刻が早くなるので注意しましょう。
「自分の睡眠リズム」がどうなっているか把握するために、睡眠日誌を記録してみましょう。早朝覚醒の傾向を知ることができます。
質の良い眠りにするために、生活習慣の見直しをすることも大切です。詳しくは、下記のページをご覧ください。
早朝覚醒に対して使われる薬として。中間作用型の睡眠薬があります。寝起きのふらつき、残存する眠気に注意しながら、用量を調節します。
眠気、集中力の低下、精神症状が出現しているときは、医師の診察を受けてください。
仕事、家庭、プライベートなどでストレスを受けており、抑うつ気分、気力がない症状が出現しているとは、うつ病による早朝覚醒の可能性もあります。そのときは、精神科の診察を勧めます。