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睡眠サプリの効果と注意点
眠れないときにサプリを考えている方へ
何らかの原因で不眠が続くと、日中の活動に支障が出て困ります。ぐっすり眠りたいと思うけど、「病院で睡眠薬をもらうのは控えたい」と感じる方が少なくありません。
不眠で困っている方では、薬局で購入できる市販の睡眠薬を試す方もいます。一方、手軽に自分の睡眠を良くしたいと思うときに、サプリを飲むことを考える人もいると思います。
市販のサプリについて、詳しく知りたい方のために、睡眠専門医が基本的なことをお伝えします。
睡眠サプリと睡眠薬の違い
睡眠サプリは、睡眠に関する自覚症状を改善したいと思っている人が補助的に用いる健康食品です。サプリは薬局、通販で入手することができます。一方、睡眠薬は、不眠症の症状を治療する目的のために、医師が診察を行って処方される医薬品です。
メラトニン
メラトニンは、松果体で産生されるホルモンで、体内時計のリズム調整を行っています。夜になるとメラトニンの分泌が多くなり、朝になると少なくなります。
寝つきを助ける作用があるため、米国、ヨーロッパではサプリとして販売されています。国内では輸入が必要になります。
処方薬としては、メラトベルという薬品名でありますが、小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善のみに保険適応があります。
成人には、不眠症の治療に使う目的として、メラトニン受容体作動薬のロゼレムがあります。
バレリアン
セイヨウカノコソウと呼ばれる植物由来のサプリです。バレリアンの根からとれる抽出物を服用することで、心を穏やかにしたり、眠りをもたらす効果があります。
国内では、薬局でサプリとして販売されています。
よくあるサプリの成分とは
睡眠サプリはさまざまな種類があります。複数の有効成分が配合されていることがあるため、よくある成分について、解説いたします。
1.GABA
脳の神経活動を抑えることで、リラックス、精神安定の効果がありますが、GABAのサプリを飲むことでGABAが消化管から脳へ移行するメカニズムが不確かであることが指摘されています。
出典:GABA:スイミンネット
2.グリシン
末梢の血流を増やして熱の放散を助けることで、入眠に関係している深部体温を下げる作用があります。その結果、睡眠の質を向上させることが報告されています。
出典:アミノ酸グリシンが睡眠の質を高めます:AJINOMOTO
3.テアニン
脳内にある覚醒系の神経伝達物質を抑えて中途覚醒を減少させること、そして、交感神経の活動を抑えることで、睡眠を安定させる作用があります。
出典:お茶の成分でリラックス?~睡眠・抗ストレスとL-テアニン:太陽化学株式会社
上記の三つの成分が使用されているサプリについては、不眠症への治療効果について強いエビデンスが発表されていないので、今後の研究報告を待つ必要があります。
注意すべきこと
サプリを飲んで気になる症状が出現したり、体調がすぐれないときは中止して、医師の診察を受けてください。持病があって病院で処方されている薬があるとは、主治医の許可を得てからにしましょう。
決められた用法以上の量を服用することで、内臓に負担がかかることもありますので、ご注意ください。
どんなとき医師に相談すべきか
睡眠サプリを試そうとするときは、不眠、睡眠の質の向上を目的としている方が多い印象です。眠れないという理由が、一時的な緊張感、不安の場合は、睡眠サプリを試すことも一つの方法です。
うつ症状があるときは、医師による診察を受けることを勧めます。
お試しでサプリを服用してみても、眠れない、熟睡感が得られないなど、不眠の症状が続くときは、睡眠外来にご相談ください。依存性の少ない睡眠薬あるいは漢方薬を試したいという要望にも応えています。