- ホーム
- 睡眠時無呼吸症候群で多血症になる原因は?
睡眠時無呼吸症候群で多血症になる原因は?
結論から言うと、睡眠時無呼吸症候群は多血症の原因になる可能性があります。
睡眠中に無呼吸や低呼吸がくり返されると、体は慢性的な酸素不足を補おうとして赤血球を増やす方向に働くからです。 つまり、睡眠時無呼吸症候群は「血が濃くなる」きっかけになることがあります。
ただし、ここで大切なのは、「睡眠時無呼吸症候群があれば必ず多血症になるわけではない」という点です。実際には、睡眠時無呼吸症候群の患者さん全体でみると多血症の頻度は高くありません。

一方で、重症例や夜間の酸素低下が強い方では、ヘモグロビンやヘマトクリットが上がりやすいことが報告されています。だからこそ、健康診断で「赤血球が多い」「ヘモグロビンが高い」と言われた方は、単なる体質と決めつけないことが大切です。なぜなら、いびき、日中の眠気、夜間頻尿、起床時の頭痛などがあれば睡眠時無呼吸症候群が背景に潜んでいる可能性があるからです。
なぜ睡眠時無呼吸症候群で多血症が起こるのか?
毎晩、寝ているときに低酸素血症が続くと、体が赤血球を増やして酸素の運搬を補おうとするからです。
睡眠時無呼吸症候群では、眠っている間に上気道が狭くなり、呼吸が何度も止まります。そのたびに血液中の酸素レベルが下がり、体は「酸素が足りない」と判断します。
すると、腎臓からエリスロポエチンと呼ばれるホルモン放出が増えて、赤血球の産生を促す方向に働きます。その結果として、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットの数値が上がることがあります。どれだけ体内の酸素が下がっているかが大きく関係することです。

阪野クリニックでも、血液データの異常(多血症の疑い)をきっかけに睡眠検査へ進む方がいます。
費用や保険適用はどう考えればよいのか?
多血症の原因として睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるときに行われる精密検査は、3割負担で約15,000~20,000円です。
病院、有床診療所によって料金が変わるので、受診するときに検査費用の説明を受けましょう。いびき、無呼吸、眠気など、睡眠障害の症状がある原因を調べるときは健康保険の適用になります。
多血症の放置リスクと治療のデメリットは?
正直に申し上げると、多血症を放置すれば脳梗塞で命を落とすリスクが増します。その一方、睡眠時無呼吸症候群のCPAP治療の身体的なリスクは殆どありません。
多血症の最大のデメリットは「血液の粘稠度」が増すことです。赤血球が増えすぎた血液は、いわば「ドロドロの油」のような状態で、細い血管が詰まりやすくなります。

特に睡眠中は脱水も重なりやすいため、明け方の脳梗塞のリスクが、睡眠時無呼吸症候群の患者では高くなります。
その一方、患者様が心配される睡眠時無呼吸症候群へのCPAP治療あるいはマウスピース治療の副作用について、大きな問題はありません。
血液内科と睡眠外来、どちらを受診すべき?
もし、あなたが「いびき」や「日中の眠気」を自覚しているなら、血液内科よりも睡眠外来に相談してみましょう。
多血症には、血液を作る細胞そのものの異常(真性多血症)と、酸素不足などの外の要因によるもの(二次性多血症)の2種類があります。
健康診断で赤血球数やヘモグロビン値の異常を指摘された際、多くの方は血液内科をイメージしますが、多血症の多くは肥満や睡眠時無呼吸症候群、喫煙による「二次性」です。
まずは、内科に併設されている睡眠外来で睡眠時無呼吸症候群の可能性について、スクリーニング検査を検討しましょう。
睡眠時無呼吸症候群の治療によって多血症は治るのか?
結論から言うと、睡眠時無呼吸症候群が原因の多血症であれば、CPAP治療によってヘモグロビンやヘマトクリットが改善することがあります。
夜間の無呼吸発作による低酸素血症が改善されて、赤血球数、ヘマトクリット値(血液の濃さ)が基準値範囲内に収まるケースを経験したことがあります。これは「治る」というよりも「酸素不足による体内の反応が止まる」と言えるかもしれません。
この治療をいつ止められるかという点ですが、これは「根本的な無呼吸の原因」を解消できたときです。具体的には、減量に成功して気道が広くなった場合や、扁桃肥大などの物理的な問題を外科手術で解消した場合などです。
ただし、注意点があります。いびきや無呼吸があると、「血が濃いのは睡眠時無呼吸のせいだろう」と思いがちです。しかし、実際には別の血液の病気が隠れていることもあります。そのため、CPAP治療によって睡眠と呼吸、低酸素血症が改善しても、血液の数値が下がらないときは、「他の原因はないか」を調べることが大切です。
改善のための具体的な流れとステップは?
多血症を指摘された方は、血液だけを見るのではなく「眠っているときの呼吸状態」まで含めて評価することが大切です。
睡眠時無呼吸症候群と多血症の関係は、決して珍しい話ではありません。ただし、誰にでも同じように起こるわけではなく、夜間の低酸素血症の程度、体質、併存する病気によって変わります。
具体的な診療の流れは以下の通りです。
まず初診では、問診と自宅で行える簡易検査キットの貸し出しを行います。簡易検査で睡眠時無呼吸症候群の疑いが強い場合、次のステップとして「1泊2日の精密検査(PSG検査)」を実施します。
当院では仕事帰りに来院し、翌朝そのまま出勤できるスケジュール調整が可能です。検査結果に基づき、睡眠専門医が治療方法を考えます。そして、多血症の改善状況を血液検査によってフォローします。必要に応じて、大学病院の血液内科への紹介状を書きます。


