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睡眠時性的行動症の症状とは
セクソムニアのよくある質問
セクソムニアとは何ですか
睡眠中に無意識の状態で性の関連行動が生じる睡眠障害です。主に、ノンレム睡眠のときに、症状が発現し、対人関係、臨床上、そして、刑事的な問題になる病気です。
出典:American Academy of Sleep Medicine. The International Classification of Sleep Disorders.Third Edition, Text Revision. Darien, IL: American Academy of Sleep Medicine; 2023.
どんな原因が考えられていますか
詳しい原因は分かっていませんが、睡眠不足、睡眠時無呼吸の合併があること、薬剤、アルコールなどの影響が考えられています。
睡眠中の異常行動を生じる病気は、パラソムニアと呼ばれています。遺伝的な要素も指摘されています。
出典:What is sexsomnia? – International Society for Sexual Medicine
ところで、2021年4月に発表された医学論文では、軍隊でのセクソムニアの発病が報告されています。職業柄、睡眠不足と交代勤務、そして、緊張感を要する環境で過ごしていることが、セクソムニアを含むパラソムニアの発症に関係していると推察されています。
どんな症状がありますか
セクソムニアの人は、健康の人と比べると、深い睡眠、特に睡眠段階N3のときに脳の覚醒が多いことが知られています。一般的に、ノンレム睡眠のときに、エピソードが起きることが多いです。
男性に多くみられる病気ですが、女性においても、セクソムニアは発症します。
エピソードが起きているときは、本人は眠っているのに、まるで起きているかのように見えることがあります。その一方で、目を見開き、虚ろな表情を浮かべることもあるようです。
出典:Is Sexsomnia Real — and Could You Have It and Not Know It? – Cleveland Clinic
他の睡眠障害に合併することはありますか
夢遊病、睡眠時無呼吸、睡眠関連摂食障害、歯ぎしりに、セクソムニアの症状が併存することがあります。
そのため、詳細な病歴を聴取すること、そして、ビデオ記録のある終夜睡眠ポリグラフ検査で、他の睡眠の病気が合併していないか、調べることが大切です。
法的な問題はどうなっていますか
セクソムニアによる傷害事件に対して、刑事訴追があったときに、法廷で、病気のために無罪となるか、あるいは、法的な責任があるかについては、議論されているところです。
睡眠関連性行動障害という病気の理解が浸透していくと、法医学的な見解が出てくると考えられています。
何科に受診すれば良いですか
精神科、心療内科、そして、睡眠障害の専門施設のある病院への診察を勧めます。
どうやって治療していますか
睡眠衛生の指導、そして、薬としては、抗れんかん薬であるクロナゼパムの投与を試みます。
合併している睡眠障害があるかを調べ、睡眠時無呼吸がある場合、その治療(CPAP療法、マウスピース装着)を検討します。
出典:Alon Y. Avidan Non–Rapid Eye Movement Parasomnias, Clinical Spectrum, Diagnostic Features, and Management. In: Kryger MH, Roth T, Dement WC, editors. Principles and Practice of Sleep Medicine. 6th. Philadelphia, PA: Elsevier; 2016.
その他、抗うつ薬であるパロキセチンの投与でセクソムニアの症状が改善したケースが報告されています。
出典:Kumar et al. Resolution of sexsomnia with paroxetine. J Clin Sleep Med. 2020;16:1213-1214.