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脚がむずむずして眠れない悩みの治し方
はじめに
「寝るときになると脚が落ち着かなくて、じっとしていられない」「夜になると脚の違和感が強くなって眠れない」。そのような自分では説明しづらい下肢の不快な感覚に悩まされていませんか?
これらの症状は、単なる疲れや気のせいではありません。「むずむず脚症候群」という、睡眠の病気である可能性があります。不眠によって日中の眠気や集中力の低下、イライラ感の増加など、脚の症状は、確実にあなたの生活の質を低下させています。
精神的なものであると言われた人もあるかもしれませんが、諦める必要はありません。このページでは、症状の原因から、診断の方法、治療法まで、むずむず脚症候群の基礎知識を学んでいきましょう。
むずむず脚症候群はどんな病気か?

むずむず脚症候群には、安静にして静かに横になったり座ったりしている状態で下肢に不快な感覚が出現し、夕方から夜間に症状がひどくなる特徴があります。
脚の不快な感覚を解消しようと、動かすと症状が軽くなります。寝つきが悪い症状がある場合に、原因として鑑別すべき病気の一つです。
医学的な別名として、レストレスレッグス症候群、下肢静止不能症候群があります。そして、病気の発見者の名前にちなんで、ウィリス・エクボム病と呼ばれることもあります。
原因について
むずむず脚症候群の主な原因として、脳内のドパミン機能低下が指摘されています。運動機能の調整に関わっているドパミン系の不調によって、下肢の違和感が生じると考えられています。
そして、このドパミンの働きは、中枢神経系の鉄分不足によって低下することが分かっています。そのため、むずむず脚症候群は、貧血や妊娠中(特に後期に多い)に発症しやすい傾向があります。女性では鉄欠乏性貧血を引き起こす月経過多が、病気が発症する背景に潜んでいる場合もあります。
その他、透析中(慢性腎不全)の人、糖尿病、マグネシウム欠乏がある人も、むずむず脚の症状が起きやすい傾向があります。患者の25%くらいに家族性であることが指摘されており、遺伝的要因の関与もあります。
症状について
むずむず脚の症状として、虫が這うような感覚、むずむず感、ほてり感など、様々な表現があります。
「脚をじっとしていられない」と訴える方もいます。脚の不快感のため、不眠(入眠困難、中途覚醒)が生じます。そのため、安定した睡眠をとることができません。
眠っているときに、脚の違和感をなくそうとして、無意識に寝返りを打つことが多くなります。寝相が悪い原因の一つになります。
ところで、むずむず脚症候群がある人は、受診前にうつ病の診断歴を有する場合があります。夜間の不快な症状で眠れないため、日中の強い眠気や疲労感、集中力の低下、意欲の減退といった症状が現れるためです。これらはうつ病の症状とよく似ています。
また、十分な睡眠が取れないことで生活リズムが乱れ、日常生活に支障が出ることで、実際にうつ状態を引き起こすこともあります。注意が必要なのは、抗うつ薬が、むずむず脚症候群の症状を悪化させる可能性があるということです。特に夜間の症状が強くなったり、日中にも症状が出現したりすることがあります。
その一方、うつ病の治療を受けている方で、夜間に脚の不快な症状がある場合は、むずむず脚症候群が睡眠の悪化に関わっている場合もあります。
診断について
自覚症状の評価、問診により、むずむず脚症候群の診断基準に合致するかを調べます。
- 不快な感覚があり、脚を動かさずにはいられない
- 安静時に症状が悪化する
- 脚を動かしたり、ストレッチをしたりすると症状が軽減
- 夕方から夜にかけて症状が悪化
出典:Diagnosis; Restless legs syndrome – NHS
一般的には終夜睡眠ポリグラフ検査の必要はありません。
周期性四肢運動障害の合併の評価を行う場合、レストレスレッグ症候群の症状について見極めが困難な場合に、終夜睡眠ポリグラフ検査を行います。
ただし、2次性RLSの要因(鉄代謝・貧血の状態など)を調べるため、病院では血液検査を施行します。体内に蓄えられている鉄分の量をみるために、血清フェリチンという項目を測定します。
あなたの脚の症状がむずむず脚症候群の診断基準に合致して、血清フェリチンの低下があると、鉄不足が原因である可能性と判断します。
子ども、思春期の学生では、鉄不足がむずむず脚症候群の症状を引き起こしていることが多いです。そのため、小児において採血で鉄代謝を調べることは治療方針の決定に重要です。
治療について

むずむず脚症候群の治療管理として、貧血、鉄欠乏(血清フェリチンの低下)、甲状腺機能異常があれば、その治療を行います。
ニ次性の要因がない場合はドーパミン製剤による治療を開始します。