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ラメルテオンのメリットとデメリット
ロゼレムとは
ロゼレムはメラトニン受容体作動薬と呼ばれる睡眠薬です。脳内にあるメラトニン(睡眠リズムを調節している松果体ホルモン)の受容体に作用することで、睡眠を促します。
入眠困難、睡眠リズムの問題を抱えている人に対して用いられる治療薬です。
加齢とともにメラトニン分泌は減少していくので、ロゼレムは高齢者の睡眠障害に用いる治療薬の選択肢になります。
どんな剤形がありますか?
8mg錠です。
ロゼレムのジェネリック医薬品はありますか?
数社から後発品が販売されています。薬の名前は、一般名のラメルテオン錠8mgに製薬会社の名称が追加された形式です。
薬価はいくらですか?
ロゼレム錠8mgは、85.7円です。一方、後発品のラメルテオン錠8mg「武田テバ」は27.9円です。
効果について
ロゼレムは、視床下部にあるメラトニン受容体(MT1/MT2受容体)に作用します。有効成分のラメルテオンはメラトニンと同じような働きをもっているので、睡眠を促すという作用機序です。
入眠するまでの時間が短くなり、総睡眠時間が長くなるという効果があります。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬でみられるような記憶障害、運動障害、依存性が認められません。さらに、反復投与を行っても、耐性や反跳性不眠は出現しません。
出典:平井 圭介 他; メラトニン受容体作動薬ラメルテオン(ロゼレム錠8mg)の薬理作用と臨床試験成績, 日本薬理学雑誌;136(1):51-60, 2010
ロゼレムを服用すると、有効成分であるラメルテオンが体内に吸収されていきます。内服後、0.75時間経過すると、最高血中濃度に到達します。一方、半減期は0.94時間です。
実は、ラメルテオンの代謝産物のM-Ⅱにもメラトニンの作用があることが分かっています。M-Ⅱの半減期は、1.94時間です。
要約すると、ロゼレムを飲んでから、約1時間で効果が最も高くなり、2時間経過すると徐々に効果が弱まっていきます。
ラメルテオンは、主として肝臓にあるCYP1A2と呼ばれる酵素で代謝されます。
ロゼレムには、どのような効能と効果がありますか?
不眠症における入眠困難の改善です。
寝つきが悪い問題を抱えている人に対する治療薬として処方されています。入眠時刻が遅れている場合に考慮します。
ロゼレムは寝つきが悪い症状に対して処方されることが多いですが、メラトニンと同じ作用を持っていることから、体内時計を調整することができます。
睡眠相後退症候群の治療にも応用できる可能性があります。昼夜逆転の生活を補正するときに、メラトニンアゴニストは使えるかもしれません。
ただし、有効成分であるラメルテオンはメラトニンよりも効果が強いので、ロゼレムをごく少量用いること、そして、睡眠相を効率よく前進させるために夕刻に服用するという工夫が報告されています。
小児の発達障害(自閉スペクトラム症、注意欠陥多動症など)に合併した睡眠リズム障害に対して、ラメルテオンが睡眠障害の改善に役立ったという研究報告もあります。ただし、用量および服用時刻の設定が課題となっています。
出典:杉浦 由希子 他; 小児精神神経疾患に関連する睡眠障害に対するramelteonの効果,脳と発達;53(6):452-455, 2021
入眠困難、睡眠リズムの乱れを呈する、発達障害の不眠に対して、ロゼレムは対処法として活用できるかもしれません。
メリットについて
依存性の問題がないことから、長期に服用することができます。睡眠薬の習慣性が怖いと思っている人は、試してもよいかもしれません。
デメリットについて
ロゼレムは即効性がなく、直接的に睡眠を導入する働きは強くありません。数週間かけて眠りの状態を調整していく睡眠薬であることです。
副作用について
めまい、頭痛、眠気、倦怠感などがあります。翌朝に眠いと感じる人もいます。乳汁分泌の作用があるホルモンであるプロラクチンが上昇する場合があります。
薬の服用方法について
成人は1回につき、ロゼレム錠8mg(主成分:ラメルテオン)を就寝前に服用します。
禁忌について
抗うつ薬のフルボキサミンマレイン酸塩(商品名:デプロメール、ルボックス)を服用している人は、ロゼレムを服用することができません。
有効成分であるラメルテオンは肝臓で代謝されるので、重度の肝機能障害があるときは、禁忌になっています。
注意事項について
個人差はありますが、睡眠薬を飲んだ翌朝に薬の作用が残って、朝起きれない問題、眠気、集中力の低下が起きることがあります。そのときは、担当医に相談して、薬を飲むタイミング、用量について相談してください。場合によっては、他の睡眠導入剤に変更する必要があります。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬による不眠の治療を受けていた人、うつ病、統合失調症などの「こころの病気」が持病にある人に対する有効性と安全性は確立されていません。
オレキシン受容体拮抗薬(デエビゴあるいはベルソムラ)とロゼレムを併用することはありますか?
ロゼレムと他の睡眠薬との併用については、安全性が確立されていません。治療上のメリットと危険性を考慮して、併用療法を慎重に検討する必要があります。実際には、ロゼレム単独で効果が不十分であるときに、医師の裁量によってベルソムラまたはデエビゴと併用されることがあります。