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寝ている間にトイレで何度も目が覚める
夜間頻尿の特徴について
夜間頻尿とは、夜中に排尿のため1回以上起きてしまう状況です。臨床的には、2回以上の中途覚醒がある場合を問題としています。
どんな原因で起きるのか?
要因 | 特徴 |
---|---|
多尿、夜間多尿 | 水分の取り過ぎ、尿量を増加させる作用がある利尿剤の服用、糖尿病などによって、尿量が増えます。あるいは、心臓病(高血圧、心不全)、腎臓病、加齢などの要因があると、夜間のみ尿量が多くなります。 |
膀胱容量の減少 | 少量の尿しか膀胱に蓄積することができないので。膀胱が過敏になります。昼夜を問わず、頻尿になります。男性では前立腺肥大が多いです。その他、過活動膀胱、膀胱瘤、直腸瘤、子宮脱などの骨盤臓器脱があります。 |
睡眠障害 | 中高年になると、眠りの質が低下して、浅い睡眠が多くなります。そのため、眠りに入っても途中で目が覚めます。中途覚醒が起きるたびに、排尿のことが気になって、トイレに行ってしまうものです。 |
夜間頻尿の危険性とは
1.体への影響
深夜に何度も尿意によって目が覚めてトイレに行きますが、転倒、骨折のリスクが高くなします。寝たきりの生活になったり、生命予後が悪化します。
2.睡眠への影響
毎晩、途中で目が覚める回数が増えると、寝不足になります。昼間の眠気を引き起こし、日常生活に支障をきたします。
出典:頻尿.jp
診断の方法
夜間頻尿を診断するために、病歴と症状の聞き取り、腹部超音波検査による膀胱と前立腺の評価、尿検査などが行われます。さらに、排尿日誌によって1日当たりの排尿のリズムと尿量を記録します。排尿記録をみて、夜間多尿あるいは膀胱の畜尿障害の鑑別ができます。
合併しやすい睡眠障害の特徴
夜間頻尿で悩んでいる人において、眠っている間に尿意を感じて目が覚める、あるいは、途中で目が覚めたときに排尿したくなりトイレに行くという、相互の関係があります。
特に、加齢によって深い眠りが減少する傾向があるので、中途覚醒が起こりやすいです。そのため、中途覚醒と夜間の排尿回数に強い相関があります。高齢者では注意すべき病態です。
出典:山口健哉. 夜間頻尿と睡眠障害. 日大医誌 2020;79:361–367
慢性の不眠によって、日中の眠気、集中力の低下が出現します。その結果、生活の質が低下します。
ところで、夜間頻尿がある人において、睡眠時無呼吸症候群が見つかる場合があります。なぜ、いびき、無呼吸が発生すると夜間の排尿回数が増えるのかというと、次のような理由があります。
眠っているときに無呼吸発作が生じると、低酸素血症になります。心臓に負担がかかるので心房性利尿ペプチドと呼ばれる利尿を促進させるホルモンの分泌が増加します。そして、夜間の多尿が発症します。
睡眠時無呼吸症候群のある人において、どんな要因が夜間頻尿に関係していますか?
年齢とBMIが高くなると、夜間頻尿が発症する危険が高くなります。
夜間に何回もトイレに起きる人の中で、眠っているときに、大きないびき、呼吸が止まる症状があるときは、睡眠専門医による評価を受けることが大切です。
治療について
夜間頻尿が疑われるときは、泌尿器科の診察を受けることが重要です。一般的には、飲水の指導、薬物による対処法が行われます。高血圧、心臓病、糖尿病があるときは、内科での基礎疾患の治療管理を行います。
予防する方法
- 寝る前に飲水を制限する
- 就寝の3~4時間前の飲酒を止める
- 夕方以降のカフェイン摂取を避ける
- 塩分を控える