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体質的に睡眠時間が長い人について
ロングスリーパーはどんな人?
一般の人と比較して長めの睡眠をとれば、日中の眠気を生じることなく活動できる体質を持った人のことを意味します。どのくらい眠ると長時間睡眠と言えるかの線引きについては、大人の場合は10時間以上となっています。一方、子どもの場合は、同世代の平均的な睡眠時間より2時間以上長いことが基準です。
原因について
なぜ、普通の人よりも長く眠らなければならない体質になっているか、理由は明らかになっていません。睡眠時間にも個体差があると言えます。しかし、長く眠るという体質は、遺伝する傾向がある印象です。家系的な要因もあるかもしれません。
睡眠障害の中でどの分類に属しているか?
睡眠障害の国際分類ではロングスリーパーという名称で登録されており、中枢性過眠症のカテゴリーに属しています。その中で、孤発症状あるいは正常範囲の異型に属しています。
一般的な人より睡眠時間が長く眠る必要であるからと言って、必ずしも病気とは言えないという側面を持っています。体質なので、病気と言えるのかが議論になっています。
ロングスリーパーは、睡眠が不足していなければ、日中の眠気や疲労感が生じることなく、普通の人と同じように活動できるからです。
どんな症状があるか?
自分で生まれつきの問題であることが分かっている人は、早めに就寝して、何とか朝起きて仕事や学校に出かけるようです。しかし、夜遅くまで活動していると、必要な「長い睡眠時間」をとれていないことが多いです。
朝起きられないことも生じるので、遅刻、欠勤をすることもあります。学生では不登校につながります。
睡眠日誌を記録すると、平日の睡眠不足と休日の睡眠時間の延長のパターンがみられます。特に、連休になると、普段の寝不足を代償するために、1日当たり12~15時間程度眠ってしまうこともあるようです。
出典:Long Sleeper – Sleep Education
周りからは、寝すぎ、甘えの問題と指摘されることが多く、そのことが「つらい」、「生きづらい」と感じる人もいます。「過眠症ではないか?」と心配されることもあります。
ロングスリーパーは生活する上で、どんなことで困っていますか?
目覚まし時計を使って起床することが困難です。特性について、周囲の理解を得られない悩みがあります。
どんな心理的な影響がありますか?
ロングスリーパーとショートスリーパーの心理面を比較した研究論文において、ロングスリーパーには内向的な面があり、心配性の人が多い傾向がある一方で、創造性に富んでいることが報告されています。
ロングスリーパーと特発性過眠症の違い
特発性過眠症でも1日当たりの総睡眠時間が長い傾向がありますが、たくさん眠っても昼間の眠気が残ります。そして、居眠りの時間も長いです。
ロングスリーパーの場合、本人が必要としている時間を眠ることができれば、昼間の眠気を生じることなく、集中力を保って仕事ができます。
両者とも、寝すぎと言われることがありますが、長く眠ることが問題になっているときは、他の原因についても調べる必要があります。
デメリットについて
ロングスリーパーは、日中に支障なく過ごすために他人より長く眠る必要があります。そのため、一日当たりの活動時間帯が短くなるというデメリットがあります。
夕方から夜にかけて開催されるのイベントへの参加が困難になります。さらに、夕方以降の仕事、学校生活などに適応しにくくなります。家族や友人の予定と自分の都合を合わせられないので、本人は悩むことになるでしょう。
夜間帯に必要となる睡眠時間が長いので、前日の20時から21時くらいに就寝しないと、翌日、学校、会社に遅刻する懸念があります。さらに、家事、勉強、趣味など、自分が使える時間が少なくなります。
ロングスリーパーが他人の生活時間帯に合わせようとして短時間睡眠の生活を送ると、寝不足になることも悩みの種です。
簡易チェック
他の人よりも長めの睡眠が必要かもしれないと思ったら、チェックリストをお試しください。下記の項目に合致すれば、ロングスリーパーの可能性があります。
- 子どもの頃から睡眠時間が長い傾向である
- 睡眠時間が10時間以上である
- 長く眠れば昼間の眠気を感じることはない
- 薬剤による影響がない
- 他の睡眠障害がない
診断の方法
普段の睡眠のリズムと眠っている時間を睡眠日誌に記録します。そして、1週間以上において、10時間以上の睡眠をとっていることを確認し、昼間に眠気がなければ、ロングスリーパーと診断することができます。
終夜睡眠ポリグラフ検査は、他の睡眠障害の影響が考えられるときのみ施行します。
治療法について
現在のところ、有効な治療はなく、睡眠時間を短くするような薬は開発されていません。
そのため、自分自身が一般的な人よりも長い睡眠時間が必要である体質であることを、受け入れることが必要です。
医学的な解決法がない状況下では、職場、学校などの関わる社会が、ロングスリーパーについて理解を深めることも重要です。特に、教員、職場の上司が、ロングスリーパーに寄り添って考えてあげることが大切です。
家族の支援も大切です。身内にロングスリーパーがいるときは、十分に眠る時間を確保できるような環境を整えてあげましょう。