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不規則睡眠覚醒型の生活が及ぼす影響と対処法
不規則睡眠覚醒リズム障害とは
体内時計が適切に機能しないので日内変動が消失し、昼夜を問わず、睡眠と覚醒が不規則に生じる病気です。
原因について
アルツハイマー病などの神経変性疾患、小児の発達障害、こころの病気によって、体内時計によるサーカディアンリズムの調節が不安定になることが原因です。
持病として、内科、神経の病気を持っている高齢者は、健康な若い世代と比較すると日光を浴びる量が少なくなります。また、白内障があると脳への光刺激の伝達が低下します。これらの要因は、体内時計の同調機能を妨げるので、睡眠と覚醒のリズムに影響します。
最近では、24時間社会と言われるように、活動する時間帯が変化すると体内時計の乱れが生じます。スマホ、ゲーム依存などによる引きこもりと運動不足が問題になっています。光を浴びる時間帯が不規則になることから、メラトニン分泌に影響します。その結果、生活リズムが乱れる要因になっている可能性があります。
高齢者で、アルツハイマー病、パーキンソン病があると、脳の体内時計の働きの低下に加えて、療養施設への長期の入居があると生活リズムが乱れやすくなります。認知症に合併しやすい睡眠障害と言えます。
症状について
睡眠と覚醒のリズムに規則性がないので、昼夜を問わず途切れ途切れに眠ることが特徴となっています。夜間帯では入眠困難および中途覚醒が生じ、日中の時間帯では眠気、頻回の居眠りが出現します。ぐっすり眠れないために、抑うつ症状を呈することもあります。
診断の方法
普段の生活リズムの状況を調べるために、睡眠日誌の記録を行います。代わりの方法として、アクチグラフィによる評価を行うこともあります。
睡眠と覚醒のリズムが消失し、寝ている時間が24時間を通して変化していることを確認します。通常は、3ヶ月以上、不規則なリズムが続いていることが、診断の条件になります。
終夜睡眠ポリグラフ検査は、診断に必ずしも必要ではありません。他の睡眠障害の合併が疑われるときに、精密検査を予定します。神経変性疾患による影響が考えられるときは、頭部MRI検査による脳の評価が行われています。
出典:Irregular Sleep-Wake Rhythm – Sleep Education by AASM
治療法について
睡眠リズムの戻し方については、薬による治療、高照度光療法、および生活指導があります。
発達障害のある子どもに対しては、一定の時刻になると眠くなる生活リズムを促すために、メラトニンによる体内時計の調節を行います。一方、認知症を持っている高齢者には使われることはありません。
国内では、ラメルテオンと呼ばれるメラトニンの働きをもった治療薬があります。
体内時計を外界のリズムに同調させる目的のために、高照度光療法を行うこともあります。
日中に体を動かすこと、そして、日光を浴びること、眠気に対して適切なカフェイン摂取などを試みることがあります。
予防法
目覚ましアプリなどを活用して、起床と就寝時刻の規則性を保つように心掛けましょう。起床したときに、朝日を浴びることは、体内時計をリセットするのに有効です。また、朝食をとることで、末梢時計のリズムを保つこともできます。