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震災ストレスが引き起こす不眠への対応
地震で眠れない
震災が起きた地域に住んでいる人は、地震の揺れに不安を感じたり、環境の変化によるストレスを受けて、不眠が生じます。眠れない日々が続くと、睡眠不足になります。
被災地以外で過ごしている方々にとっても、地震のニュースを知って不安を感じるため、睡眠障害が現れます。
原因について
地震が発生すると、私たち身の危険を感じるので、自律神経の一種である交感神経が亢進します。同時に、副腎髄質ホルモンの分泌が増えます。身の危険を感じるときに起きる身体の反応によって、体が緊張した状態になります。
同時に脳が興奮するので、その状態で寝ようとしても、なかなか眠れません。強いストレスを受けると過覚醒になるため、眠りが妨げられます。
睡眠障害の特徴ついて
不眠が現れますが、寝つきが悪い、一旦眠りに入っても目が覚めてしまう、眠りが浅いなど、多彩な症状を呈します。基本的には、眠れないという訴えが多いです。睡眠不足になるため、日中の眠気、集中力の低下が現れます。
地震に伴う急性ストレスは、1~2ヶ月程度で自然に治まることが多いですが、被災した人の中には、不眠が続く場合があります。一方、慢性の不眠があると抑うつ症状が現れ、こころの病気を発症する危険があります。
出典:東北地方太平洋沖地震に関連した不眠・睡眠問題への対処について – 厚生労働省
身体に対するストレスもかかるので、動悸、血圧の上昇、肩こり、頭痛などを合併する場合もあります。自律神経の乱れ、余震に対する恐怖と不安が関係しています。人によっては、災害のシーンを想起するような嫌な夢を見る場合もあるようです。
どんな要因があると、睡眠障害が発症しやすいですか?
高齢、女性、2つ以上の慢性疾患がある場合、避難所生活において睡眠の問題が起きやすいと報告されています。
子どもでは、どのような睡眠の問題が起きますか?
震災後の子どもたちは、家族やペットの喪失や衝撃的な映像によるストレスで不眠に陥りやすいです。このため、寝るのを嫌がったり、一人で寝るのを怖がったり、メンタルが不安定になります。大人への迷惑を避け、相談しない場合もあるでしょう。避難所ストレスの影響を考え、子どもの様子がおかしいと感じたら、ストレスを解消する方法を探し不安を和らげましょう。
出典:能登半島地震で被災された皆様の睡眠を守るために – 日本睡眠学会
対処法について
1.急性ストレスの不眠
被災した地域に住んでいる人は、「眠れないことが当然である」という認識をもつことが大切です。不眠について、自然な反応と理解しましょう。
予震の不安、慣れない避難所での生活など、ストレスがかかります。まずは、時間にこだわらずに、少しでも体を休めるという心構えで過ごしましょう。疲労がたまり、眠気がきたと思ったら、昼間でも良いので、仮眠をとることを勧めます。
時間の経過によって、徐々に眠れるようになる日が増えてきます。
出典:夜、眠れない方のために – ストレス・災害時こころの情報支援センター
被災地以外の人で地震に対して不安で眠れないという状況は、普通の反応ですので、極度に心配する必要がありません。一般的な睡眠衛生を行うことで対処しましょう。
震災直後に不眠に対して、避難所・医療救護所において、どんな睡眠薬を用意するべきですか?
ブロチゾラム(商品名:レンドルミンD錠 0.25mg)です。その他の薬剤として、不安、緊張、抑うつの症状を緩和させる目的で、ジアゼパム(商品名:セルシン2mg錠)が用いられることもあります。
出典:災害時超急性期における必須医薬品リスト – 日本災害医学会
不眠に用いられることがある漢方薬はありますか?
抑肝散、加味帰脾湯、抑肝散陳皮半夏などがあります。
2.慢性の不眠症
8週間経過しても眠れず、日中の眠気、集中力の低下があれば、医師に相談して治療を受けることを勧めます。
こころの病気の発症および持病の生活習慣病の悪化があるかもしれないので、早目の対処が大切です。病状が重いときは、睡眠薬による治療を検討します。