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不眠の原因は自律神経の乱れかも?
自律神経失調症とは
自律神経失調症は、自律神経である交感神経と副交感神経の調節が正常に行われないことで現れる症状を意味します。
日常生活で受けたストレス、生活習慣の乱れが原因となって、精神と身体にさまざまな症状が生じます。自律神経失調症は、特定の病名ではなく、状態を意味する用語です。
自律神経には、どんな働きがありますか?
私たちの体にある臓器、器官の働きを自動的に行ってくれます。さまざまな環境において、身体の状態を一定に保つようにするために、無意識のうちに、生命維持に必要な脈拍、血圧、呼吸、体温などが調節されます。
原因について
要因 | 特徴 |
---|---|
ストレス | 職場、家庭、プライベートの人間関係の悩みによって、精神的に追い詰められると自律神経のバランスが崩れます。過重労働、仕事のプレッシャーも影響します。 |
運動不足 | 体を動かさない生活をしていると、体のエネルギー消費量が低下します。すると、交感神経が亢進しやすくなります。筋力の低下は、自律神経の働きを弱める原因になります。 |
食生活の乱れ | 暴飲暴食、不規則な食事の時間は、交感神経を刺激して、副交感神経を抑制します。アルコール、カフェインの取り過ぎは、自律神経の調節を乱す要因になります。 |
睡眠不足 | 寝不足があると、交感神経が高まった状況が続きます。コルチゾールと呼ばれるストレスホルモン分泌が多くなり、副交感神経が抑えられて、リラックスできなくなります。 |
環境の変化 | 季節の変り目、天候不順による温度と湿度、急激な気圧の変化、騒音や振動の問題などは、ストレスになり、自律神経の調節がうまくいなかくなる原因の一つと言えます。 |
ホルモンの変化 | 女性の場合、月経周期、妊娠、更年期の影響によって、女性ホルモンのバランスが崩れ、自律神経の調節にも悪影響が生じます。月経前症候群が要因になることもあります。 |
子どもの頃からストレスに弱い体質を持っているという先天的要因であったり、加齢によって体質が変わったり、人によって自律神経の調節する力に差があります。本人の性格、心理的影響の受けやすさも、自律神経失調症の発現に関わっています。
パーキンソン病のような神経変性疾患、多系統萎縮症、糖尿病、アルコール依存症などの病気の影響として、自律神経障害の症状が出現するこがあります。
出典:Dysautonomia – National Institute of Neurological Disorders and Stroke
症状について
領域 | 具体的な症状 |
---|---|
身体 | 吐き気、下痢、便秘、腹部膨満感などの消化器症状、動悸、胸部圧迫感、息切れ、喉がつまった感じ、筋肉のこり、生理不順、頻尿、残尿感、耳鳴り、勃起不全 |
精神 | イライラする、怒りっぽくなる、不安感、焦燥感、恐怖心、記憶力や集中力が落ちる、やる気が出ない、すぐに悲しくなって落ち込む、感情の起伏が激しい |
全身 | めまい、熱っぽい感じがある、疲れやすい、ふわふわして力が入らない、手足のしびれ、ほてり、食欲が低下している、肌荒れが多い、汗がよく出る |
睡眠 | 寝つきが悪い、途中で目が覚めることが多い、朝早い時間に目が覚める、朝起きられない、ぐっすり眠れた感じがしない、眠気を感じることが多い |
交感神経と副交感神経のバランスが崩れることによって引き起こされますが、自律神経の乱れの程度によって、重症度が異なります。
自分で思い当たる原因がはっきりしないけど、なんとなく普段より体調が悪く、身体面あるいは精神面において自覚症状が現れている印象です。
複数の症状が同時に出現する場合もあります。あなたが悩んでいる症状をチェックしてみましょう。
自律神経失調症を治療しないと、どんな影響が現れますか?
さまざまな不快な症状のために、生活の質が低下します。家事、仕事ができない状況に陥ります。自分の症状が起きる理由が分からず悩み、周りの人に理解されないので、精神面で不安定になります。
子どもの場合、自律神経の調節が乱れると、どのような影響を与えますか?
不快な身体症状が現れるので、苦痛と不安が生じます。そして、ストレスがかかるので、不登校の問題が生じることがあります。
出典: 自律神経とはどんな働きをするのですか?心や体にどんな関係があるのですか?- 東京都生涯学習情報
合併する睡眠障害の特徴
自律神経失調症になっている人は、睡眠トラブルを抱える場合が多いです。
何らかのストレスを受けると自律神経の乱れが生じたり、体内のホルモンのバランスが崩れたり、睡眠を調節する仕組みに影響を及ぼします。
その結果、寝つきが悪い、途中で目が覚めて再び眠れない、朝早く目が覚めてしまうなど、不眠の症状を引き起こします。
交感神経が亢進した状態が夜間に続くので、睡眠の質が低下し、起床時の爽快感が失われます。
安定した睡眠がとれない結果、日中の眠気、集中力の低下、抑うつ症状などが出現します。睡眠不足のため疲労を自覚するようになり、日中の活動に影響します。
ぐっすり眠れていない状況は、自律神経の調節のバランスを崩してしまう原因になってしまいます。
睡眠障害と自律神経失調症は、双方向に影響を及ぼす関係となっています。そのため、自律神経失調症があるときは、睡眠を安定させることが、病状の改善の役立ちます。
診断の方法
外来を受診すると、医師があなたの症状の経過、考えられる要因などを聞き取ります。
悩んでいる症状に対して、何らかの病気が関与していないか検査を行って、さまざまな疾患の可能性を除外していきます。この除外診断を行う過程において、いくつかの診療科が協力して行われることが多いです。
そして、病状を説明することができる明らかな病気が見つからないにも関わらず、自律神経の関連症状が続いているときに、身体表現性自律神経機能不全と診断します。
何科の診察を受ければ良いですか?
悩んでいる症状に該当する診療科で相談されることを勧めます。まずは、内科で悩みを相談して、何からの疾患が関わっていないか調べることから始めます。そして、精密検査を受けても異常が見つからず、自律神経の関与が疑わしいと判断されたときは、心療内科、精神科の医師の診察を受けましょう。
治療について
種類 | 特徴 |
---|---|
身体疾患の治療 | 発現している症状を引き起こしている病気に対して、治療を行います。内科的な疾患があるか精査を行い、症状が軽減するように対応します。 |
精神症状の治療 | 自律神経調整薬や抗不安薬などを用いて、こころの状態を安定化させるます。ストレスの原因となっているものがあれば、環境調整の助言も行います。 |
睡眠障害の対策 | 眠りを安定させるために、睡眠薬、漢方薬などを活用します。睡眠の質を低下させている病気あるいは症状などを調べて、同時に対処します。 |
カウンセリング | 緊張するときに優位となっている交感神経の関与が多いので、リラックスするためのテクニック、ストレスを軽減するための対処法を学びます。 |
自律神経失調症の症状があるときに、どんな薬が使われることがありますか?
ソラナックス、ワイパックス、リーゼ、セルシンなどの薬剤です。
自律神経失調症は、治ることがありますか?
要因となっている基礎疾患の治療によって症状が軽快することがあります。しかし、完治が困難である場合が多いです。通常、症状を軽減する治療法が選択されます。
出典:Autonomic Nervous System Disorders – MedlinePlus
予防について
職場、家庭などの人間関係に関する困りごとなど、ストレスを軽減すべきです。なぜなら、悩みなどがあると、交感神経が亢進しやすい状況になるからです。さらに、ストレスによって眠れなくなるので、ますます自律神経のバランスが崩れやすくなります。
元々の性格として、ストレスの感受性が高い人は、適度な運動や瞑想、ヨガなどのリラックス法を取り入れることを勧めます。趣味のこと、旅行に出かけることも良い方法です。いずれにせよ、自分にあったストレス対策を行ってください。
「体調がおかしい」と思ったら、日々の生活習慣を振り返ること大切です。食事、睡眠などについて、見直しをしていくことが自律神経失調症を防ぐためのポイントです。