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糖尿病で最初に出る症状が分かります
なぜ初期症状に気付くことが大切なのか?

糖尿病は「サイレントキラー」と呼ばれる病気です。なぜなら、初期の段階では目立った症状がほとんどなく、多くの方が気づかないからです。しかし、治療をしないと病気が進行してします。
実際に、糖尿病と診断される人は、職場の定期健康診断あるいは特定健診で行われる血液検査で発見される場合が多いです。外来においても、健康診断の結果で精密検査を受けるよう指示があって受診されるケースがあります。
しかし、症状がないからといって対策をしないと、体内では血管や神経への損傷が始まります。そして、失明や腎不全、狭心症、心筋梗塞といった命に関わる合併症を引き起こすリスクがあります。
「最近、疲れがとれない」「よく喉が渇く」「足がしびれる」といった日常的な不調も、もしかしたら糖尿病を知らせるサインかもしれません。
糖尿病はどんな病気なのか?

糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が正常値を超えて高くなる病気です。ごはんを食べて血糖値が高くなると、膵臓から分泌されるインスリンと呼ばれる「血糖を下げるホルモン」が血糖値を適切にコントロールします。しかし、インスリンによる血糖の調節が異常となったとききに、血糖が持続的に高くなることで発症します。
糖尿病には大きく分けて2つのタイプがある
1型糖尿病は、膵臓がインスリンをほとんど作れなくなる病気で、若い世代に発症します。これは主に自己免疫反応により、インスリンを分泌するβ細胞が破壊されることが原因です。
それに対して、2型糖尿病は糖尿病患者の約90%を占め、インスリンの分泌が低下したり、効き目が悪くなったりすることが原因です。日頃の食事・運動の習慣や遺伝的要因が関わっており、中高年に好発することが知られています。
出典:Diabetes – Cleveland Clinic
セルフチェックリスト

以下のチェックリストで、糖尿病の初期症状がないか確認してみましょう。当てはまる項目が多いほど、糖尿病の可能性が高いという目安になります。
- よく喉が渇き、水分を多く摂るようになった
- 尿の回数や量が増えた
- 疲れやすくて、だるさが続いている
- ダイエットしていないのに体重が減った
- 食べているのに空腹感が強い
- 手あるいは足がしびれる
- 傷の治りが遅い感じがする
- 目がかすむ、見えにくくなった
- 味覚が鈍くなり、濃い味を選ぶようになった
体の部位別に起こりうる症状の特徴

糖尿病の影響は、さまざまな臓器に現れます。そのため、血糖が高い状況が、自分では気づかないうちに進んでいることがあります。注意すべき症状を確認しておきましょう。
身体の部位 | 具体的な症状 |
---|---|
足 | 血糖が高くなることで、足の末梢神経や血管が障害されるので、さまざまな変化が生じます。初期症状として、足先のしびれやピリピリとした痛み、冷えやほてりを感じることがあります。また、こむら返りが気になるケースもあります。皮膚の乾燥やひび割れ、タコができやすくなります。病気が進行すると、足の感覚が鈍くなり、小さな傷に気づかずに細菌感染を発症する危険が高まります。 |
手 | 手のひらや指先のしびれ、ピリピリ感、灼熱感などがあります。細かい作業がやりにくくなったり、手の震えが気になったり、異常な感覚に気付きます。指先の感覚が鈍くなると、物を落としやすくなったり、熱いものに触っても気づきにくくなったりします。また、手のひらの皮膚が厚くなったり、指の関節が硬くなり曲げにくくなるケースもあります。 |
目 | 目は細い血管が集中している部位のため、特に、眼底には毛細血管が集中しており、高血糖の影響を受けやすいのです。初期症状として、目のかすみや焦点が合いにくい、まぶしさを強く感じることがあります。また、飛蚊症と呼ばれる黒い点や糸くずが飛んでいるような感じがする場合もあります。視力の低下は徐々に進行するため、気づきにくいです。 |
皮膚 | 皮膚の乾燥とかゆみを自覚することがあります。特に足や手、陰部に現れやすくなります。糖尿病による動脈硬化によって、血流が悪くなることで皮膚の修復機能が低下します。その結果、小さな傷でも治りにくくなります。免疫の低下、血行障害のために、細菌や真菌による感染症にかかりやすくなり、水虫になりやすいです。皮膚の色素沈着や赤い発疹が生じる場合もあります。 |
その他 | 歯周病が悪化しやすくなり、口臭が強くなったり、口内炎ができやすくなったりします。味覚障害により、食事の傾向として濃い味付けを好むようになることもあります。消化管への影響もあり、胃の動きが悪くなることで便秘や下痢を繰り返したり、食後の胃もたれを感じたりします。また、自律神経の不調によって立ちくらみや発汗異常が現れる事例もあります。 |
年齢・性別による症状の特徴

女性特有の症状
女性ホルモンのバランスの変化により糖尿病の症状が現れやすくなります。更年期を迎える50代以降の女性では、陰部のかゆみやおりものの変化が初期症状として出現することがあります。これは血糖値の上昇により免疫力が低下し、真菌の一種であるカンジダなどの感染症にかかりやすくなるためです。
男性特有の症状
勃起不全(ED)が初期症状として現れることがあります。高血糖により血管や神経が損傷を受けることで、勃起に必要な陰茎への血流が悪くなるからです。40代以降の男性でEDを自覚したときは、その原因の鑑別として、糖尿病の可能性を考えます。
高齢者の症状
65歳以上の高齢者では、認知機能の低下や物忘れが気になる症状が糖尿病のサインとして現れることがあります。高血糖の持続による動脈硬化、血糖値の変動により脳への栄養供給が不安定になるためです。また、転倒しやすくなったり、傷の治りが遅くなったりします。
若い世代の症状
20代以下の若い世代や小児では、1型糖尿病の可能性も念頭に置く必要があります。何度もトイレに行く、体力の低下、集中力の不足が目立ち、食べているのに痩せていく、夜中に何度も水を飲むなどの変化があります。子どもの場合はおねしょで発見されるケースもあります。
睡眠への影響もあります
糖尿病の初期症状として、高血糖により夜間頻尿が起こり、何度もトイレで目が覚めて睡眠が中断されてしまいます。また、細胞がエネルギーを効率的に使えないため、十分寝ても日中に強い眠気や疲労感を感じるようになります。のどの渇きで夜中に目覚めることも多く、これらの睡眠の変化が糖尿病に気付くためのサインになることがあります。
病院に相談するタイミング

下記に該当する症状が、2つ以上当てはまる場合や、1週間以上続く場合は、要注意です。
- 喉がよく乾き、水をたくさん飲む
- 疲れがとれない(十分寝ても疲労感が続く)
- トイレに行く回数が増えた(夜中も含めて)
- 手足のしびれ(特に足先のピリピリ感)
- 体重が減った(食べているのに痩せる)
今まで何も症状がなかったのに、気になる症状があって「糖尿病かも?」と不安に感じた場合は、医師に相談しましょう。
出典:糖尿病は早く見つけましょう – 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター
阪野クリニックでは、糖尿病の心配がある場合に相談することができます。ご要望に寄り添い、血液検査、ブドウ糖負荷試験を施行することができます。